Vol.601.歩行速度を上げる!!下腿三頭筋の筋紡錘からの感覚フィードバックの重要性 脳卒中リハビリ論文サマリー – 脳卒中/神経系 自費リハビリ施設 東京 | STROKE LAB
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Vol.601.歩行速度を上げる!!下腿三頭筋の筋紡錘からの感覚フィードバックの重要性 脳卒中リハビリ論文サマリー

 

 

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カテゴリー

 

神経系、脳卒中、歩行

 

タイトル

●歩行速度に対する下腿三頭筋の筋紡錘からの感覚フィードバックの重要性

 

●原著はRole of muscle spindle feedback in regulating muscle activity strength during walking at different speed in miceこちら

 

なぜこの論文を読もうと思ったのか?

 

●脳卒中患者では多くの方が歩行時の麻痺側の立脚中期から後期の不安定性を示す。まだ現在の私の技能では立脚後期における足趾~足関節と股関節・体幹をリンクさせた感覚フィードバックを患者に適切に付与できていないと臨床で感じ、頭を整理するために立脚後期の神経系に関わる本論文を読む至った。

 

内 容

 

背景

 

●歩行において下肢伸筋は主に立脚期に活性化され、屈筋は遊脚期に活性化されます。筋のこの協調作用は脊髄内の運動ニューロンプールのパターン化された活動(運動パターン)によって制御されます。この自発運動パターンは、脊髄内の相互接続された介在ニューロンのネットワーク(Central Pattern Generator:CPG)の統合機能と末梢の皮膚および固有感覚受容器からの感覚フィードバックの結果であることが知られています。

 

●動物は狩猟、脱出、移動、餌を採るなどのさまざまな目的を果たすために、様々な速度で移動できます。自発運動速度が上がると、ステップサイクルの持続時間は短くなります。これは立脚期の持続時間が減少することによって引き起こされますが、遊脚期の持続時間は比較的一定のままです。

 

●異なる速度での屈筋と伸筋からの筋電図(EMG)活動の記録により、速度が上がると主に伸筋のEMG活動がそれに応じて増加することが明らかになりました。ただし、この速度依存の伸筋活動の調節を引き起こす回路は理解されていません。

 

●本論文では筋紡錘からの固有受容感覚フィードバックが立脚時の伸筋のEMG活動を調節し、この調節が高速での運動に必要であるという証拠を提示します。

 

方法

 

●実験は雌雄の60〜90日齢の成体のマウスで行われた。実験前に訓練されたマウスはいなかった。すべての手順はカナダ動物管理評議会に準拠しており、Dalhousie大学の動物実験に関する大学委員会によって承認されました。

 

結果

 

歩行速度と筋活動(EMG)

図参照元:Role of muscle spindle feedback in regulating muscle activity strength during walking at different speed in mice

 

●筋紡錘からの固有受容感覚フィードバックは運動中の筋活動強度を調節する上で重要であることが示されました。膝伸筋からの筋紡錘フィードバックは振幅変調に影響を与えなかったが、足関節伸筋の筋紡錘である下腿三頭筋からのフィードバックは調節に重要であることが示されました。

 

●歩行速度が上がると、歩幅は短くなりました。ステップの持続時間の減少は、主に立脚期の減少と程度は少ないが遊脚期の持続時間の変化の結果でした。

 

● 大腿二頭筋(股関節伸筋)、外側広筋(膝伸筋)、および下腿三頭筋(足関節伸筋)から記録されたEMG活動は、歩行速度の増加とともに増加しました。歩行中には下肢伸筋のEMG活動が速度依存的にアップレギュレーションされることが示唆されています。

 

●筋紡錘からの固有受容感覚フィードバックが様々な速度での歩行中の下肢の動きの時間的特性を調節するために重要であることが示唆されました。

 

●補足:皮膚の求心性神経も伸筋活動の調節に重要であることが示されています。

 

 

 

 

私見・明日への臨床アイデア

 

●歩行速度を上げていくには、下腿三頭筋の機能を高め、筋紡錘から適切なフィードバックを得ていく事が重要であることが示唆された。立脚終期の下腿三頭筋の筋紡錘フィードバック信号はスイングを開始するための重要な信号であることが再確認できた。また、本論文のデータが示唆しているように、足関節伸筋からの筋紡錘フィードバックは、立脚期の筋活動強度の調節にとって重要と言える。

 

●健常者の歩行時の筋電図データにおいても、大腿四頭筋などより下腿三頭筋と前脛骨筋等の足部筋がより優位に相反的かつ協調的に働いているのを確認している。

 

執筆監修|金子 唯史 STROKE LAB代表

・国家資格(作業療法士)取得

・順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務

・海外で3年に渡り徒手研修修了

・医学書院「脳卒中の動作分析」など多数執筆

 

併せて読みたい【歩行速度・下腿三頭筋】関連論文

 

脳卒中×触診 【下腿三頭筋 腓腹筋―ヒラメ筋の起始停止:歩行の関係性】

 

Vol.586.膝関節のバイオメカニクスにおける腓腹筋の役割とは??

 

Vol.595.脳卒中患者の歩行速度と体重移動(weight shift)の関係性

 

Vol.501.皮質脊髄路は歩行速度の予測因子?脳損傷部位と歩行機能の関係性

 

 

脳卒中の動作分析 一覧はこちら

 

論文サマリー 一覧はこちら

 

脳卒中自主トレ100本以上 一覧はこちら

 

 

 

 

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