【2024年版】めまい・吐き気・前庭機能障害・平衡感覚に対するリハビリテーション・セラピー – STROKE LAB 東京/大阪 自費リハビリ | 脳卒中/神経系
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【2024年版】めまい・吐き気・前庭機能障害・平衡感覚に対するリハビリテーション・セラピー

STROKE LABの前庭リハビリテーションは、前庭の適応と代償を促進するための運動を中心としたプログラムです。

目標は、1)視線の安定性の向上、2)姿勢の安定性の向上、3)めまいの改善、4)日常生活動作の改善です。

前庭系の適応、他の眼球運動系による代償、視覚による代償、体性感覚による手がかり、他の姿勢戦略、慣れという前庭回復メカニズムを促進します。

 

主なセラピーは

①さまざまな身体姿勢や活動を伴う頭-眼球運動

②頭部や体幹のさまざまな向きを伴う支持基盤の減少によるバランス維持

③さまざまな上肢の作業を行いながら,めまいを引き起こす運動を評価し,さまざまな感覚や運動を徐々に経験させることです。

 

患者の年齢、原因、症状の持続期間や強さにかかわらず、病態は安定しているが代償が不十分な前庭病変に適応となります。

運動が毎日数回行われれば、短時間の運動でも前庭の回復を促進するが可能です。

前庭リハビリテーションのための運動は、2つのタイプに分類することができます。

前庭機能低下に対する理学療法と,良性発作性頭位めまい症(BPPV)に対するセラピーです。

 

STROKE LABのセラピー対象

安定している前庭病変

セラピーは、安定した前庭障害を特徴とし、評価により進行過程の証拠がなく、患者の自然な代償過程が不完全であると思われる状態に適応されます

中枢性病変または中枢性・末梢性混合病変 

安定した中枢神経系病変や中枢と末梢の混合病変を持つ患者を治療対象から除外すべきではありません。ただし、その患者の予後は、末梢神経系にのみ影響がある平均的な患者よりも制限される可能性があります。

頭部外傷

頭部外傷を受けた患者には、前庭症状によって重大な問題を抱える場合があります。これらの患者の状態は、末梢神経系とともに、認知機能や中枢前庭の損傷が原因となることがよくあります。そのため、セラピーは包括的な頭部外傷プログラムに基づいて行われます。

心因性めまい

パニック障害やその他の不安障害を抱える患者は、前庭症状と呼ばれる定義が曖昧な症状で治療を受けることがよくあります。

適切な評価が行われた後、その症状に対する補助的な手段としてセラピーが勧められることがあります。不安が軽度な場合は、恐怖症の治療で使用される行動的介入が役立ちます。しかし、不安要素が大きく、特にパニック発作が頻繁に起こる場合は、精神医学的な介入が必要になる場合があります。

めまいのある高齢者

高齢者の中には、めまいの症状があり、前庭障害が診断されていない人もいます。このような場合、標準的なバランスリハビリテーションに加えて、前庭系の機能を活かした視線安定運動を行うことで、転倒リスクを軽減できる可能性があります。

原因不明のめまい

患者の訴えが、中枢性代償が不十分な安定した前庭疾患によるものか、それとも不安定な迷路機能によるものかを判断することはかなりの専門性を必要とします。

広範な診断努力にもかかわらずめまいの原因が明らかにならない患者には、前庭系への物理療法の経験的試みが有用な選択肢となる場合があります。

症状が前庭病変の直接的な結果ではない患者を特定することは、代償的な治療として前庭リハビリテーションの使用を妨げるものではありません。

良性発作性頭位めまい症(BPPV )

ある研究では、体位変換に成功した後のめまいの残存は、BPPV患者の3分の2で観察され、すべてのケースで特に治療をしなくても3ヶ月以内に消失しました。それでも、BPPVの治療後にバランストレーニングが必要な場合があります。

Epley法の実施ストーリー:

準備:
金子先生は片平さんに、「これから行う手技は、頭の位置を段階的に変えて、耳の中に浮遊している小さな結晶(耳石)をもとの位置に戻すものです。少しめまいが起こるかもしれませんが、我慢できる範囲で行います。終わればめまいが軽くなることが多いですよ。」と説明し、同意を得る。
片平さんは治療ベッドの端に座り、足は床に対して安定した姿勢をとり、金子先生はそばでサポートする態勢を整える。

開始体位:
まず、金子先生は片平さんに「左側の半規管が原因となっている可能性が高いので、頭を左斜め上に向けた姿勢をとりますね」と伝える。
片平さんは正面を向いたまま、頭を約45度左に回旋し、その状態を保持するよう促される。

