【2025年版】脳卒中患者の歩行改善!Claw Toeや足趾の曲がりに対するToe Spreader/Inhibitor Barなど道具の効果と最適な活用法 – STROKE LAB 東京/大阪 自費リハビリ | 脳卒中/神経系
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【2025年版】脳卒中患者の歩行改善!Claw Toeや足趾の曲がりに対するToe Spreader/Inhibitor Barなど道具の効果と最適な活用法

 

脳卒中患者のClaw Toe/足趾の曲がりに対する治療と道具の活用

登場人物

  • 金子先生: リハビリテーション専門医

  • 丸山さん: 新人療法士


講義開始

金子先生:

丸山さん、今日は脳卒中後のClaw Toe(クロートゥ、足趾の曲がり)について話します。この症状は脳卒中患者にしばしば見られ、歩行やバランス機能に大きな影響を及ぼします。治療には神経学的、バイオメカニクス的視点を取り入れ、包括的なアプローチが必要です。


1. Claw Toeの発生メカニズム

1.1 神経学的視点

Claw Toeの主な原因は、上位運動ニューロン障害による筋肉の協調性の喪失です。これにより、以下のような問題が生じます:

  • フレクサー筋群の過活動: 長趾屈筋や短趾屈筋が過剰に収縮します。

  • 伸筋群の弱化: 長趾伸筋や短趾伸筋が十分に機能しなくなります。

  • 痙縮: 筋肉の異常な緊張がClaw Toeを固定化させます。

1.2 バイオメカニクス的視点

足趾の曲がりは、足全体の負荷分散能力を低下させます。その結果:

  • 足底の圧力分布の異常: 前足部に圧力が集中。

  • 趾間の狭窄: 正常な歩行時の趾の広がりが制限されます。

  • バランス機能の低下: 接地面が不安定になることで、転倒リスクが増加します。

表1. Claw Toeの主な発生要因

視点 原因 結果
神経学的 上位運動ニューロン障害、痙縮 屈筋の過活動
バイオメカニクス 負荷分散能力の低下、趾間の狭窄 歩行・バランスの低下

2. 治療アプローチ

2.1 理学療法

  1. 伸張とリラクゼーション:

    • 足底の筋肉や腱に対する手技療法。

    • 特に長趾屈筋と短趾屈筋のストレッチが重要。

  2. 筋力強化訓練:

    • 長趾伸筋や短趾伸筋をターゲットにした運動。

    • 徒手抵抗運動やセラバンドを活用。

  3. バランストレーニング:

    • Claw Toeがバランス機能に与える影響を緩和するために、全身の安定性を高める。

    • 具体例: 足底感覚を促すバランスボード。

2.2 装具の活用

  1. Toe Spreader:

    • 足趾間を広げることで趾間の圧力を軽減。

    • 使用例: 夜間装着で趾の正常な位置を維持。

  2. Inhibitor Bar(抑制バー):

    • Claw Toeの進行を抑える矯正具。

    • 神経フィードバックを促進し、筋肉の協調性を高める役割があります。

  3. 矯正ソックス:

    • 足趾の動きをサポートしながら、感覚入力を増強。

表2. 装具の特徴と適応

道具名 特徴 適応
トースプレッダー 趾間広げ、負担軽減 軽度から中等度のClaw Toe
抑制バー 矯正機能、神経フィードバック促進 中等度から重度のClaw Toe
矯正ソックス 動きのサポート、感覚刺激 全般

3. 臨床応用

3.1 ケーススタディ

  • 症例: 68歳女性、右片麻痺。

  • 問題: 歩行中に右足趾が曲がり、転倒リスクが高い。

  • 治療:

    1. 足趾の屈筋に対する超音波療法(痙縮の軽減)。

    2. トースプレッダーの装着を指導。

    3. バランスボードを使用した安定性トレーニング。

  • 結果: 2か月後、歩行速度が15%改善、転倒リスクが低下。

3.2 重要なポイント

  • 個別性の高い治療計画を作成。

  • 患者のモチベーションを維持するために短期的な目標設定を行う。


4. 結論

Claw Toeの治療には多角的なアプローチが必要です。理学療法と装具を組み合わせ、神経学的、バイオメカニクス的視点を取り入れることで、患者の機能を最大限に引き出せます。

金子先生: これらの知識を活用し、患者にとって最適な治療法を提供できるよう努力してくださいね。

丸山さん: ありがとうございます!

論文内容

 

カテゴリー

神経系

タイトル

●慢性期脳卒中患者に対するToe Spreaderの歩行に対する効果とは?

●原著はEffects of toe spreader on plantar pressure and gait in chronic stroke patientsこちら

なぜこの論文を読もうと思ったのか?

