<第7回:脳科学講座Blog>感覚・知覚・認知,運動制御編
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感覚・知覚・認知とは?
感覚・知覚・認知,何気なくよく臨床で使用される言葉ですが,その意味合い・・・理解していますでしょうか?
おさらい,復習も兼ねて以下に記載します.
感覚(Sensation)
刺激により生体内外の状態を知る機能
知覚(Perception)
感覚されたものの強さ,大きさ,硬さなどの性質を知ること
認知(Congnition)
知覚したものが何であるかを判断したり,解釈すること
過去の自分自身の経験に基づく記憶に照らし合わせて判断するプロセス
感覚には,視覚・前庭感覚・体性感覚(深部感覚,表在感覚,温痛覚 etc.)とありますが,ヒトは自己の姿勢を保持するうえで前記した感覚に対して「重み付け」を行っています.
上図のように,ヒトの姿勢制御における感覚フィードバックは,視覚が10%,前庭感覚が20%,固有受容感覚(体性感覚)が70%で姿勢を調整しています.
バランスを取るうえで,如何に体性感覚が重要かがわかりますね・・・
運動制御とは?
運動制御とは,ヒトが運動パフォーマンスに関わる筋肉や手足を活性化し,協調するために脳もしくは認知を使用するプロセスのことを言います.
運動制御の中身
運動制御をはじめとするヒトの行為は,3つの段階から構成されます.
どの段階で障害が生じても,ヒトの行為は制限されてしまいます.
運動プログラム??
運動を実行する前に脳の中で作られる運動の実行計画のことを指します.
第3回の基底核・小脳編でもお話しましたが,External loopやInternal loopなどが関与してきます.
運動実行??
計画に基づき,実際に運動を行うことを指します.
種々の神経下降路が運動実行に関わってきます.
感覚フィードバック??
実行した運動の結果を教えてくれることを指します.
この結果のフィードバックには,「意識に上る感覚」と「意識に上らない感覚」があります.
小脳に到達し,姿勢・運動制御に関与する感覚は意識には上りません.
運動の調整??
計画した運動と実行した運動が一致していなかった場合に修正することを指します.
運動結果をモニタリングする小脳にて誤差を検出し,Realtimeで運動の調整を図っています.
講義内容も「基礎的な内容を応用して,臨床応用に置き換えて考える」,といった頭を整理しながらアイデアを練るという臨床向きなDiscussionとなってきました.
自分なりのアイデアを提示しながら,受講生の皆さん真剣に取り組まれていました.
(編集:齋藤 潤孝)
お知らせ information
1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)