vol.224:屈折異常とバランス 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
神経系
タイトル
アップライトポジションにおける、球面レンズによる屈折異常が身体バランスに及ぼす影響
Body balance under ametropic conditions induced by spherical lenses in an upright position?PubMed Sang-Yeob Kim J Phys Ther Sci. 2015 Mar; 27(3): 615–618.
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・遠視、近視、乱視とピントの調節障害を呈する高齢者は多い。外界情報を視覚から十分に得られない場合、バランス能力は低下し転倒につながる可能性がある。今回、球面レンズを用いて屈折異常(ピント調節異常)を意図的に作り出し、身体バランスの変化を見た論文を見つけ、読みたいと思った。
内 容
背景・目的
・バランスは視覚、平衡覚、体性感覚の3つによって成り立つ。
・視力がバランスに及ぼす影響は大きく、閉眼や屈折異常によりバランス能力が低下することがわかってきている。
・本研究は球面レンズを用いて近視、遠視の屈折異常を作りだし、その際の安定性、転倒リスクの変化を検討する。
方法
・20名の正常視力の健常成人
・重心動揺計にて姿勢安定性(ST)、重心軌跡(SP)、転倒リスク(FI)を計測した。
・正常時、球面レンズ着用時の2パターンのST、SI、FIを比較した。
結果
図:実験結果 Sang-Yeob Kim (2015)
・遠視、近視の程度を強くすることで姿勢安定性(FI)、転倒リスク(FI)ともに数値の上昇が見られた。これは身体重心動揺が増え、不安定性が増加したことを意味する。
表:実験結果 Sang-Yeob Kim (2015)
・遠視、近視の程度が増すと左右方向の重心移動に変化はないが、前後方向に大きく身体重心が動揺することがわかった。
私見・明日への臨床アイデア
・近視、遠視は身体重心動揺を増加させることがわかった。特に前後方向の重心移動が増えることが興味深かった。
・利用者様の視力がどの程度なのか把握したうえでプラン立案やリスクを考慮していきたい。
職種 理学療法士
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)