vol.164:舌の感覚フィードバックと姿勢制御 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
神経系
タイトル
舌の感覚フィードバックと姿勢制御Sensory supplementation system based on electrotactile tongue biofeedback of head position for balance control.?pubmedへ Vuillerme N.et al.(2007)
本論文を読むに至った思考・経緯
•舌を含めた頭頚部の理解を深め、STとの連携も深められるように本論文に至る。
論文内容
論文背景
•バランス制御のためのバイオフィードバックは、身体の向きおよび動きに関する補足情報を供給し、視覚・体性感覚および前庭感覚の手がかりを代用または補うことが示されている。
•舌の体性感覚システムは最近、ますます関心を集めている。
•舌はその緻密な機械受容性の知覚とホムンクルスからも分かるように大きな体性感覚領域を有し、舌は皮膚が持つよりも高い解像度の情報を伝えることができます。加えて、電解液である唾液の存在は、電極と舌表面との間の非常に有効な電気的接触も保証し、高電圧および電流を必要としない。
研究目的
•本研究は人為的に頭の位置を設定され、その状態において『舌置き電気触覚バイオフィードバック』を行い、支持面とは異なる部分からの体性感覚が静止立位における姿勢制御にどのような影響を与えるかその効果を調べることである。
研究方法
•8人の若年の健常人が参加した。
•Biofeedback(下図)とNo-Biofeedbackの2つの条件で実行された。
•床面は安定した硬質の床面と不安定面(厚さ6cmの発泡体を使用し、足部からの体性感覚情報の質/または量を変えた。)の2種類で行われた。
•開眼・閉眼にて行われ、できるだけ動かないよう指示された。
•フォースプレートを使用して、足の圧力中心(CoP)変位を記録した。
研究結果
•発泡体(不安定面)では硬質と比べBiofeedbackおよびNo Biofeedback共に、より大きなCOP移動が観察された。興味深いことに、この不安定化の影響は、BiofeedbackではNo biofeedbackよりも影響を受けていませんでした。
•舌の電気刺激により重力の鉛直線に対しての頭の向きに関する補足情報を提供することが示唆された。
私見・明日への臨床アイデア
•「舌」は姿勢制御を行う上で、身体の情報を知覚する際に補足的に情報を提供し得る。
•舌または下顎の偏位等は、偏った身体の知覚情報を提供し、姿勢にも影響してくるのではないかと推測する。
氏名 覚正 秀一
職種 理学療法士
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)