vol.392:脳卒中後4~8週の手指伸展機能の観察 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
脳科学系
タイトル
脳卒中後4~8週までの手指伸展機能の観察 When Does Return of Voluntary Finger Extension Occur Post-Stroke? A Prospective Cohort StudyPubMed Winters C et al.(2016)
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・脳卒中後の手指リハビリに関わることが多く、手指伸展機能に関わる論文を検索し、本論文に至る。
内 容
背景
・脳卒中後早期に随意的な指の伸展を示さない患者は、6ヶ月経過した時点での上肢機能回復の予後が不良であると示唆されている。予後不良であるにもかかわらず、多くの患者が上肢能力を回復する。 ・VFEの欠如は、機能的な皮質脊髄路の完全性の喪失を反映し、手の筋肉が対側の皮質脊髄路によってほぼ単独で支配されることを認めている。網様体脊髄路による手の筋への間接的な両側神経支配は、脳卒中後の手の運動制御にも寄与し得る。しかし、網様体脊髄路が麻痺の手の随意的な伸筋に影響を及ぼし得るかどうかは依然として不明である。
目的
・我々は、運動回復中の自発的な指の伸展(VFE)が回復する時間を決定し、はじめは予後不良であったにもかかわらず、脳卒中後6ヶ月で上肢能力の改善を示す患者の臨床的特徴を特定することを目指した。
方法
・随意的な指の伸展(Fugl-Meyer Assessment手のサブ項目の指の伸展≧1)の復帰時間を評価した。 ・ARATで10点以上のカットオフを使用して、上肢の何らかの能力(すなわち、小さな物体を拾う能力)のリターンを定義した。 ・脳卒中後6ヶ月の上肢能力の回復する確率は、患者特性を用いた多変量ロジスティック回帰分析により決定した。(多変量解析は、共変量または目的変数が2つ以上ある場合に用いる解析法である。)
結果
・脳卒中後8±4日に自発的指伸展を伴わない100人の患者のうち45人が、6ヶ月で10点以上のARATを達成した。 ・これらの回復した者の指の随意的な伸展を回復させる時間の中央値は4週間であった(2週間~8週間)。 ・下肢機能が中等度から良好であり、視空間無視および十分な体性感覚機能(Em-NSA≧33点)は、脳卒中後6ヶ月で0.94の確率で上肢機能を回復した。 ・脳卒中後最初の4週間以内~最大8週間以内に、指の自発的な伸展を毎週確認することが推奨されます。 ・麻痺が主に上肢に限定され、視空間無視および十分な体性感覚機能がない患者は、脳卒中後6ヶ月で少なくとも上肢機能の復帰を示す可能性が高い。
私見・明日への臨床アイデア
・脳卒中後最初の4週~8週間以内にVFEを観察し、他機能(感覚・視空間認識機能)を考慮することで予後予測が可能であることが論文より推察される。上肢以外の機能も手指に影響し得ることも本論文より示唆された。局所・全体で手指を評価していけるよう心掛けたい。
氏名 Shuichi kakusho
職種 理学療法士
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)