vol.263:歩行時の加齢に伴う筋活動の変化 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
歩行
タイトル
Age-related alterations in the activation of trunk and lower limb muscles during walking.?PubMed Marques NR et al.(2016)
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・年齢による歩行時の筋活動の変化を表わす文献を読んだことがないと思い、本論文を読むこととした。
内 容
背景
・歩行は、体幹や下肢および上肢の動きを統合的に調整することを必要とする複雑な運動課題である。歩行中の体幹筋の動員に老化がどのように影響するかのメカニズムは不明なままである。
目的
・本研究では、若年者と高齢者の歩行時の体幹と下肢筋の活性化を比較することを目的とした。
方法
・18歳から30歳の若い女性15名と60歳から82歳の高齢の女性19名が通常スピードでトレッドミルを歩き、多裂筋、内腹斜筋、大殿筋、大腿直筋、前脛骨筋、腓腹筋外側頭から表面筋電図(EMG)を用いて1分間測定した。
・初期姿勢(踵接地後50ms)および最終姿勢(toe off 前50ms)の部分で計算行った。
結果
・若い女性と比較し、高齢女性は初期姿勢(踵接地後50ms)にて内腹斜筋の活性化52.32%・大腿直筋の活性化が39.95%低い値を示した。これらの値のみが有意差が認められた。
・最終姿勢では、若い女性はBFの活性化が57.01%高く、高齢女性はTAの活性化が39.82%高かった。
・高齢女性はより体重が重く、高い肥満指数を示しました。
私見・明日への臨床アイデア
・グラフでは、若年層の方がグラフが比較的均一で、全身的に協調して動けている印象である。また、若年層の方が中枢部の活動が高い印象である。高齢者層ではグラフにばらつき、偏りが生まれ、機能低下を他部分が補償しているイメージを受ける。これは、筋力だけとは限らないと思われる。高齢者では低下した機能を補うように他の機能が過剰に働いていることを示すようなグラフであると考える。臨床では、その「弱化」と「代償」の両側面を捉えていくことが必要と思われる。
氏名 覚正 秀一
職種 理学療法士
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)