vol.346:AFOの種別による効果の違いについて 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
歩行
タイトル
種別によるAFOの効果の違いについて
Effect of ankle-foot orthosis alignment and foot-plate length on the gait of adults with poststroke hemiplegia.?PubMed Fatone S et al.(2009)
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・回復期の脳卒中患者様を担当する事があり、装具処方における引き出しを増やそうと思ったため。
内 容
目的
・脳卒中片麻痺者の歩行時のAFOのアライメントとフットプレートの長さが矢状面上の膝に及ぼす影響を調べた。
方法
・脳卒中者16名および同年齢の健常人12名が参加した。
・被験者は、下記4つの条件で標準化された履物を用いて歩行を測定した。データは、被験者がいつも通りの自己選択歩行速度で歩いて収集された。
(1)AFOなし(靴のみ)
(2)背屈0度での停止および足部全長のフットプレートの関節運動型AFO (CAFO)
(3)同じAFOであるが、シューズの踵の高さを考慮し、脛骨の垂直方向が再調整されたもの (HHCAFO)
(4)垂直方向は同様のAFOであるが、長さ3/4のフットプレートとしたAFO
健常者の歩行を測定し、基準として提供した。
結果
・歩行速度は異なる条件によって影響を受けなかった。
・AFOなしの条件と比較し、すべてのAFOは、初期接地時およびmid swing時に足底屈を減少させ、より立脚初期のpeak knee momentを屈筋から伸筋に変えた。
・全長を有するフットプレートを備えたAFOは、AFOなしと比較し、立脚期の peak plantar flexor momentを有意に増加させ、立脚初期の peak knee extensor momentが対照よりも有意に高かった。3/4フット長を有するAFOでは、stanceおよびswing中に足関節の背屈が生じているが、CON群よりも有意に少なかった。
・AFOの3/4の長さのフットプレートは、late stanceにおいて正常な背屈を有意に減少させた。 全長フットプレートを備えたAFOは背側角度を増大させ、底屈モーメントをlate stanceにて増加させた。
・すべてのAFO条件のpeak plantar flexor momentは対照のそれと変わらないが、AFOがない条件では対照よりも有意に小さかった。
・Back kneeはAFOによって減少したが、完全には消失しなかった。立脚中の脛骨の後方回転はAFOによって制動されるかもしれないが、前方への運動量は継続しており、大腿へ移され、二重支持期の間に膝の過伸展に寄与する可能性がある。
私見・明日への臨床アイデア
・足底全体を覆い、底屈制動能のあるAFOは踵接地を促し、荷重応答期の膝伸展モーメントを高めることが示唆される。さらに、立脚後期における底屈モーメントの増大も促すことが示唆される。
・Back kneeに関しては、『減少』させる効果はあるが、完全に消失させるとは言えない。足部だけでなく、股関節・体幹のコントロール能の改善(運動・ハンドリング等)も並行で行う必要があることが論文より示唆される。
職種 理学療法士
塾講師陣が個別に合わせたリハビリでサポートします
1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)