●脳卒中患者において足関節~足趾にかけての変形を示す患者は多く、それに対する臨床の思考の引き出しを増やす学習の一助として本論文に至る。

内 容

背景

●歩行時、足は地面と最初に接触し、姿勢と歩行の両方を制御します。 脳卒中後に足(指先)の構造的変化を引き起こす可能性があります。それは下肢とバランスの両方に影響を与える機能的変化を引き起こします。(補足:緊張性足趾屈曲反射【tonic toe flexion reflex:TTFR】は、脳卒中片麻痺患者を含む中枢神経疾患で出現することが多い。)

●慢性期脳卒中患者の足底圧力分布と歩行のパラメーターに及ぼすtoe spreaderの効果を分析しました。

方法

●25人の慢性期の脳卒中患者が研究に参加しました。 Gaitview AFA-50およびGAITRite機器を使用して、足底の圧力分布と、Toe Spreaderがある場合とない場合の歩行を測定しました。

●25人の患者は(平均年齢55.24±12.72歳、身長165.44±10.50 cm、体重67.08±14.84kg、足のサイズ254.4±15.77 mm)で16人が男性、9人が女性でした。15人の被験者の筋緊張はMAS1で、10人の被験者の筋緊張はMAS1+でした。

結果

●Toe Spreaderの使用にて平均・後足部の圧力が幾分増加した。しかし、事後テストでは有意差がなかった。

●歩行の全ての変数において大幅に改善された。

●Toe Spreaderは、慢性期脳卒中患者の全体的な歩行および時空間歩行パラメーターを改善する可能性があります。

●足底圧に有意な変化は見られませんでしたが、空間的および時間的歩行パラメータは大幅に変化しました。Sacaらでは、Toe Spreaderは片麻痺患者の歩行速度とケイデンスを増加させたが、空間パラメーターや歩幅またはストライド長には大きな影響を与えなかったと報告しました。

●ただし、今回の研究では歩幅とストライド長が大幅に増加していることがわかりました。Toe Spreaderは、中足指節間関節をニュートラル位置に配置し、指節間関節をわずかに伸ばして極端な屈曲を防ぎ、立脚期の足部に機械的サポートと安定性を与えます

論文を読んで臨床へ向けての感想

●脳卒中患者において足趾の屈筋反射が見られる患者は多い。その反射を減弱させる手法として、随意性・動作方法の改善、伸張反射が起きにくい筋腱の長さの改善、速度依存で出現する場合もあり歩行速度(関節の角速度)の変化、Toe SpreaderやInhibitor barや装具の調整などが検討される。個々の患者の特徴に応じてよりベストな対応していきたい。

脳卒中患者のClaw Toeに対する評価とリハビリアプローチ

脳卒中患者におけるClaw Toe(クロートゥ)は、筋肉の不均衡や神経学的障害に起因する足趾の変形であり、歩行やバランスに大きな影響を与えます。ここでは、詳細な評価方法とリハビリアプローチ手順を説明します。


1. Claw Toeの詳細な評価

1.1 視診

  1. 足趾の形状確認:

    • Claw Toeが固定性か可動性かを確認。

    • 趾の過剰屈曲(近位趾節間関節)や過剰伸展(中足趾節関節)を記録。

  2. 皮膚の状態:

    • 圧力が集中する部位の皮膚潰瘍やタコの有無を確認。

1.2 触診

  1. 筋肉の緊張評価:

    • 長趾屈筋、短趾屈筋の過緊張や痙縮を評価。

  2. 関節可動域(ROM)の評価:

    • 近位趾節間関節(PIP)や中足趾節関節(MTP)の可動域制限を記録。

1.3 神経学的評価

  1. 痙縮の評価:

    • Modified Ashworth Scale(MAS)を使用。

  2. 感覚評価:

    • 足底の感覚障害や位置覚の低下をチェック。

1.4 歩行分析

  1. 歩行パターンの観察:

    • Claw Toeが歩行サイクルに与える影響を評価。

    • 足底圧分布や接地時間の変化を記録。

  2. 動的バランスの評価:

    • Timed Up and Go(TUG)テストやBerg Balance Scaleを使用。

1.5 器具を用いた評価

  1. 足底圧センサー:

    • 足底圧分布を測定。

  2. 超音波診断装置:

    • 足趾屈筋の筋厚や筋腱構造の確認。


2. リハビリアプローチ手順

2.1 初期段階: 痙縮管理と筋肉のリラクゼーション

  1. 痙縮緩和:

    • ボツリヌス毒素注射や経皮的電気刺激療法(TES)を活用。

  2. 筋膜リリース:

