記憶障害の原因、予後、評価から治療・リハビリテーションまで解説!! – 脳卒中/神経系 自費リハビリ施設 東京 | STROKE LAB
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記憶障害の原因、予後、評価から治療・リハビリテーションまで解説!!

概要

脳卒中後の記憶障害は、約三分の一の患者に発生し、日常生活に大きな影響を与えます。脳卒中後の記憶障害にはいくつかの種類があり、発症頻度や重症度は様々です。最新の研究から、主な種類と特徴について詳しく説明していきます。

エピソード記憶障害

エピソード記憶障害は、個人が特定の出来事や経験に関する記憶を形成、保持、または再生する能力に問題が生じる障害です。この種類の記憶障害は、脳卒中や脳損傷後にしばしば見られます。以下にエピソード記憶障害の詳細を説明します。

エピソード記憶の特徴

エピソード記憶は、特定の時間や場所で起きた出来事に関する記憶を指します。これは、具体的な出来事や経験、関連する情景、感情を含みます。たとえば、特定の日の出来事、旅行の経験、特定の会話などがエピソード記憶に含まれます  (Frontiers)  

エピソード記憶障害の原因

エピソード記憶障害は、以下のような脳の特定の部位の損傷によって引き起こされることがあります。

  • 海馬: 新しい記憶の形成に重要な役割を果たします。海馬の損傷は新しいエピソード記憶を形成する能力を低下させます。
  • 前頭葉: 記憶の編成と再生に関与します。前頭葉の損傷はエピソード記憶の編成や再生を難しくします (Frontiers)  

症状

エピソード記憶障害を持つ患者は、以下のような症状を示すことがあります。

  • 特定の出来事を忘れる: 最近の出来事や会話を思い出せない。
  • 記憶の混乱: 異なる出来事が混ざり合う、または誤った順序で記憶する。
  • 詳細を思い出せない: 特定の出来事に関する詳細を思い出すのが難しい

 

ワーキングメモリ障害

ワーキングメモリ障害は、情報を一時的に保持し、操作する能力に問題が生じる障害です。この種類の記憶障害は、日常生活の多くの側面に影響を及ぼす可能性があります。以下に、ワーキングメモリ障害の詳細を説明します。

ワーキングメモリの特徴

ワーキングメモリは、情報を短期間保持し、それを操作してタスクを実行する能力を指します。これは例えば、電話番号を覚えてダイヤルする、会話中に前の発言を覚えておく、複雑な指示を覚えて従うなどのタスクに関与します  (Frontiers)  

ワーキングメモリ障害の原因

ワーキングメモリ障害は、以下のような脳の特定の部位の損傷や機能低下によって引き起こされることがあります。

画像引用元:ResearchGate (記憶想起中の活性化領域の図示)

  • 前頭葉: 特に前頭前皮質がワーキングメモリにおいて重要な役割を果たします。前頭葉の損傷は、情報の保持と操作に直接的な影響を与えます。
  • 海馬: 記憶の形成と保持に関与しており、海馬の損傷は情報の一時的な保持能力に影響を及ぼします

症状

ワーキングメモリ障害を持つ患者は、以下のような症状を示すことがあります。

  • 指示を覚えるのが難しい: 複数の指示を覚えて従うことが困難になる。
  • タスクの中断に弱い: タスクを中断されると、再開するのが難しくなる。
  • 計算の困難: 簡単な計算を頭の中で行うのが難しくなる。
  • 会話の困難: 会話中に前の発言を覚えておくのが難しくなり、話がつながらなくなる

 

手続き記憶障害

手続き記憶障害は、習得した技能や習慣的な行動に関する記憶が損なわれる障害です。これは、自転車の乗り方やタイピングの方法、楽器の演奏など、反復して学習された動作や手順に関する記憶を含みます。

