vol.134:脳卒中者のコアスタビリティと歩行 脳卒中/脳梗塞リハビリ論文サマリー
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カテゴリー
歩行
タイトル
脳卒中者の動的バランスと歩行機能に対するコアスタビラゼーションの効果 ?PubMed The Effects of Core Stabilization Exercise on Dynamic Balance and Gait Function in Stroke Patients Eun-Jung Chung, J Phys Ther Sci. 2013 Jul; 25(7): 803–806.
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・コアスタビリティの重要性は近年強く強調されている。今回改めて脳卒中者に対するコアスタビリティの効果を知りたいと思い、本論文を読もうと思った。
内 容
背景・目的
・脳卒中者は正中位での姿勢保持が難しく、バランス障害や体重移動の障害を呈する。
・腰痛やアスリートに対してのコアスタビリティの効果を検証した論文は多いが、脳卒中者に対するコアスタビリティを検証した論文は少ない。
・そのため、本研究は脳卒中者にコアスタビリティトレーニングを行い、動的バランスと歩行機能への効果を検討する。
方法
・16名の自力歩行可能な脳卒中者
・二つのグループ:コアスタビリティ群8名と対照群8名
・両群ともに60分週5回4週間の介入を行った上で、コアスタビリティ群は30分間週3回のコアスタビリティトレーニングを行った。
・コアスタビリティトレーニングは背臥位での殿部挙上(a.ノーマル、b.片脚を組む、c.一方を浮かす)、腹筋運動(d.ノーマル、e.ひねりを加える、f.腕を組む)、h.サイドブリッジ、さらにバランスボールを使用し(i.殿部挙上、j.サイドブリッジ、k.腹筋、l.腕立て伏せ)を行った。
・動的バランスはTimed up and go testで、歩行機能はGAITRite system(歩行速度、ケーデンス、ステップ長、ストライド長)。
表1:被験者情報
Chung (2013)より引用
結果
表2:実験結果
Chung (2013)より引用
・TUGの値はコアスタビリティ群の介入前後で有意に減少した(33.06→27.64)。
・対照群ではTUGに有意差がなかった。
・コアスタビリティ群は歩行速度、ケーデンスに有意に改善を示した(歩行速度44.83→58.91、ケーデンス74.55→84.07)。
・群間の有意差は歩行スピードにのみ見られた。
私見・明日への臨床アイデア
・コアスタビリティトレーニングによって歩行スピードや動的バランスの向上が見られた。コアは腹横筋、多裂筋、横隔膜、骨盤底筋群と捉えていたが、本論文では下部体幹に位置する筋すべてが対象のようだった。また、コアスタビリティ群は対照群に比し、下部体幹周囲の筋に対してかなりの量のアプローチがされていた。被験者の平均年齢は44歳と比較的若かったため、今回の運動量に耐えられ、結果も良好だったのではないだろうか。より高齢な被験者ではどういった結果がでるか、新たに論文を探してみたい。また、コアの定義に関しても調べなおしたいと考える。
職種 理学療法士
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)