vol.151:Ib抑制・促通の条件による変化とは? 脳卒中/脳梗塞リハビリ論文サマリー
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カテゴリー
神経系
タイトル
Ib抑制・促通の条件による変化とは?In humans Ib facilitation depends on locomotion while suppression of Ib inhibition requires loading?pubmedへ M.Faist.et al.(2006)
本論文を読むに至った思考・経緯
•人の神経メカニズムについての理解を深め、治療時のイメージを深めたいと思ったため。
論文内容
論文背景
•猫の研究では下腿三頭筋のゴルジ腱器官からの入力は、自原性抑制の代わりに歩行中にIb促通を生成することが知られています。
•歩行時に、被験者の一部においてIb促通が観察された。
研究目的
•本研究は、論文背景で記述したような変化に関わる重要な要素が、「下肢への荷重」によるものか、それとも「歩行」のよるものかという疑問を提起する。
研究方法
•対象は22歳~31歳の健常者10人である。
•疑問を調査するため、下記5つの条件下で調査した。
1)座位 2)仰臥位 3)足底から300Nを負荷した仰臥位 4) 立位(両側接地) 5)reduced gait:スプリットベルトトレッドミル(左右のベルトが分かれており,それぞれの速度を独立に指定することができるトレッドミル)を使用し、片方はできる限り剛性を維持した状態、片足は通常歩行速度で行われた。歩行のearly stance相(歩行周期の12%)で比較された。
研究結果
•Ib抑制は座位および仰臥時に観察された。
•Ib抑制は立位および仰臥位の300N圧力負荷の状態にて有意に減少または消失した。
•立位時には、すべての被験者においてIb抑制が減少し、5人の被験者において、わずかな促通が見られた。
•reduced gaitの立脚相において、8人の被験者においてIb抑制が消失し、6人の被験者においてIb促通が観察された。
結論
•ゴルジ腱器官におけるIb抑制の減少は荷重負荷にて発現し、歩行を必要としないと結論付けられる。
•対照的に、Ib促通は、少なくとも初歩的なフォームで歩行を必要とする。
私見・明日への臨床アイデア
•Ib抑制は筋腱の過剰な伸張による断裂を予防する為に働くと言われるが、荷重(立位、歩行)・非荷重(臥位)と目的動作に適応しその振る舞いを変化させるようである。安静時には筋活動を抑制し、歩行時には筋活動を増加させる。
•Ib促通刺激は、せめて歩行に近い形での訓練が適すると思われる。
•主としてゴルジ腱器官への刺激は、Ib介在ニューロンの振る舞いを変化させる。臨床への応用では、筋腱移行部及び腱骨移行部刺激の臨床における有用性(JPTA 祝 広孝ら) をご参照頂きたい。とても参考になります。
氏名 覚正 秀一
職種 理学療法士
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)