手続き記憶の特徴

手続き記憶は、以下のような非宣言的記憶の一部として分類されます。

  • 技能記憶: 楽器の演奏やスポーツの技能など、運動技能に関する記憶。
  • 習慣的行動: 朝のルーティンや運転など、日常生活で繰り返される行動に関する記憶。

手続き記憶障害の原因

手続き記憶障害は、以下のような脳の特定の部位の損傷によって引き起こされることがあります。

  • 基底核: 運動制御と学習に関与しており、基底核の損傷は手続き記憶の障害を引き起こすことがあります  (Frontiers)  
  • 小脳: 運動の調整とスムーズな動きの学習に重要で、小脳の損傷は運動技能の記憶に影響を与えます

症状

手続き記憶障害を持つ患者は、以下のような症状を示すことがあります。

  • 習得済みの技能を忘れる: 自転車の乗り方、タイピングの方法、楽器の演奏など、以前に習得した技能を忘れる。
  • 新しい技能の習得が困難: 新しい運動技能や習慣を学ぶのが難しい。
  • 日常の習慣的行動に支障: 普段のルーティンや日常的なタスクを忘れることが多くなる

 

 

    意味記憶障害

    意味記憶障害は、言葉の意味や事実、一般的な知識に関する記憶が損なわれる障害です。これは、物事の名称や概念に関する情報を思い出すことが難しくなることを意味します。以下に、意味記憶障害の詳細を説明します。

    意味記憶の特徴

    意味記憶は、以下のような一般的な知識に関する記憶を含みます。

    • 言葉の意味: 単語や概念の意味を理解し、適切に使用する能力。
    • 事実や知識: 歴史的な出来事、地理的な情報、科学的な知識など。
    • カテゴリーに関する知識: 動物、食べ物、場所などのカテゴリーに関する情報。

    意味記憶障害の原因

    意味記憶障害は、以下のような脳の特定の部位の損傷や機能低下によって引き起こされることがあります。

    • 側頭葉: 特に左側の側頭葉が意味記憶に重要で、この部位の損傷は意味記憶障害を引き起こすことがあります。
    • 前頭葉: 記憶の編成と再生に関与しており、前頭葉の損傷は意味記憶の操作に影響を与えます  (Frontiers)

    症状

    意味記憶障害を持つ患者は、以下のような症状を示すことがあります:

    • 単語や名前を思い出せない: 物事の名称や人の名前を思い出すのが難しくなる。
    • 言葉の意味の混乱: 単語や概念の意味を混乱させることが多くなる。
    • 一般的な知識の欠如: 基本的な事実や知識を忘れる、あるいは間違って覚えている  (Frontiers)

     

    短期記憶障害

    短期記憶障害は、情報を短期間保持し操作する能力に問題が生じる障害です。これは日常生活の多くの側面に影響を与え、タスクの遂行や情報の保持が困難になることがあります。

    短期記憶の特徴

    短期記憶は、数秒から数分間の間に情報を保持する能力を指します。具体的には、次のようなタスクに関与します。

    • 電話番号を一時的に覚えてダイヤルする
    • 会話中に前の発言を覚えておく
    • 簡単な指示を覚えて従う

    短期記憶障害の原因

    短期記憶障害は、以下のような脳の特定の部位の損傷や機能低下によって引き起こされることがあります。

    • 前頭葉: 特に前頭前皮質が短期記憶に重要な役割を果たします。前頭葉の損傷は情報の保持と操作に直接的な影響を与えます  (Frontiers)
    • 海馬: 記憶の形成と保持に関与しており、海馬の損傷は情報の一時的な保持能力に影響を及ぼします

    症状

    短期記憶障害を持つ患者は、以下のような症状を示すことがあります。

    • 指示を覚えるのが難しい: 簡単な指示や手順を覚えて従うことが困難になる。
    • 情報の中断に弱い: タスクを中断されると、再開するのが難しくなる。
    • 会話の困難: 会話中に前の発言を覚えておくのが難しくなり、話がつながらなくなる。
    • 計算の困難: 簡単な計算を頭の中で行うのが難しくなる

