【2024年版】脊髄損傷後のリハビリ施設の選び方:回復への第一歩
脊髄損傷を理解する
種類と原因 脊髄損傷(SCI)は、自動車事故や転倒などの外傷性の出来事から、感染症や変性疾患などの非外傷性の原因まで、さまざまな理由で発生する可能性があります。損傷の種類と原因を理解することは、治療アプローチとリハビリテーションのプロセスに大きな影響を与えるため非常に重要です。外傷性SCIは多くの場合、脊椎への突然の打撃によって生じ、椎骨の骨折や脱臼を引き起こします。一方、非外傷性SCIは脊柱管狭窄症や腫瘍などが原因で発生することがあります。
初期治療とケア 脊髄損傷後は、さらなる損傷を防ぎ、患者の状態を安定させるために、直ちに医師の診察を受けることが極めて重要です。通常、初期治療には脊椎を固定し、炎症を抑えるための薬を投与し、必要に応じて手術を行います。早期介入は命を救うだけでなく、効果的なリハビリテーションの基礎を築きます。回復への道のりは短距離走ではなくマラソンであり、初期の段階での取り組みが長期的な結果に大きく影響することを理解することが重要です。
図引用:https://images.app.goo.gl/sKGk1z5XohB8NiBV7
脊髄損傷後のリハビリテーション
脊髄損傷(SCI)後のリハビリテーションは、患者が可能な限り機能と自立を取り戻すのを助けるための多面的なプロセスです。傷害の程度や重症度に応じて、リハビリの進行は人によって異なります。ここでは、SCI後のリハビリテーションの基本的な側面について説明します。
初期評価と計画 リハビリテーションのプロセスは、医師、理学療法士、作業療法士などの専門家による包括的な評価から始まります。この評価では、患者の身体的および認知的能力、傷害のレベル、全体的な健康状態を確認します。これらの結果に基づき、達成可能な短期および長期の目標を設定した個別のリハビリテーション計画が作成されます。
理学療法 理学療法は脊髄損傷のリハビリテーションの中心です。筋力、柔軟性、協調性を向上させることを目的とし、セラピストは可動性を取り戻し、バランスを高め、筋萎縮や拘縮などの合併症を防ぐためのエクササイズやテクニックを使用します。損傷のレベルに応じて、以下の治療法が行われます。
- 可動域訓練: 関節の柔軟性を維持し、硬直を防ぎます。
- 筋力トレーニング: 影響を受けていない部分の筋力を増強し、失われた機能を補います。
- 歩行訓練: 不完全な損傷を負った患者に対して、歩行器や平行棒などの補助器具を使用します。
作業療法 作業療法は、患者が日常生活を自立して行えるよう支援することに重点を置いています。セラピストは、着替え、入浴、食事などのセルフケアに必要なスキルを開発します。また、日常生活活動(ADL)の自立を促進するための適応機器や技術も紹介します。
呼吸療法 重度の脊髄損傷患者には、呼吸療法が重要です。これらの患者は、呼吸筋の低下により呼吸困難を経験することがあります。呼吸療法士は、呼吸筋を強化するエクササイズや肺活量を改善するテクニック、必要に応じた人工呼吸器の使用方法を提供します。
言語および嚥下療法 上部脊髄に損傷を負った患者は、言語や嚥下に困難を経験することがあります。言語聴覚士は、コミュニケーションスキルと嚥下機能を向上させるための演習や戦略を提供し、患者が安全に食事を摂り、効果的にコミュニケーションできるよう支援します。
心理的サポート 脊髄損傷による心理的影響は深刻な場合があります。リハビリテーションには、患者が感情的および精神的課題に対処できるよう支援するための心理的サポートが含まれます。うつ病、不安、新しいライフスタイルへの適応などに対応するために、カウンセリングやサポートグループ、認知行動療法(CBT)が用いられます。
職業リハビリテーション 職業リハビリテーションは、患者が仕事や学校に戻る準備を助けます。このリハビリテーションは、患者のスキルを評価し、潜在的なキャリアパスを特定し、これらの目標を達成するためのトレーニングや教育を提供することに重点を置いています。職業療法士は患者と協力して履歴書を作成し、面接を練習し、雇用を促進するための適応技術を探求します。
社会的およびレクリエーション療法 社会復帰はリハビリテーションの重要な要素です。社会的およびレクリエーション療法は、患者が楽しむ社会的活動や趣味に参加することを奨励します。これにより、社会的交流が促進され、精神的健康が改善し、全体的な生活の質が向上します。
補助装置と技術 リハビリテーションには、補助器具や先進技術の使用が不可欠です。これらには以下が含まれます。
- 車椅子: 動きやすさと快適さを提供するためにカスタムフィットされたもの。
- 外骨格: 歩行を補助するロボット装置。
- 適応型機器: 着替え補助具、適応型器具、通信装置など、日常業務を支援するツールやガジェット。
教育と訓練 教育は患者とその家族の両方にとって非常に重要です。リハビリテーションプログラムには、怪我の管理、二次合併症の予防、健康的なライフスタイルの促進に関するトレーニングが含まれます。患者は、褥瘡を予防するためのスキンケア、膀胱と腸の管理、適切な運動と栄養による心臓血管の健康維持について学びます。
継続的な監視と調整 リハビリテーションは継続的なプロセスです。進行状況を監視し、新たな課題に対処し、必要に応じてリハビリテーション計画を調整するために、定期的なフォローアップが不可欠です。目標は、さらなる自立と生活の質の向上に向けた患者の旅を継続的にサポートすることです。
STROKE LABは熟練したスタッフが在籍します。
自費リハビリのメリット
個別のケアプラン 自費リハビリテーション施設には、高度に個別化されたケアプランを作成できるという独自の利点があります。標準的なリハビリテーションプログラムとは異なり、これらの施設は個人のニーズ、好み、目標に応じたオーダーメイドの治療を提供します。患者は専門家から一対一のケアを受け、回復のあらゆる側面に正確に対処できるようにします。この個別のアプローチによりリハビリテーションの効果が高まり、より迅速かつ包括的な回復が促進されます。
先進的な治療法と技術 自己資金によるリハビリテーション施設への投資は、最先端の治療法や最新技術へのアクセスを意味します。これらの施設には、ロボット支援療法、仮想現実リハビリテーション(VR)、高度な神経刺激技術など、医学の最新の進歩が組み込まれていることがよくあります。これらの革新的な方法を利用すると、脊髄損傷患者の可動性、筋力、全体的な生活の質を大幅に向上させることができます。これらの技術を採用することで、患者は可能な限り最高のケアを受けられるようになり、最適な回復結果が促進されます。
