vol.329:失敗した立ち上がりの分析 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
バイオメカニクス
タイトル
失敗した立ち上がりのバイオメカニクス的分析
Biomechanical analysis of failed sit-to-stand.
?PubMed Riley PO IEEE Trans Rehabil Eng. 1997 Dec;5(4):353-9.
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・失敗した立ち上がりを分析した論文を見つけ、興味深かったため読むことにした。
内 容
背景・目的
・立ち上がりの失敗を①立ち上がり中に後方へ戻ってしまう②立ち上がる際にバランスを崩し、ステップによってバランスを取り直す、の二つと定義する。
・本論文は上記二つの失敗をバイオメカニクス的に分析する。
方法
・13名の被験者の20の失敗を分析した。
・上肢は組み、背もたれのない椅子から立ち上がりを行った。椅子の高さは膝の高さを基本とした。
・①sit back:離殿後、再度殿部が座面に接地する場合
・②step:立ち上がりは遂行できたが、離殿後にステッピングが生じる場合
結果
図:対照群被験者(上)と失敗群(下)の立ち上がりデータRiley (1997)より引用
正常群
・角運動量のピークは離殿前に生じた。これは前後方向の線形運動量とほぼ同様のグラフを示した。
・HAT(上半身)の角運動量はWB(全身)の角運動量より大きかった。
・垂直方向の最大線形運動量はHAT最大伸展角運動量と同時期に生じた。
失敗した立ち上がり
・前後面の線形運動量と矢状面角運動量はsit backが生じた際にそれぞれ下方、後方への大きい値を示した。
・stepでは立ち上がり伸展相での垂直方向線形運動量がsit back群に比して大きかった。
表:各パラメータ Riley (1997)より引用
・成功した立ち上がりはHAT前後面最大線形運動量、その際の最大床反力、WB最大垂直方向線形運動量が失敗した立ち上がりに比して有意に大きい値を示した。
・前後面最大線形運動量までの時間は成功した立ち上がりが有意に失敗した立ち上がりより速かった。
・立ち上がり動作終了時までの時間は成功、失敗で有意差はなかった。
私見・明日への臨床アイデア
・失敗した立ち上がりでは垂直方向や前後方向の運動量が少なく、十分に重心移動が出来ていないことがわかる。正常から逸脱している原因はなにか、臨床に当てはめて考えていきたい。
職種 理学療法士
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)