     

    長期記憶障害

    長期記憶障害は、情報を長期間保持し、後に再生する能力に問題が生じる障害です。これは過去の出来事や学習した知識を思い出すことが難しくなることを意味します。

    長期記憶の特徴

    長期記憶は、次のような情報の記憶を含みます。

    • エピソード記憶: 個人の経験や出来事に関する記憶。
    • 意味記憶: 言葉の意味や一般的な知識に関する記憶。
    • 手続き記憶: 習得した技能や習慣的な行動に関する記憶。

    長期記憶障害の原因

    長期記憶障害は、以下のような脳の特定の部位の損傷や機能低下によって引き起こされることがあります。

    • 海馬: 新しい記憶の形成と統合に重要な役割を果たします。海馬の損傷は新しい記憶の形成を妨げます (Frontiers)
    • 側頭葉: 特に左側の側頭葉が意味記憶に重要で、この部位の損傷は意味記憶障害を引き起こすことがあります。
    • 前頭葉: 記憶の編成と再生に関与しており、前頭葉の損傷は記憶の操作に影響を与えます

    症状

    長期記憶障害を持つ患者は、以下のような症状を示すことがあります。

    • 過去の出来事を忘れる: 以前の出来事や経験を思い出すのが難しくなる。
    • 一般的な知識の欠如: 基本的な事実や知識を忘れる、あるいは間違って覚えている。
    • 新しい情報の記憶が難しい: 新しい情報や出来事を長期間保持するのが難しくなる

     

    前向性健忘

    前向性健忘Anterograde Amnesia)は、新しい情報を記憶する能力が損なわれる障害です。これは、脳損傷や脳卒中後にしばしば見られる記憶障害の一種で、患者は新しい出来事や経験を記憶に保持することが難しくなります。以下に、前向性健忘の詳細を説明します。

    特徴

    前向性健忘の主な特徴は、新しい情報の記憶が困難になることです。具体的には、次のような症状が現れます。

    • 新しい出来事を記憶できない: 新しい友人の名前や最近の出来事を覚えるのが難しい。
    • 日常生活の支障: 予定や約束を忘れることが頻繁にある。
    • 学習の困難: 新しいスキルや知識を習得するのが難しい。

    原因

    前向性健忘は、脳の記憶形成に関与する特定の部位の損傷によって引き起こされます。主な原因は次の通りです。

    • 海馬の損傷: 海馬は新しい記憶の形成に重要な役割を果たします。海馬の損傷は新しい情報を長期記憶に統合する能力を妨げます。
    • 側頭葉の損傷: 側頭葉も記憶形成に関与しており、損傷があると新しい記憶の保持が難しくなります。
    • 脳卒中や脳外傷: 脳卒中や外傷による脳の損傷が前向性健忘を引き起こすことがあります

     

    逆行性健忘

    逆行性健忘Retrograde Amnesia)は、過去の出来事や経験に関する記憶が失われる障害です。これは、脳損傷や脳卒中後にしばしば見られる記憶障害の一種で、患者は過去の出来事を思い出すことが難しくなります。以下に、逆行性健忘の詳細を説明します。

    特徴

    逆行性健忘の主な特徴は、脳損傷や発症前の出来事に関する記憶が失われることです。具体的には、次のような症状が現れます。

    • 過去の出来事を思い出せない: 事故や発症前の数ヶ月から数年の出来事を思い出すのが難しい。
    • 個人の履歴や経験の欠如: 自分の経歴や過去の経験に関する記憶が曖昧になる。
    • 詳細な記憶の喪失: 特定の出来事の詳細を思い出せないことが多い。

    原因

    逆行性健忘は、脳の記憶保存に関与する特定の部位の損傷によって引き起こされます。主な原因は次の通りです。

    • 頭部外傷: 脳に衝撃を受けたことによる損傷。
    • 脳卒中: 脳卒中による脳の血流障害が記憶に影響を与えることがあります。
    • 脳炎: 脳炎などの感染症が脳の記憶領域を損傷することがあります
    • 神経変性疾患: アルツハイマー病などの神経変性疾患が記憶障害を引き起こすことがありま

