【質問】アクチンとミオシン、サルコメアの関係を脳卒中リハビリテーションに応用できる? – STROKE LAB 東京/大阪 自費リハビリ | 脳卒中/神経系
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【質問】アクチンとミオシン、サルコメアの関係を脳卒中リハビリテーションに応用できる?

質問:脳卒中の動作分析に書かれているアクチンとミオシンの関係性がいまひとつ臨床に活かせません。何かアイデアをください

アクチン・ミオシン・サルコメアの関係について

筋肉がどのようにして動くのかを理解するためには、筋肉の最小単位であるサルコメア(筋節)を知ることが大切です。サルコメアは、筋肉の収縮を引き起こす基本的な構造です。このサルコメアの中に、アクチンとミオシンという2つの主要なタンパク質があります。

1. サルコメアとは?

サルコメアは筋繊維の中にあり、筋肉が収縮したり伸びたりするたびにその長さが変わります。サルコメアは、筋収縮の際に見られる規則正しい縞模様を作り出す原因となる部分です。

2. アクチンとは?

アクチンは、細いフィラメント(糸状の構造)を形成するタンパク質です。サルコメアの両端に固定されていて、筋収縮の過程で重要な役割を果たします。アクチンフィラメントは、ミオシンと相互作用して筋収縮を引き起こします。

3. ミオシンとは?

ミオシンは、太いフィラメントを形成するタンパク質です。ミオシンフィラメントは中央に位置しており、その先端には小さな頭部があります。この頭部がアクチンフィラメントと結合し、エネルギーを使ってアクチンフィラメントを引っ張ることで筋収縮を引き起こします。

4. 筋収縮の仕組み

筋肉が収縮する際の基本的なステップは以下の通りです:

  1. 神経からの信号: 脳からの信号が筋肉に伝わり、筋肉を収縮させる準備が整います。
  2. アクチンとミオシンの結合: ミオシンの頭部がアクチンフィラメントに結合します。この結合が筋収縮の開始点です。
  3. フィラメントの滑り: ミオシンの頭部がアクチンフィラメントを引っ張ることで、フィラメントが互いに滑り込みます。この動きがサルコメアを短くし、筋収縮を引き起こします。
  4. ATPの役割: 筋収縮にはエネルギーが必要です。このエネルギーは、ATPという分子から供給されます。ATPがミオシンの頭部に結合し、ミオシンとアクチンの結合を解除します。次に新しいATPが分解され、エネルギーが放出されることで、ミオシンが再びアクチンに結合し、次の収縮サイクルが始まります。

まとめ

簡単に言うと、サルコメアは筋肉の収縮の基本単位であり、その中でアクチンとミオシンという2つの主要なタンパク質が協力して筋肉を収縮させています。アクチンは細いフィラメントを、ミオシンは太いフィラメントを形成し、これらが滑り合うことで筋肉が動くのです。ATPというエネルギー分子がこのプロセスを支え、筋収縮を可能にしています。この仕組みが、私たちが体を動かす基本的な原理です。

図引用:金子唯史 脳卒中の動作分析:医学書院 P32

図の解説

  1. サルコメアの長さ(横軸)

    • 横軸はサルコメアの長さを示しています。筋肉が収縮して短くなるときと、伸びて長くなるときの長さを表しています。
  2. 最大張力比率(縦軸)

    • 縦軸は筋肉が発揮できる張力の大きさを示しています。
  3. 能動的(active)張力

    • 青い線は能動的な張力を示しています。これは筋肉が自ら収縮する力を表します。サルコメアが適度な長さのときに最も大きな張力を発揮しますが、短すぎたり長すぎたりすると張力は減少します。
  4. 受動的(passive)張力

    • 緑の線は受動的な張力を示しています。これは筋肉が外力によって伸ばされたときに発生する力です。筋肉が伸びるほど、受動的な張力は増加します。
  5. ミオシンとアクチン

    • 上部の図はミオシン(赤い線)とアクチン(黒い線)の相互作用を示しています。筋肉が収縮する際に、これらのフィラメントが滑り込むことで張力が発生します。

脳卒中後はサルコメアが減少するの?