    • 足底筋膜や趾屈筋に対する手技療法。

  3. ストレッチング:

    • 長趾屈筋、短趾屈筋、足底筋膜の伸張。

2.2 中期段階: 筋力強化と機能的アプローチ

  1. 伸筋群の筋力強化:

    • 徒手抵抗運動やセラバンドを用いて長趾伸筋を強化。

  2. 歩行練習:

    • 矯正具(Toe Spreaderや矯正ソックス)を使用し、正しい足趾の位置を維持しながら歩行訓練を実施。

  3. 感覚入力の促進:

    • 足底刺激を伴うバランスボードや砂の上での練習。

2.3 後期段階: 日常生活動作(ADL)の向上

  1. 動的バランストレーニング:

    • 足底感覚を活用した運動。

    • ステップエクササイズや側方移動トレーニング。

  2. 矯正具の使用:

    • 長時間の立位や歩行に耐えられる矯正具を処方。


3. 装具の活用

3.1 Toe Spreader

  • 目的: 足趾間のスペースを広げ、過剰屈曲を防止。

  • 適応: 軽度から中等度のClaw Toe。

3.2 Inhibitor Bar

  • 目的: Claw Toeの進行を抑え、神経筋制御を改善。

  • 適応: 中等度から重度のClaw Toe。

3.3 矯正ソックス

  • 目的: 足趾の広がりをサポートし、感覚入力を促進。

  • 適応: 症状の進行を防ぐための補助。


4. 症例を通じた実践

症例概要

  • 患者: 72歳男性、左片麻痺。

  • 問題: 歩行中にClaw Toeが固定化し、足底に痛み。

治療計画

  1. 初期段階:

    • 足底のストレッチと超音波療法。

    • MASスコアで痙縮レベルを評価。

  2. 中期段階:

    • Inhibitor Barを用いた矯正と歩行訓練。

    • 足趾伸筋の筋力強化。

  3. 後期段階:

    • 矯正ソックスを装着してのADL訓練。

    • 転倒予防トレーニングを追加。

結果

  • 3か月後、足底の痛みが軽減し、歩行速度が20%向上。


5. 結論

Claw Toeの治療には、詳細な評価に基づいた個別的なリハビリ計画が重要です。神経学的、バイオメカニクス的視点を取り入れ、適切な装具と運動療法を組み合わせることで、患者の機能改善を最大限に引き出せます。

新人療法士が脳卒中患者のClaw Toeにアプローチする際に注意すべきポイント

以下は、新人療法士が脳卒中患者のClaw Toeにアプローチする際に注意すべきポイントを挙げたものです。上記の内容に加えて、実践的なコツを含んでいます。


1. 患者の主訴を最優先にする

  • 症状が目立つClaw Toeに意識を向けがちですが、患者がどの場面で不便を感じているか(歩行、靴選び、痛みなど)を優先して評価し、治療目標を共有します。

2. 可動性と固定性の違いを把握

  • Claw Toeが可動性であれば、ストレッチや矯正具を中心に治療を進めますが、固定性であれば外科的介入の必要性を医師に相談します。

3. アプローチを段階的に進める

  • 痙縮緩和 → 筋力強化 → 機能回復の順に進め、患者の進行状況に応じてアプローチを変更する柔軟性を持ちます。

4. 足底圧の変化を見逃さない

  • Claw Toeにより足底圧が変化し、皮膚損傷のリスクが高まることがあるため、足底圧分布を定期的にチェックします。

5. 履物の適合を重視

  • Claw Toeの症状が悪化しないように、患者が使用する靴の形状やインソールの適合性を評価し、必要に応じて調整を提案します。

6. 関節の過伸展を防ぐ

  • 中足趾節関節(MTP)の過伸展はClaw Toeを助長します。治療中はこの部位へのストレスを最小限に抑えるよう工夫します。

7. 運動療法の負荷を適切に設定

  • 過剰な負荷をかけると、かえって足趾屈筋が過緊張を起こし、症状が悪化する可能性があるため、軽い抵抗から始めて徐々に強度を上げます。

8. 感覚入力の不足を補う

  • 足底の感覚障害がある場合は、触覚刺激やプロプライオセプションを高める運動を取り入れることで治療効果を向上させます。

9. 患者教育を徹底する

  • 患者自身がClaw Toeの改善に取り組めるように、ストレッチや自己管理方法を具体的に指導します。

10. 他の障害との関連を考慮

  • Claw Toeはしばしば全身の筋緊張や歩行パターンに影響を及ぼします。特に下肢全体の連鎖的な動きを評価し、必要なら股関節や膝関節も治療対象に含めます。

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