vol.155:足部形態の差異が及ぼす歩行時の筋活動への影響 脳卒中/ 脳梗塞リハビリ論文サマリー
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カテゴリー
歩行
タイトル
足部形態の差異が及ぼす歩行時の筋活動への影響Foot posture influences the electromyographic activity of selected lower limb muscles during gait.?pubmedへMurley GS.et al.(2009)
本論文を読むに至った思考・経緯
•臨床において、各々異なるfoot postureを示す。評価治療に当たって足部への洞察が不十分な点を感じた。足部への理解をより深めるため本論文に至る。
論文内容
研究目的
•研究目的は、「正常アーチ」と「偏平足」の人の下肢筋(後脛骨筋、長腓骨筋、前脛骨筋および内側腓腹筋)のEMG活動を調べ比較することであった。
研究方法
•18~47歳の60人(正常アーチ:30人・偏平足30人)が研究に参加した。
•表面筋電図を使用し、後脛骨筋、長腓骨筋、前脛骨筋および内側腓腹筋の筋活動を評価した。
•参加者は、裸足で快適な歩行速度で歩行した。
研究結果
•偏平足群は踵接地期において、前脛骨筋の活動増加(最大振幅 正常46%に対し65%)長腓骨筋の活動低下を示した(最大振幅 正常37%に対し24%)。
•偏平足群は立脚中期~推進期では、後脛骨筋の活動増加(最大振幅 正常60%に対し86%)長腓骨筋の活動低下を示した(最大振幅 正常39%に対し25%)。
•立脚中期~推進期において、内側腓腹筋について群間の有意差は観察されなかった。
興味深かった内容
•偏平足との筋活動の違いは、神経筋の補償を反映し、内側縦アーチへの過負荷を軽減している可能性がある。
⇒偏平足では内側縦アーチへのより大きな負荷によるアーチ構造を過度の組織ストレスおよび損傷から守るため、後脛骨筋の活動増加と長腓骨筋の活動低下を示している。
つまり、内側縦アーチを維持するよう後脛骨筋が働き、長腓骨筋の活動が増すと内側縦アーチを潰す可能性があり活動低下を示す。
•本研究では、正常足と偏平足を比較し、内側腓腹筋の活性が足部アライメントの差異に影響を受けないと示唆された。
私見・明日への臨床アイデア
•足部形態の変化により筋活動が過剰になる部位、低下する部位が現れる。しかし、弱いから鍛える、過活動のため抑えるなど短絡的な考え方は、著者の視点から考えると悪化させる方向へ促進している可能性があるかもしれない。全体で考察し、どのような運動戦略を取れるようになってほしいのかイメージを持って治療することが大切と思われる。
氏名 覚正 秀一
職種 理学療法士
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)