    症状

    逆行性健忘を持つ患者は、以下のような症状を示すことがあります:

    • 特定の期間の記憶喪失: 事故や病気の発症前の一定期間にわたる記憶を失う。
    • 断片的な記憶: 特定の出来事や経験に関する断片的な記憶しか持たない。
    • 情緒的記憶の欠如: 感情的に重要な出来事を思い出すのが難しい

     

    地誌的記憶障害

    地誌的記憶障害は、特定の場所や空間に関する記憶の障害を指します。これは脳卒中や他の脳損傷後に見られることがあり、患者は以前に馴染みのある場所の配置や方向感覚を覚えるのが難しくなることを意味します。

    地誌的記憶の特徴

    地誌的記憶は、空間の配置や地理的情報に関連する記憶を含みます。これには、次のようなものが含まれます。

    • 自宅や職場のレイアウト
    • よく行く場所への道順
    • 都市や町の地理的特徴

    地誌的記憶障害の原因

    地誌的記憶障害は通常、以下のような脳の特定の部位への損傷によって引き起こされます。

    • 海馬: 空間記憶の形成に重要な役割を果たします。脳卒中による海馬の損傷は、地誌的記憶障害を引き起こすことがあります
    • 後頭葉: 視覚情報の処理を担当し、空間認識にも関与します。後頭葉の損傷は空間情報の記憶を妨げます
    • 前頭葉: 空間情報の統合と計画に関与します。前頭葉の損傷は空間的な判断や計画を難しくします

    症状

    地誌的記憶障害を持つ患者は、以下のような症状を示すことがあります。

    • 道に迷う: よく知っているはずの場所で道に迷うことが増える。
    • 方向感覚の喪失: 特定の場所や方向を認識する能力が低下する。
    • 地図の理解の困難: 地図を読むことや道順を覚えることが難しくなる。

     

    予後

    記憶障害の予後は、個々の患者の状態、記憶障害の種類、脳の損傷の程度、およびリハビリテーションの早期介入などに依存します。以下に、記憶障害の予後に影響を与える要因と、回復の可能性について説明します。

    予後に影響を与える要因

    1. 損傷の範囲と部位:
      • 脳の損傷の部位や範囲が予後に大きく影響します。例えば、海馬や前頭葉の損傷がある場合、記憶障害の回復は難しくなることがあります
    2. 早期の介入:
      • 早期にリハビリテーションを開始することで、記憶機能の回復を促進する可能性があります。早期の介入は、神経可塑性を活用し、脳が新しい記憶経路を形成するのを助けます
    3. 個人の健康状態:
      • 患者の全体的な健康状態や年齢も予後に影響を与えます。若年層の患者や、他の健康問題が少ない患者は、より良い予後を示す傾向があります
    4. リハビリテーションの質と継続:
      • 認知リハビリテーションの質と継続性が予後に大きな影響を与えます。定期的なリハビリテーションと適切な支援が提供されると、回復の可能性が高まります

     

    脳卒中後の記憶障害の予後

      • ある研究によると、脳卒中後の患者の約20%が軽度の認知障害から完全に回復することが報告されています
      • 脳卒中後3ヶ月以内に認知障害を経験する患者は17%から92%と幅広く報告されており、そのうちの40%1年以内に認知障害を抱えるが、診断基準を満たさない場合でも生活の質に影響を与えることが多いとされています  (Frontiers)  

       

