vol.290:高齢女性に対するノルディックウォーキングの効果 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
脳神経系論文に関する臨床アイデアを定期的に配信中。 Facebookで更新のメールご希望の方はこちらのオフィシャルページに「いいね!」を押してください。」 臨床に即した実技動画も配信中!こちらをClick!!(YouTube)
STROKE LABでは療法士向けの脳科学講座/ハンドリングセミナーを行っています!?上記写真をClick!!?
カテゴリー
歩行、バイオメカニクス
タイトル
65歳~74歳の女性の姿勢コントロールと歩行パラメータに対するノルディックウォーキングの効果:無作為化比較試験
Does Nordic walking improves the postural control and gait parameters of women between the age 65 and 74: a randomized trial?PubMed Piotr Kocur J Phys Ther Sci. 2015 Dec; 27(12): 3733–3737.
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・介護保険のレンタルでノルディックポール様の歩行補助具(スキーのストックのような杖を両手で持つ)があり、使用を検討することがある。ノルディックウォーキングの効果を調べた論文を見つけ、読もうと思った。
内 容
背景・目的
・ノルディックウォーキング(NW)は比較的新しいタイプの歩行トレーニングで、クロスカントリーを参考にしたものである。
・フィットネスとしてNWの効果は検証されているが、姿勢コントロールと歩行パラメータを検証した論文は少ない。
・本研究では上記アウトカムに対してノルディックウォーキングに効果があるかを検証する。
方法
・無作為化比較試験を実施した。
・67名の被験者を実験群(NW実施)とコントロール群に分け、ベースライン測定、介入、アウトカム再計測の流れで行った。
・実験群は12週間の介入を実施した。トレーニングセッションは週3回、1回75分で行った(10分ウォームアップ、60分歩行、5分クールダウン)。1回のセッションは集団で行い、2名の監督者を付けた。
・対照群はウォーキングトレーニングに関する詳細な指導は行ったが、監督者などは付けない状態で実施してもらった。トレーニングでの移動距離はGPSにて算出した。
・7-Day Physical Activity Recall (7PAR)にて日常生活の身体活動量、functional equilibrium tests (床反力計にて姿勢コントロ―ルの評価)、ファンクショナルリーチテスト(FRT、上肢位置と身体重心位置(COP)の前方最大移動量)、Upward Reach Test (URT:上方へリーチ)、歩行パラメータ(歩幅、ケーデンス、歩行周期の各相の時間的割合など)を計測した。
・実験群は12週間のNWを行った。
結果
表:実験結果 Piotr Kocur (2015)より引用
・実験群はURT、FRTで介入前後の有意な改善が得られた。コントロール群はURTにおいて介入前後の有意差が得られた。
・両群ともにCOPの偏位には介入前後の有意差が得られなかった。
・歩行パラメータにおいて、両群ともに介入前後の有意差は得られなかった。
Functional reach testのお役立ち動画↓↓↓
バーグバランススケール↓↓↓
TUGお役立ち動画↓↓
私見・明日への臨床アイデア
・ノルディックウォーキングにて歩行パラメータに違いは出なかったが、姿勢コントロールのアウトカムがいくつか介入後に改善が見られており、使用を勧める際の根拠になるだろう。
職種 理学療法士
脳卒中自主トレ100本以上 一覧はこちら
病院内 スタッフ育成サポート
スタッフ教育を効率的に進めてみませんか?
ハンドリングや中枢神経系への教育は、STROKE LABへご相談ください。
1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)