vol.288:振動刺激による筋収縮は伸張反射と同じか? 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
神経系
タイトル
筋反射を誘引する全身振動:これは伸張反射か?
Whole-body vibration-induced muscular reflex: Is it a stretch-induced reflex??PubMed Cakar HI J Phys Ther Sci. 2015 Jul;27(7):2279-84. doi: 10.1589/jpts.27.2279.
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・今回の論文は振動刺激が伸張反射と同様の筋収縮を誘引するかを検証しており、興味深かったため読もうと思った。
内 容
背景・目的
・全身振動(WBV)は近年着目され出している。WBVにより筋機能、筋力、骨密度、バランス、転倒恐怖感や姿勢コントロールに効果があると報告されている。
・WBSは筋の反射に影響を及ぼすと報告されているが、そのメカニズムはまだ解明に至っていない。
・振動刺激が筋紡錘を刺激すると、その際に生じる筋の反応は伸張反射と同様のものと捉えることが可能だと仮説を立てた。本研究はWBSによる筋の反射(WBS-IMR)と、腱を伸張した際に生じる伸張反射(T-reflex)が同じか検討する。
方法
・20名の右利きの男性(年齢20~45歳)
・WBS-IMRとT-reflexを表面筋電図を用いて計測した。
・被験者はWBVを15秒間行い、WBV-IMRを計測した。3分の休憩後、2回目のWBVとT-reflexを計測した。3分の休憩後、最後のWBVを実施した。
・1回のWBVは16秒間続き、これを6セット実施しひとまとまりとした。
・WBVは図のように行った。
図:WBVの様子 Cakar HI (2015)より引用
・表面筋電図と加速度計、力・伸張センサーを用いて、WBV-IMRとT-reflexの潜時を計測した。
結果
図:WBVの様子 Cakar HI (2015)より引用
・WBV-IMRの平均潜時は40.5 ± 0.8 ms (95%CI: 39.0–41.9 ms)、T-reflexの平均潜時は34.6± 0.5 ms (95% CI: 33.6–35.5)で、差は6.2 ms (95% CI of the difference: 4.7–7.7 ms; p < 0.0001)で有意差が得られた。
私見・明日への臨床アイデア
・振動による筋収縮の誘引と腱反射は別物であると実験結果からわかった。振動刺激では潜時が長い筋収縮ではあったが、この刺激によって低緊張の筋の筋収縮を促すことができるのだろうか?他の論文を読んでみたい。
職種 理学療法士
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)