素早く背臥位へ移動:
続いて、金子先生は片平さんの頭部をしっかりと支えながら、素早くベッドへと後ろ向きに倒す。頭はベッド端から少し突き出すようにして、約20~30度ほど後屈した状態をとる。
片平さんは後ろに倒れる感覚と頭がやや上を向いた不安定な感じに緊張するが、金子先生は「大丈夫ですよ、ここでしばらくこのままです」と声をかけ、安心させる。
この姿勢でめまいと眼振が出現するが、30秒から1分程度、そのまま保持する。耳石が重力に従って管内を移動している。

頭部回旋方向の変更:
めまいがおさまってきたら、金子先生は片平さんの頭をゆっくりと右側へ約90度回転させる(顔が右側を向くように)。この時も片平さんは仰向けのままで、頭は軽く後屈位を保つ。
再び30秒から1分ほど待ち、耳石がさらに移動することを期待する。

側臥位への移行:
次に、金子先生は「次は体を右側向きに回して横向きになりますね」と声をかける。
片平さんは左耳を上に向けるように、ゆっくりと右側へ体全体を回転させて側臥位になる。頭は約45度下向きになるような位置に保ち、ここでまた30秒~1分待つ。
この段階で、耳石は半規管から卵形嚢(utricle)の近くへ移動し、異常な刺激が軽減されていくはずである。

起き上がり:
規定の時間が経過したら、金子先生は「ゆっくりと腰をかける姿勢に戻りましょう」と促す。片平さんは頭の位置を崩さないよう注意しながら、上体をゆっくり起こし、ベッドの端に座る。
この間もめまいが出る可能性があるため、金子先生はしっかりサポートしながら慎重に行う。

効果確認とフォロー:
座位に戻った後、片平さんは「さっきよりめまいが軽い感じがします」と言う。
金子先生は「この手技で耳石は本来の位置に近づいたはずです。今日はこれで様子をみて、また明日か後日、再評価しましょう」と説明する。
その後、Dix-Hallpikeテストなどを再度行い、眼振やめまいの軽減を確認する。また、日常生活での動作中に起こるめまいが改善されたかをフォローアップしていく。

Epley法(Epleyマニューバー)の手順を簡潔にまとめた表です。

手順 操作内容 ポイント
1. 開始姿勢 患者はベッド端に座位、頭を約45°患側(例:左)へ回旋 頭部回旋で関与半規管をターゲット化
2. 背臥位へ移行 頭部を支えながら素早く仰臥位+頭後屈位へ倒す(Dix-Hallpikeと同様) 約30秒~1分保持、眼振・めまい収まるまで待つ
3. 頭部回旋方向変換 頭部をゆっくり反対側(右側)へ90°回旋 再び30秒~1分保持、耳石移動を促す
4. 側臥位へ転向 体・頭を一緒に反対側(右側)へ回転させ、側臥位で頭をやや下向きに保持 再度30秒~1分保持、耳石の正常位置への誘導
5. 座位へ戻る 患者をゆっくりと起こし、ベッド端座位に戻す 動作中のめまいに注意しながら安全に

以上の手順は、関与する半規管の耳石を卵形嚢へ戻すことでめまいを軽減する狙いがある。

Dix-Hallpikeテストの実施手順:

準備:
金子先生は片平さんに、「いまから行うテストは、特定の頭の向きでめまいが起きるかどうかを調べるためのものです。少し不快な感じがするかもしれませんが、安全に行いますので安心してくださいね。」と説明する。
片平さんは治療ベッドの端に座り、金子先生は近くで片平さんの身体と頭部をしっかりサポートできるようスタンバイする。

頭部回旋と後屈準備:
金子先生は「まず、頭を約45度、左側に向けますね」と声をかける。
片平さんはゆっくりと頭を左に回旋し、そのまま正面からやや左を向いた姿勢をとる。

素早い背臥位への移行:
つづいて、金子先生は「このまま、後ろに倒れますよ」と片平さんに伝え、頭部を支えながら素早くベッド上に仰向けへ倒す。頭はベッド端から少し突き出し、約20~30度ほど後屈させるような姿勢をとる。
この時、片平さんは急に後ろへ倒れる感覚に一瞬驚くが、金子先生は「大丈夫ですよ、ゆっくり呼吸してください」と声をかけて安心させる。

めまい・眼振の観察:
ベッド上で仰向けになり、頭が左回旋・後屈位になった状態を約30秒から1分保持する。
もし左後半規管に耳石が迷入している場合、この姿勢で内耳内リンパ流が異常に動き、回旋性かつ上向き成分を伴う特有の眼振とめまいが誘発される。
金子先生は片平さんの眼球を注意深く観察し、眼振(小刻みな眼球運動)や、片平さんが「ぐるぐる回る感じがします」と訴えるめまいを確認する。

