vol.300:低出力レーザー療法と術後回復 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
神経系
タイトル
術後回復に対する低出力レーザー療法の抗炎症作用とアレルギー反応
Anti-inflammatory and analgesic effects of low-level laser therapy on the postoperative healing process?PubMed Hebert S. C. Fabre J Phys Ther Sci. 2015 Jun; 27(6): 1645–1648.
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・低出力レーザー療法によって術後の炎症症状を軽減できるかもしれないと知り、抜歯後の炎症症状ではあるが、本論文を読もうと思った。
内 容
背景・目的
・第3大臼歯(親知らず)の除去は口腔内手術において一般的で、術後は痛み、腫脹、開口障害などを呈する。
・これらの炎症症状に対し、コルチコステロイドや非ステロイド性抗炎症薬の服薬が推奨されているが、出血、胃腸刺激、アレルギー反応などの副作用を伴う。
・炎症症状に対する代替的な治療法として、低出力レーザー療法(LLLT)がある。LLLTは抗炎症作用を持つが、副作用がないと報告されている。
・本研究は口腔内手術後の痛み、腫脹、開口障害に対し、LLLTが有効かどうかを検証する。
方法
・10名の患者
・全患者に対し同じ手術を実施。
・LLLTは術後24時間後を初回とし、全4回、一日おきに実施した。
・アウトカムは痛み(VAS)、腫脹、開口障害とした。
・開口具合は右上部の門歯(前歯)と下中央の門歯の距離とした。
・腫脹の程度は一側の耳珠から他側の耳珠までの距離とした。
・計測は術前(T0)、術後24(T1)、48(T2)、72(T3)、96(T4)、120(T5)、144(T6)、168時間後(T8)に実施した。
結果
表:実験結果 Hebert S. C. Fabre (2015)より引用
・腫脹と開口障害に関して、術前と術後24時間を比較すると有意に腫脹の増加と開口障害が見られたが、48時間以降は有意差が見られず術前状態に戻ったと言える。
・痛みに関して、術後24時間と48時間に有意差は見られなかったが、術後3日目以降は有意差がみられ、痛みが消失していることがわかる。
私見・明日への臨床アイデア
・LLLTによって炎症症状の緩和が図れるか検討した論文だったが、対照群を設定していないため、LLLTによって改善したかが不明確な結果だった。外科手術後の炎症症状はリハビリテーションの阻害因子であるため、LLLTの研究が進みより速く炎症期の緩和が図れるとよいと思う。
職種 理学療法士
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)