vol.269:若者と高齢者の歩行時の筋活動の違い 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
歩行
タイトル
若者と高齢者の歩行時の筋活動の違い
Age-related alterations in the activation of trunk and lower limb muscles during walking.?PubMed Marques NR et al.(2016)
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・加齢により何が変化し、何が保たれるのか?といったシンプルな疑問より本論文に至る。
内 容
背景
・Ikezoeらによると、大腿四頭筋は、老化中に最も失われた筋肉量を有する下肢群筋を構成すると報告されている。
・先行研究では、四肢筋の筋量の減少が可動性に影響を与えることを示している。
・歩行は、体幹・下肢および上肢の動きを統合的に調整することを必要とする複雑な運動課題である。歩行中の体幹の動員に老化がどのように影響するかのメカニズムは不明なままである。
目的
・本研究では、若年者と高齢者の歩行時の体幹と下肢筋の活性化を比較することを目的とした。
方法
・18歳から30歳の若い女性15名と60歳から82歳の高齢の女性19名が通常スピードでトレッドミルを歩き、多裂筋/内腹斜筋/大殿筋/大腿二頭筋/大腿直筋/前脛骨筋/腓腹筋外側頭から表面筋電図(EMG)を用いて1分間測定した。
・初期姿勢(踵接地後50ms)と最終姿勢(toe off前50ms)の部分を測定した。
結果
・若い女性と比較し、高齢女性はおいて、初期姿勢(踵接地後50ms)にて内腹斜筋の活性化52.32%・大腿直筋の活性化が39.95%低い値を示した。
・若い女性はBFの活性化が57.01%高く、高齢女性はTAの活性化が39.82%高かった。
・以前の研究にて年齢と歩行速度との間に負の相関があることを示した。今回の研究の主な制限は、若年層と高齢層の女性の歩行速度の差であった。
私見・明日への臨床アイデア
・高齢者では前脛骨筋が過活動となることが示された。高齢となり、低・後方重心となると中枢部での前後の重心移動が行いづらくなり、矢状面における末梢(足部)の筋活動の変化が現れる可能性があると考える。例えば、歩き出しは通常中枢部の前方移動を行う事で自然と下肢は後方に運ばれ歩きがスタートする。しかし、前方に移動できないと前脛骨筋の筋収縮が足を前に動かすスイッチになる可能性がある。
氏名 覚正 秀一
職種 理学療法士
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)