反対側へのテスト(必要に応じて):
左側で所見が明確でなければ、金子先生は片平さんを再びベッド端座位に戻し、同様の手順で右側もテストする場合がある。
左右どちらかで典型的な眼振とめまいが誘発されれば、どの半規管が原因か特定する手がかりとなる。

座位への復帰と説明:
テストが終わったら、金子先生は「ゆっくり起き上がりましょう」と促し、片平さんをそっと座位に戻す。起き上がる際に再度めまいが出ることもあるため、サポートは欠かさない。
座位に戻った後、金子先生は片平さんに、「いまのテストで、特定の頭の向きでめまいと眼振が起きることが分かりました。これはBPPVという良性のタイプのめまいである可能性が高く、耳石を元の位置に戻すための治療法があります」と説明する。


Dix-Hallpikeテストのポイント:

  • 頭を約45度回旋させ、仰向け・後屈位に素早く倒すことで、後半規管や前半規管由来のBPPVを誘発し、眼振パターンを観察する。
  • 誘発された眼振の方向と性状により、関与する半規管が推定できる。
  • テスト中の不快感や不安に配慮し、落ち着いた声かけと確実な身体サポートを行う。

Dix-Hallpikeテストは、BPPVを疑う患者に対して正確な診断と治療方針決定のために不可欠な検査であり、Epley法などのリポジショニング手技を行う前の基礎的評価として位置づけられる。

以下は、Dix-Hallpikeテスト実施手順を簡潔にまとめた表です。

手順 操作・指示 ポイント
1. 開始姿勢 患者をベッド端に座位で待機、頭部は中間位 患者に検査の目的を説明し、同意を得る
2. 頭部回旋 頭を約45度、患側(例:左)へ回旋させる 回旋側の後半規管を主にテスト
3. 素早い背臥位への移行 頭部を支えながら、回旋位を保持したまま素早く患者を仰臥位+頭後屈位(約20~30度後屈)に倒す 患者をしっかりサポートし、転倒防止
4. 待機と観察 その姿勢を約30秒~1分保持し、眼振とめまいの有無を観察 回旋性・上向き成分を有する眼振が出ればBPPVを示唆
5. 反対側テスト(必要に応じて) 対側も同様にテストし、左右差を確認 病変半規管の特定に役立つ
6. 座位へ復帰 検査終了後、患者をゆっくり座位へ戻す 起き上がり時もめまいに注意して安全に

 

セラピーが適応でない方

自発的にしか症状が現れない患者、例えばメニエール病患者には、効果が期待できません。特に、月に1回以上の自発的な平衡障害がある患者にも効果はありません。もし運動療法中に状態が悪化した場合は、手術など他の治療法がより効果的です。

STROKE LABのセラピー例

 

視覚や体性感覚による代用 

急性期には下肢からの体性感覚の手がかりに、慢性期には視覚の手がかりに頼りやすいです。周辺の視覚運動(周辺視)の手がかりから生じる視覚入力は、中心視からの入力よりも強力です。視覚依存を助長することは最適ではありません。(例:静止した物体を注視し、歩行中の頭の動きを少なくするように指導する)

姿勢の安定化のために、1) 姿勢感覚系に安定した視覚的参照と体性感覚情報を用いることを学ぶ、2) 残された前庭機能を用いる、3) 効率的かつ有効な代償姿勢運動戦略を見出す、 4) 通常の姿勢戦略を回復すること、が重要です。

 

これらについて、セラピストは前庭欠損が片側か両側か、前庭機能が残っているか、患者が視覚や固有感覚など特定の感覚様式に過度に依存しているか、他の感覚障害があるかどうかを評価する必要があります。

めまいを改善する体操: ①片方の腕を頭の上に上げ、目は上げている手を見て立つ。②前かがみになり、目は手を見続けながら腕を斜めに下げ、手が反対側の足に着くまで下げます。もう片方の腕も同じようにします。プログラムを根気よく続けることができれば、ほとんどの場合、4~6週間以内に体位性めまいは改善する傾向があります。高齢者では効果は遅く、最終的に完全に回復しない方もいます。

 

脳卒中に対する臨床例↓↓↓

 

参考論文

 

Byung In Han et al , Vestibular Rehabilitation Therapy: Review of Indications, Mechanisms, and Key Exercises,J Clin Neurol. 2011 Dec; 7(4): 184–196.
 
Vestibular rehab : https://www.nlbalance.com/vestibular-rehab
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