脳卒中後、サルコメア(筋繊維の基本単位)の減少が見られることがあります。これは、筋肉の脱神経や不活動によって引き起こされる筋萎縮の一環です。以下のような要因が関係しています。

脳卒中後のサルコメア減少の要因

  1. 筋萎縮:

    • 脳卒中後の麻痺や運動障害により、筋肉が使われなくなると、筋萎縮が進行します。これにより、筋繊維内のサルコメアの数が減少することがあります​ (MDPI)​​ (BioMed Central)​。
  2. 不活動による影響:

    • 長期間の不活動やベッド上での生活は、筋肉の萎縮を促進します。この結果、筋肉内のサルコメア数が減少し、筋力低下が進行します​ (MDPI)​。
  3. 神経再生の遅れ:

    • 脳卒中後の神経再生や神経機能の回復が遅れることにより、筋肉への適切な神経支配が回復せず、筋萎縮が進行します​ (BioMed Central)​。

研究の例

  • 研究1: 脳卒中後の筋肉組織を調査した研究では、麻痺側の筋肉においてサルコメアの減少が確認されています。この研究では、筋萎縮の程度がサルコメアの減少と相関していることが報告されています​ (MDPI)​。
  • 研究2: 別の研究では、脳卒中患者に対するリハビリテーション介入が筋肉のサルコメア数の回復に寄与する可能性が示されています。運動療法や振動刺激などの介入が、筋肉の再生を促進し、サルコメアの回復をサポートすることが明らかにされています​ (BioMed Central)​。

まとめ

脳卒中後のサルコメアの減少は、筋萎縮や不活動による筋肉の変性が原因です。しかし、適切なリハビリテーションや運動療法を通じて、サルコメアの回復が可能であることが示唆されています。リハビリテーションプログラムの一環として、筋力トレーニングや神経再生を促進するアプローチが重要です。

脳卒中後の具体的対策について

昔々、平和な村にAさんという腕の良い鍛冶屋がいました。ある日、鍛冶場で仕事をしている最中に、Aさんは脳卒中を発症しました。この出来事で右腕が弱くなり、ハンマーを持ち上げるのが難しくなってしまいました。しかし、Aさんは強さを取り戻すためにリハビリの旅に出ることを決意しました。

筋肉の働きを理解する

Aさんのリハビリの旅は、まず筋肉の働きを理解することから始まりました。筋肉を、体の中にある小さな工場だと考えてみてください。ここで働くチームが力を生み出し、体を動かしています。このチームは「サルコメア」と呼ばれる特別な労働者で構成されています。

サルコメアの役割

図の横軸はサルコメアの長さを示しています。この長さを、労働者が仕事をするために移動する距離と考えてみてください。労働者(サルコメア)が適切な距離にいると、最も効率よく働くことができ、最大の力を生み出します。これが「能動的張力」として青い線で示されています。

能動的張力と受動的張力のバランス

しかし、労働者が近すぎたり遠すぎたりすると、うまく働くことができません。つまり、サルコメアが短すぎたり長すぎたりすると、筋肉の力を発揮する能力が低下します。これは、脳卒中後のトムの弱くなった腕のような状態です。

また、「受動的張力」と呼ばれる別の種類の張力もあります。これは緑の線で示されています。この張力は、筋肉が外部の力によって引き伸ばされたときに発生します。筋肉が伸びるほど、受動的張力は増加します。

ミオシンとアクチンの役割

図の上部には、筋肉工場の二つの重要な労働者であるミオシン(赤い線)とアクチン(黒い線)が示されています。これらの労働者は、筋肉が収縮する際に滑り合って張力と力を生み出します。Aさんのリハビリは、ミオシンとアクチンの相互作用を改善し、力を取り戻すことに焦点を当てました。

Aさんのリハビリの旅

  1. 小さなことから始める: Aさんは、まず小さな動きから始め、サルコメアを適切な長さで活性化する軽い運動に焦点を当てました。これにより、筋肉を過度に緊張させることなく最大の力を発揮できるようになりました。

  2. 能動的張力の構築: 筋肉が反応しやすくなるにつれて、Aさんは軽い重りを持ち上げる運動を始め、能動的張力を構築しました。これにより、サルコメアが効率的に働き、力を再び構築できるようになりました。

  3. 受動的張力の取り入れ: 柔軟性と可動域を向上させるために、Aさんはストレッチ運動を取り入れました。これにより、受動的張力が増加し、筋肉がさまざまな長さに適応しやすくなりました。

  4. ミオシンとアクチンの相互作用の改善: 特定のリハビリ運動を通じて、Aさんはミオシンとアクチンの滑り運動を改善することに焦点を当てました。これにより、筋肉が効果的に収縮し、ハンマーを持ち上げるのが次第に容易になりました。

  5. 一貫性と忍耐: Aさんは、リハビリが徐々に進むプロセスであることを理解していました。彼は一貫して運動ルーティンを守り、セラピストと密に連携することで、腕の強さと機能の改善を着実に見て取ることができました。

結論

Aさんのリハビリの旅は、筋肉が回復し適応する驚異的な能力の証です。サルコメアの長さ、能動的張力と受動的張力、そしてミオシンとアクチンの役割を理解することで、Aさんは強さを取り戻し、愛する仕事に戻ることができました。Aさんのように、決意と適切な指導を受ければ、脳卒中患者も自身の成功するリハビリの旅を歩むことができるのです。

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