vol.304:セサモールと脳梗塞治療の効果 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
神経系
タイトル
虚血性脳卒中呈したラットに対するセサモールの効果
The effect of sesamol on rats with ischemic stroke?PubMed Bo Young Hong J Phys Ther Sci. 2015 Jun; 27(6): 1771–1773.
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・ごま油に含まれるセサモールによって脳梗塞の症状に違いが出るのか、非常に興味深かったため本論文を読もうと思った。
内 容
背景・目的
・脳卒中を罹患する方は年間で数百万人と言われているが、神経損傷を減らすための確立した治療法はないのが現状である。
・食べ物に含まれるいくつかの物質は脳梗塞の予防に有効と言われており、その中でゴマ油に含まれるセサモールは抗酸化作用を持ち、脳梗塞にも効果があるのではないかと報告されている。
・本研究は中大脳動脈の狭窄処理を行ったラットの機能回復にセサモールが役立つかを検討する。
方法
・30匹の12週齢雄ラットをセサモール群(15匹)と治療無し群(15匹)に分けた。
・脳梗塞処理後、セサモール群にセサモールを投与した。
・計測は脳梗塞処理後1日目、3日目、5日目に行った。
・前肢の運動感覚機能の評価としてmodified sticky-tape (MST) testを行った。これはラットの前肢にテープを付け、そのテープを外そうとする際の動作をみて運動感覚機能を評価する。後肢は荷重量で評価した。
・脳損傷領域の量を反対側の脳を100%として%で算出した。
結果
表:実験結果 Bo Young Hong (2015)より引用
・実験により15匹のラットが死亡したため、セサモール群(8匹)、治療無し群(7匹)が検証された。
・脳損傷領域に群間の有意差は得られなかった。
・運動感覚機能(modified sticky-tape (MST) test)に群間の差は得られなかった。
・セサモール群の方が、有意に後肢荷重量が大きかった。
私見・明日への臨床アイデア
・セサモール投与により後肢荷重量に変化が見られた。効果が認められれば今後製薬に応用されるのだと思う。
・ごま油の摂取により脳梗塞発症後の症状に違いが出るかなども興味があるため、他の論文を探してみたい。
職種 理学療法士
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)