      回復の可能性

      1. 部分的回復:
        • 多くの患者は部分的な記憶回復を経験します。これは、特に軽度から中等度の記憶障害の場合に当てはまります。リハビリテーションを通じて、記憶機能が徐々に改善することがあります (Frontiers)
      2. 完全な回復の難しさ:
        • 重度の記憶障害や広範な脳損傷を持つ患者では、完全な回復が難しいことがあります。このような場合、生活の質を向上させるための補助的な戦略や環境調整が重要です。
      3. 代償的戦略の使用:
        • 記憶障害のある患者は、メモ帳やデジタルデバイスを使用して情報を記録するなど、代償的な戦略を用いることで日常生活を改善できます。これにより、記憶障害の影響を最小限に抑えることが可能です

       

      診断/検査

      記憶障害の診断、評価、および検査には、様々な神経心理学的テストや診断ツールが使用されます。以下に、一般的な診断手順と主要な評価方法について詳しく説明します。

      診断の手順

      1. 病歴の確認
        • 患者の詳細な病歴を確認し、記憶障害の原因となる可能性のある脳卒中、頭部外傷、神経変性疾患、薬物使用などを特定します。
      2. 身体検査と神経学的評価
        • 基本的な身体検査に加え、神経学的評価を行い、脳の損傷や機能障害の有無を確認します。
      3. 精神状態評価
        • 簡便な精神状態検査(Mini-Mental State Examination; MMSE)やモントリオール認知評価(Montreal Cognitive Assessment; MoCA)を使用して、全体的な認知機能を評価します。

      神経心理学的評価

      1. 記憶評価テスト
        • ウィスコンシンカードソーティングテスト(WCST): 認知の柔軟性や問題解決能力を評価します。
        • ウィクスラー記憶検査(Wechsler Memory Scale; WMS): 記憶の複数の側面(エピソード記憶、意味記憶、手続き記憶など)を包括的に評価します  (Frontiers)  
      2. 特定の記憶機能評価:
        • リバーミード行動記憶検査(Rivermead Behavioural Memory Test; RBMT): 日常生活における記憶機能を評価します。
        • カリフォルニア言語学習テスト(California Verbal Learning Test; CVLT): 言語に関連する学習と記憶を評価します
      3. 視覚および空間記憶テスト
        • ベントン視覚記銘検査(Benton Visual Retention Test): 視覚的記憶と認識能力を評価します。
        • レイ複雑図形検査(Rey-Osterrieth Complex Figure Test): 複雑な図形の記憶と再現能力を評価します

      画像診断

      1. MRI(磁気共鳴画像法)
        • 脳の構造を詳細に観察し、損傷や萎縮の有無を確認します。特に海馬や前頭葉の状態を評価するのに有用です
      2. CTスキャン
        • 脳内の出血や損傷を迅速に評価するために使用されます。特に急性期の脳卒中の診断に有用です
      3. PETスキャン(陽電子放射断層撮影)
        • 脳の代謝活動を評価し、特定の脳領域の機能を確認します。アルツハイマー病などの診断に使用されます

         

        治療/リハビリテーション

        高次脳機能訓練の机上課題

        ・リスト学習タスク

          • 手順:
            1. 患者に10個から15個の単語リストを提示します。
            2. リストを3回から5回繰り返し読み上げ、患者にそれぞれの単語を覚えてもらいます。
            3. 数分後にリストを思い出してもらうリコールテストを行います。
            4. さらに遅延リコールテスト(例えば30分後)を行い、記憶の保持力を評価します。
          • 目的: 記憶保持能力と情報の符号化を強化する

        ・ストーリーテリングタスク

          • 手順:
            1. 患者に短い物語を聞かせます。
            2. 物語の内容に関する質問を行い、詳細な記憶を確認します。
            3. 患者に物語の主要な出来事を再現するよう促します。
            4. 物語の再現を定期的に繰り返し行うことで、記憶の強化を図ります。
          • 目的: 文章理解力と長期記憶の強化を図る

        ・視覚記憶タスク

          • 手順:
            1. 図形や画像のセットを患者に提示します。
            2. 一定の時間後に提示した図形や画像を思い出してもらいます。
            3. 図形の一部を変えて再度提示し、変更点を指摘してもらいます。
            4. 視覚情報の保持と視覚認識能力を向上させるために、複数回繰り返します。
          • 目的: 視覚的記憶と認識能力を強化する

