vol.338:筋損傷は立ち上がりにどのように影響するのか? 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
バイオメカニクス
タイトル
筋損傷後の立ち上がりのバイオメカニクス Biomechanics of sit-to-stand transition after muscle damage. ?PubMed Spyropoulos G Gait Posture. 2013 May;38(1):62-7. doi: 10.1016/j.gaitpost.2012.10.013. Epub 2012 Nov 17.
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・特定の筋が損傷した後に、立ち上がりはどう影響されるのか知りたいと思ったため。
内 容
背景・目的
・筋損傷後の立ち上がりを解析した論文は見当たらない。したがって本論文は、筋損傷後48時間の立ち上がり動作を検証する。
方法
・17名の健常女性 ・膝屈筋と伸筋に対して遠心性収縮を負荷し、筋損傷を作った。 ・3次元動作解析、床反力計を用いて運動学、運動力学的データを採取した。計測は損傷処理の24時間前と直後、24時間後、48時間後、72時間後に行った。 ・第1相(屈曲相)、第2相(移行相)、第3相(伸展相)の相分けをした。
結果
表1:実験結果Spyropoulos G (2013)より引用 ・表より遅発性筋痛(DOMS)が生じていることがわかる。 ・クレアチンキナーゼ(CK)は72時間後に有意に上昇した。 表2:実験結果Spyropoulos G (2013)より引用 ・損傷後48時間で立ち上がり時間の有意な増加があり、15%ほど長くなっていた。第1、2、3相ごとの比較ではそれぞれ5、56、11秒の時間的増加があった。立ち上がり時間との割合で表記すると、第2相33%の増加があったが、第1、3相は6、4%の時間減少がみられた。 図1:実験結果Spyropoulos G (2013)より引用 ・筋損傷後、骨盤は第1~2相で後方傾斜が増え、第2~3相で前方傾斜が減っていた。 ・股関節は第2相で屈曲の減少、第3相で伸展の減少が得られた。 ・第3相にて膝関節は伸展の減少、足関節は背屈の増加が得られた。 ・第3相にて膝関節伸展モーメント・パワー有意に減少した。足関節モーメントに変化はなかった。
私見・明日への臨床アイデア
・膝屈筋、伸筋の筋損傷により第2、3相でモーメントの減少や動作時間の増加が見られた。膝伸展モーメントを作り出すため、膝伸筋だけでなく、屈筋も伸展モーメントに寄与していることが示唆される。どういったメカニズムで屈筋は膝伸展に働くのか調べてみたい。
職種 理学療法士
立ち上がりに役立つ動画
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)