vol.160:下肢優位の麻痺を呈する脳の病変部位とは? 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
脳科学系
タイトル
下肢優位の麻痺を呈する脳の病変部位とは?Leg weakness due to stroke. Site of lesions, weakness patterns and causes.?PubmedへR. Schneider.et al.(1994)
本論文を読むに至った思考・経緯
•脳の損傷領域から予測する能力が欠けていると思ったため、本論文を読むに至る。
論文内容
論文の目的・背景
•上肢の麻痺が下肢よりも重度なパターンは脳卒中の大多数を占めるが、麻痺が下肢にのみ又は下肢優位に観察される患者も存在する。
•下肢優位の麻痺を引き起こした病変はどこにあったのか? 1575人のうち 63人(4%)が下肢優位の麻痺を来しており、その63人のケースから検討した。
研究結果
脳病変は、
(i)上矢状静脈洞(前頭葉~頭頂葉と相関)血栓症:1例 前大脳動脈(ACA)領域:12例
(ii)中大脳動脈(MCA)領域:9例
(iii)上記両方の領域(流域ではない):2例
(iv)内包:18例 そのうち6例が橋・脚橋被蓋核脚に病変有した
(v)他の脳幹領域:10例 (iv)視床領域:2例
4例は正確には分類されなかった。 要するに、41例は半球であり、18例は脳幹または視床にあった。
•中心前回の内側の後部に限定された病変は、対側の下肢遠位の麻痺を引き起こし、この麻痺はほとんど改善されず厳しいものとなった。
他論文より追記
•中大脳動脈領域の梗塞を有する23例の患者において、脳卒中発症6か月時点で、約70%の患者が自立して歩行が出来たが、機能的な手(特に手指)の回復を成し遂げた者はいなかったと示されている(下肢機能の方が良好に改善)。Motor outcomes of patients with a complete middle cerebral artery territory infarct.(2013 Sung Ho Jang.et al.)
私見・明日への臨床アイデア
•先人の膨大な研究から、幅はあるとしてもある程度予測を立てる事が可能であると思われる。基本的な病変部位と症状のリンクを深め、推察に活かしていきたい。
氏名 覚正 秀一
職種 理学療法士
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)