vol.233:トレッドミル歩行中の手すり把持の有無の影響度 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
歩行
タイトル
脳卒中者の歩行に対する手すり把持トレッドミル歩行の効果
Effect of handrail use while performing treadmill walking on the gait of stroke patients.
?PubMed Kang KW J Phys Ther Sci. 2015 Mar;27(3):833-5. doi: 10.1589/jpts.27.833.
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・安全のためトレッドミル中は手すり把持をお願いすることが多いが、今回把持の有無を比較した論文を見つけ、興味を持ったため読もうと思った。
内 容
背景・目的
・トレッドミルは脳卒中者の歩行練習によく用いられる。その際、手すりを非麻痺側、もしくは両側で把持することで歩行の不安定性を軽減することが可能である。
・手指での接触により身体動揺が軽減することがわかっているが、トレッドミル中の手すり把持の影響を調べた論文は少ない。
・したがって、本論文は手すり把持でのトレッドミルがどのように脳卒中者の歩行パラメータに影響するか検討する。
方法
・30名の脳卒中者を以下の3群に分けた。
・NHG群:手すりを把持しない
・FHG群:前方の手すりを両上肢で把持
・BHG群:側方の手すりを両上肢で把持
・トレッドミル歩行を1回30分、週5回、8週間継続した。
・アウトカムは足底圧(10部位:母趾、2-5趾、第1、2、3、4、5中足骨、足部中央、踵部内側、踵部外側)と接地部位(前足部、中足部、後足部)を計測した。
結果
表:実験結果 Kang KW (2015)より引用
・BHG群とNHG群の踵内側部の足底圧に有意な差がみられた。NHG群は介入前後で踵内側の足底圧が減少したが、BHG群は踵内側の足底圧が介入前後で増加した。
・踵外側の足底圧において、BHG群とNHG群の間に、またFHG群とNHG群の間に有意差がみられた。手すり把持のBHG群・FGH群は踵外側の圧が増加、手すりなしのNHG群は踵外側の圧が減少した。
私見・明日への臨床アイデア
・手すり把持では踵接地の割合が上昇し、手すりがないと踵接地が減少することがわかった。より正常歩行に近づけるために、トレッドミルでは手すり把持を促す方がリスク管理としても、歩行練習としても効果的ではないだろうか。
職種 理学療法士
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)