vol.311:気管挿管患者に対する頸部可動域練習と呼吸・咳嗽機能 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
神経系
タイトル
気管挿管された脳卒中者に対する、頸部可動域練習を用いた呼吸リハビリテーションの効果
Efficacy of pulmonary rehabilitation using cervical range of motion exercise in stroke patients with tracheostomy tubes?PubMed Sung-Hyoun Cho J Phys Ther Sci. 2015 May; 27(5): 1329–1331.
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・挿管した脳卒中者に着目した論文を見つけ、有意義な情報があるのではと感じ読むことにした。
内 容
背景・目的
・呼吸機能の低下は日常生活の障害となる。疲れやすくなったり、気道分泌物の排出ができなかったりするためである。
・気管挿管した脳卒中者は頸部アライメントや可動性に異常が生じやすく、呼吸機能に影響を与えていると報告されている。
・したがって、本研究は気管挿管された脳卒中者に対し頸部可動域練習を実施し、呼吸と咳嗽機能に変化があるか検討する。
方法
・呼吸機能に問題がない12名の脳卒中者
・実験群6名と対照群6名に分けた。
・呼吸機能として努力肺活量(FVC)、1秒量(FEV1)、1秒率(FEV1/FVC)を、咳嗽機能としてpeak cough flow rate (PCFR咳嗽時の最大呼気流量)を計測した。計測は介入前後に行った。
・対照群は介入なし、実験群は頸部可動域練習を週5回、8週間行った。
結果
表;実験結果 Sung-Hyoun Cho (2015)より引用
・対照群は介入前後でFVC、FEV1に変化はなかったのに対し、実験群は両アウトカムの有意な改善が得られた。
・PCFRも同様に、対照群では変化がなかったが、実験群は両アウトカムに改善が見られた。
私見・明日への臨床アイデア
・頸部可動域練習によって呼吸・咳嗽機能に改善が見られた。挿管された患者様に対し、頸部にアプローチすることで誤嚥性肺炎の予防に貢献することができるのではないだろうか。
職種 理学療法士
塾講師陣が個別に合わせたリハビリでサポートします
1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)