vol.394:脳卒中者の機能的歩行と心機能・重症度との関係 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
歩行
タイトル
脳卒中者の機能的歩行と心機能・重症度との関係
Functional walk tests in individuals with stroke: relation to perceived exertion and myocardial exertion.PubMed Eng JJ et al.(2002)
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・脳卒中者の歩行能力を評価する際に、各検査と障害がどのように結びついているのか学ぶべく本論文に至る。
内 容
背景
・6分および12分間歩行テスト(6MWTおよび12MWT)などの機能的歩行試験は、障害により機能低下を来した個人の能力を評価するために頻用される尺度である。
・脳卒中者は、心機能によって歩行距離が制限されることがある。しかし、中枢性の筋弱化、バランス障害および痙縮などの要因が、歩行距離に影響を及ぼす可能性がある。
目的
・本研究目的は、これらの歩行テストと脳卒中者個人の障害の程度、心機能、主観的運動強度の測定とその関係を調査することであった。6MWT、12MWTと自己最適歩行速度をみる10mWTとの間の関係も評価された。
方法
・12MWT・6MWT、10mWT・足底屈力(KinCom strength dynamometer)・Berg Balance Scale・Ashworth Scale of Spasticity・Chedoke-McMaster Stroke Assessment(以下CMSA)について、脳卒中を有する25人が評価された。
・機能的歩行試験の間、心拍数(HR)、速度 、Rate Pressure Product、および主観的運動強度を評価した。機能的歩行試験中にHRを2分ごとに記録し、機能的歩行試験の終了前および終了時に血圧(BP)を記録した。RPPは、HRと収縮期血圧との積として計算された。
・相関分析は、機能歩行試験中の歩行、障害尺度、および生理学的応答との関係を定量化した。
結果
・6MWT、12MWT、および自己選択ペース歩行速度はすべて互いに高度に相関しており、すべてが障害の重症度にも関係していた。
・最大HRに最も近いレベルに到達した人は、最も低いバランススコア、最大の痙性、最も遅い歩行速度を反映する尺度を有していた。
・機能的歩行距離は、主観的運動強度(RPE)またはRPPによって測定されるような心筋酸素要求の増加に関連しなかった。
・脳卒中者の歩行距離に対する主な障害は脳卒中の特異的な障害である。機能的歩行試験を使用し時間の経過と共に個人パフォーマンスを評価する場合、RPPまたはHRの増加等および距離の両方を測定することが推奨される。
私見・明日への臨床アイデア
・重症度において、歩くのもままならないような方は、どうしても日常での運動機会も少なくなり、体力面も低下している可能性がある。しかし、ある程度活動性のある方では、早く歩けるか歩けないかの差だけで、体力的には余裕あるも距離が稼げない事もあり得る。障害の度合いと心機能等を併せて評価する事で評価に深みがでると思った。
氏名 shuichi kakusho
職種 理学療法士
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)