Vol.511.認知機能改善!?運動による血清BDNFレベルの増加
脳神経系論文に関する臨床アイデアを定期的に配信中。 Facebookで更新のメールご希望の方はこちらのオフィシャルページに「いいね!」を押してください。」 臨床に即した実技動画も配信中!こちらをClick!!(YouTube)
STROKE LABでは療法士向けの脳科学講座/ハンドリングセミナーを行っています!上記写真をClick!! PDFでもご覧になれます。→PDF
カテゴリー
タイトル
●認知機能を改善!?運動による血清BDNFレベルの増加
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
●MCI患者に対するコグニサイズの有用性が言われている。運動がどのような機序で認知機能に良好な影響を与えているのか学ぶべく本論文に至る。
内 容
背景
●加齢は認知機能低下に関連する場合が多いが、個人間のばらつきは大きい。年齢は認知機能を著しく、徐々に損なう脳疾患の主要な危険因子でもあります。結果、世界中の高齢者の割合が急速に高まる中、認知症の罹患率が高まり、予防戦略の必要性が強いことが社会の大きな課題となっています。BDNF(脳由来神経栄養因子と呼ばれるタンパク質の一種)に及ぼす身体運動の即時効果を調査する健康高齢者対象の最初の研究です。
方法
●すべての参加者はそれぞれにランダムに割り当てられた順序で3つの異なるトレーニングプログラムを受講しました。
(1)XboxKinectを使用した、適度なレベルの有酸素運動の実施
(2)コンピューター化されたワーキングメモリートレーニングプログラムによる認知トレーニング
(3)マインドフルネスアプリを使用したマインドフルネスの実践
各プログラムの時間は同じ35分でした。
●研究訪問に到着した後、訓練を受けた看護師が各参加者に研究内容指導後、脈拍と血圧を測定し、採血用のカテーテルを挿入し、最初の血液サンプルを採取しました。 各運動の直前、直後、20分後と60分後の4つの時点で適切な腕の静脈から8mLの血液を採取しました。
結果
●調査結果は、35分の(1)の運動セッション後の健康高齢者の血清BDNFレベルの有意な即時増加を示していますが、同じ期間で(2)認知トレーニングまたは(3)マインドフルネスの練習に参加した場合の同じ個人ではそうではありませんでした。
●私たちの結果はまた、運動に対する血清BDNF反応と作業記憶能力との間に正の関連があることを示しています。
●ワーキングメモリ機能と運動後の血清BDNFレベルとの関連性は、運動を通じて末梢BDNFを増加させる能力が何らかの形で脳機能に関連していることを示しています。運動後のBDNFの血清レベルが高かった研究の参加者は、別の機会で測定されたワーキングメモリトレーニングタスクでも有意に優れたパフォーマンスを示しました。
私見・明日への臨床アイデア
●MCI患者にはコグニサイズが適していると報告されている。重度認知症になると認知機能の改善は難しい可能性が高い。しかし、介護負担を増やさない、活動・参加を維持するという面で運動は重要である。時期に応じた認知症患者への対応が重要である。
脳卒中の動作分析 一覧はこちら
塾講師陣が個別に合わせたリハビリでサポートします
1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)