        ·  連想学習タスク

        • 手順:
          1. 患者に一連の単語対(例:犬骨、木葉)を提示します。
          2. 単語対を何度か繰り返し学習させます。
          3. 一方の単語を提示し、対応する単語を思い出すように求めます。
          4. 単語対の数や難易度を調整して繰り返し行います。
        • 目的: 記憶の連想能力を強化し、学習と記憶の結びつきを促進する

        ·  視覚イメージングタスク

        • 手順:
          1. 患者に特定の物体や場面の詳細な説明を聞かせます。
          2. その後、患者に聞いた内容を元にその場面や物体を思い浮かべてもらいます。
          3. 描写した内容をできるだけ詳細に再現させます。
          4. 視覚イメージング能力を活用し、記憶を強化するために繰り返し実施します。
        • 目的: 視覚的記憶と詳細な情報保持を促進する

        ·  カテゴリ学習タスク

        • 手順:
          1. 患者に様々なカテゴリ(例:動物、食べ物、家具)のリストを提示します。
          2. 各カテゴリに属するアイテムを思い出してもらい、リストアップさせます。
          3. 特定のカテゴリを提示し、そのカテゴリに関連するアイテムを素早く思い出す練習を行います。
          4. カテゴリの数や難易度を調整しながら、定期的に繰り返し行います。
        • 目的: 意味記憶と情報の組織化能力を強化する

         

        その他の介入法


        1. 反復経頭蓋磁気刺激(rTMS

          • 手順:
            1. 患者の頭皮にコイルを配置し、特定の脳領域にパルス磁場を送ります。
            2. 低周波(1Hz以下)または高周波(5Hz以上)の刺激を行います。
            3. 1セッションは通常20分から30分程度で、週に3回から5回行います。
            4. 治療期間は数週間から数ヶ月にわたります。
          • 目的: 脳の可塑性を促進し、認知機能と記憶力を向上させる

        2. 薬物療法

          • 手順:
            1. アセチルコリンエステラーゼ阻害薬(ドネペジル、リバスチグミンなど)を処方します。
            2. ドーパミン作動薬やセロトニン再取り込み阻害薬など、特定の神経伝達物質に作用する薬物を使用します。
            3. 定期的なモニタリングと調整を行い、副作用の管理と効果の最大化を図ります。
            4. 長期的なフォローアップを行い、治療効果を評価します。
          • 目的: 神経伝達を改善し、記憶力と認知機能をサポートする

        3. 認知行動療法(CBT

          • 手順:
            1. 認知行動療法士と患者がセッションを行い、認知機能に影響を与える思考パターンを特定します。
            2. 患者の思考や行動を再構成するための具体的な戦略を学びます。
            3. セッションは週に1回から2回行い、1セッションは約60分です。
            4. 通常、治療期間は数ヶ月にわたります。
          • 目的: 認知機能と情緒的な適応力を改善し、全体的な生活の質を向上させる

         

        まとめ

        記憶障害は、情報の記憶や再生に関する問題を引き起こす障害で、脳卒中や頭部外傷、神経変性疾患などが原因で発生します。主な種類には、短期記憶障害、長期記憶障害、前向性健忘、逆行性健忘などがあります。短期記憶障害は数秒から数分間の情報保持が困難になる症状で、長期記憶障害は過去の出来事や学習内容の記憶が困難になることを指します。前向性健忘は新しい情報の記憶が難しくなる一方、逆行性健忘は過去の出来事を思い出すことが困難です。

        治療には認知リハビリテーションや薬物療法、認知行動療法(CBT)などが含まれ、適切な評価と早期の介入が重要です。リスト学習タスクや視覚記憶タスクなどの机上課題が効果的であり、反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)や薬物療法も利用されます

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