STROKE LABでの免荷式トレッドミル訓練場面↓↓
適切なリハビリ施設の選択
考慮すべき重要な要素 適切なリハビリ施設を選択することは、回復への道のりに影響を与える重要な決定です。考慮すべき主な要素には、施設の評判、スタッフの資格と経験、提供される治療の範囲、過去の患者の成功率などが含まれます。さらに、個室、レクリエーションエリア、サポートサービスの有無などの施設の環境は、全体的な経験に重要な役割を果たします。
訪問時に尋ねるべき質問 リハビリテーション施設候補を訪問する際には、適切な質問をして、その施設が自分のニーズを満たしているかどうかを確認することが重要です。スタッフと患者の比率、脊髄損傷患者向けの専門プログラムの有無、使用される機器や技術の種類について問い合わせてください。さらに、個別化されたケアに対する施設のアプローチと進捗状況をどのように測定するかについても尋ねましょう。これらの側面を理解することは、情報に基づいた決定を下し、リハビリテーションの目標に合った施設を選択するのに役立ちます。
患者の体験談
実際の体験談 同じような道のりを経験した他の患者の話を聞くことは、非常に励みになり、心強く感じられます。実際の体験談は、脊髄損傷患者が経験した課題と成功についての洞察を提供します。これらの物語は、リハビリテーションのプロセスをうまく乗り越えた人々の回復力と決意を強調し、回復の旅に乗り出す人々に希望と動機を与えます。
目覚ましい回復のケーススタディ ケーススタディでは、顕著な回復の具体例を詳細に紹介し、個別化されたリハビリテーションプログラムの有効性を示しています。これらの研究には、多くの場合、前後の状況、使用された治療方法、達成された結果が含まれます。これらの成功事例を検討することで、患者は献身的な努力と適切なリハビリテーション支援によって何が可能になるかをより深く理解できるようになります。
STROKE LABでの脊髄梗塞後のリハビリ場面↓↓
リハビリテーションの成果を最大限に発揮するためには?
現実的な目標を設定する 現実的で達成可能な目標を設定することは、リハビリテーションのプロセスの基本的な側面です。医療チームと緊密に連携して、特定の状態や能力に合わせた短期および長期の目標を確立することが重要です。現実的な目標は、モチベーションを維持し、進捗状況を追跡し、途中のマイルストーンを祝うのに役立ち、回復への前向きで積極的なアプローチを促進します。
モチベーションと進歩を維持する リハビリ期間中ずっとモチベーションを維持することは難しいかもしれませんが、それは非常に重要です。定期的に目標を見直して調整し、家族や友人にサポートを求め、小さな一歩を祝うことは、モチベーションを維持するのに役立ちます。さらに、趣味や社交的な交流など、喜びや充実感をもたらす活動に参加すると、正常性と目的意識が得られ、全体的な幸福感が高まり、継続的な改善が促進されます。
脊髄損傷を理解し、自費リハビリテーションの利点を認識し、適切な施設を選択し、成功事例から学び、実践的なヒントを適用することで、患者は充実した効果的なリハビリテーションの旅に乗り出すことができます。
脊髄損傷後のリハビリテーションのエビデンスは?
- Craig, A., Nicholson Perry, K., Guest, R., Tran, Y., & Middleton, J. (2015). Adjustment following chronic spinal cord injury: Determining factors that contribute to social participation. British Journal of Health Psychology, 20(4), 807-823.
- Fehlings, M. G., Tetreault, L. A., Wilson, J. R., Kwon, B. K., Burns, A. S., Martin, A. R., … & Harrop, J. S. (2017). A clinical practice guideline for the management of acute spinal cord injury: introduction, rationale, and scope. Global Spine Journal, 7(3_suppl), 84S-94S.
- Hammell, K. W. (2007). Quality of life after spinal cord injury: a meta-synthesis of qualitative findings. Spinal Cord, 45(2), 124-139.
- Murphy, G., Middleton, J., & Quirk, R. (2011). Work life after spinal cord injury in Australia: The influence of support systems. Spinal Cord, 49(12), 1014-1018.
- Piatt, J., Nagata, S., Zahl, M., & Gjolaj, L. N. (2016). Prevention of pressure ulcers in individuals with spinal cord injury: A systematic review. Spinal Cord, 54(1), 58-69.
- Post, M. W., & van Leeuwen, C. M. (2012). Psychosocial issues in spinal cord injury: A review. Spinal Cord, 50(5), 382-389.
- Winslow, C., & Rozovsky, J. (2003). Effect of spinal cord injury on the respiratory system. American Journal of Physical Medicine & Rehabilitation, 82(10), 803-814.
STROKE LABではご家族とともに目標を決め最善の技術を提供していきます。詳しくはHPメニューをご参照ください。
1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)