【質問】片麻痺になりました。足の背屈が難しいです。前脛骨筋のストレッチ・触診・自主トレ – 脳卒中/神経系 自費リハビリ施設 東京 | STROKE LAB
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【質問】片麻痺になりました。足の背屈が難しいです。前脛骨筋のストレッチ・触診・自主トレ

前脛骨筋とは?

前脛骨筋(ぜんけいこつきん、Tibialis Anterior)は、すねの前面に位置する大きな筋肉です。この筋肉は、足首の動きや歩行時の足の安定性に重要な役割を果たします。以下に前脛骨筋の機能や特徴について詳しく説明します。

前脛骨筋の機能

  1. 足首の背屈(Dorsiflexion):

    • 前脛骨筋は、足首を背屈させる主要な筋肉です。背屈とは、つま先を上に向ける動作を指します。この動作は、歩行時に足を地面から引き上げる際に必要です。
  2. 足の内反(Inversion):

    • 前脛骨筋はまた、足の内反、つまり足の内側を持ち上げる動作にも関与します。この動作は、足首の安定性を保つのに役立ちます。
項目 詳細
起始(Origin) 脛骨の外側面、腓骨間膜、脛骨外側の近位端
停止(Insertion) 第一中足骨の底面、内側楔状骨の内側面
支配神経(Innervation) 深腓骨神経(L4, L5)

障害されるとどんなことに困るの?

  1. 歩行の困難:

    • 前脛骨筋は足首を背屈させる(つま先を上げる)筋肉です。麻痺があると、足を持ち上げることが難しくなり、歩行時につま先が地面に引っかかりやすくなります。これを「下垂足(フットドロップ)」といいます。歩行が不安定になり、転倒のリスクが高まります。
  2. 階段の昇降の困難:

    • 階段を上り下りする際に、足首を持ち上げる動作がうまくできないため、階段の段差に足が引っかかりやすくなります。特に昇るときに前脛骨筋の麻痺が影響します。
  3. バランスの低下:

    • 前脛骨筋が正常に機能しないと、立位や歩行中のバランスが取りづらくなります。これにより、安定した姿勢を保つことが難しくなり、立っているときや歩いているときに倒れやすくなります。
  4. 靴の選択の制限:

    • 下垂足があると、靴の選択にも影響が出ます。通常の靴では足が引っかかりやすく、転倒のリスクが高まるため、足首をサポートする特別な装具(AFO:足部装具)が必要になることがあります。
  5. 日常動作の制限:

    • 前脛骨筋の麻痺があると、つま先立ちができないため、高い場所にある物を取るのが難しくなります。また、自転車のペダルをこぐ動作や車の運転に支障が出ることもあります。特にアクセルやブレーキの操作が困難になる場合があります。
  6. 疲労の増加:

    • 麻痺があると、歩行や立位を維持するために他の筋肉が代償的に働くことになります。これにより、疲労が増加し、長時間の活動が困難になることがあります。

前脛骨筋のトレーニング

ステップ1: 前脛骨筋の触診

セラピスト: 「こんにちは、今日は前脛骨筋のトレーニングを一緒に行いましょう。まずは、前脛骨筋を触診してみましょうね。」

患者さん: 「前脛骨筋ってどこにあるんですか?」

セラピスト: 「前脛骨筋は、すねの外側にある筋肉です。まず、椅子に座って、膝を90度に曲げてください。足は床に平らに置いてください。」

患者さん: 「はい、わかりました。」

セラピスト: 「次に、足首を背屈、つまりつま先を上に向けて持ち上げてください。そうすると、すねの外側に筋肉が盛り上がるのがわかりますか?」

患者さん: 「はい、感じます。」

セラピスト: 「その筋肉が前脛骨筋です。触ってみてください。この触診は、脳が筋肉の位置と動きを認識するために重要です。」

ステップ2: 前脛骨筋のマッサージ

セラピスト: 「次に、前脛骨筋をマッサージしてリラックスさせましょう。同じ姿勢を維持してください。」

患者さん: 「はい。」

セラピスト: 「指の腹を使って、前脛骨筋を軽く揉んでみましょう。筋肉の上部から下部まで、一定の圧力で行います。マッサージは筋肉をリラックスさせるだけでなく、脳に対してその部位の感覚情報を強化する効果もあります。」

患者さん: 「こうですか?」

セラピスト: 「そうです、とても良い感じですね。これで筋肉がリラックスして血流が良くなります。」

ステップ3: 単関節運動

セラピスト: 「では、次に単関節運動を行いましょう。まずは足首の背屈です。つま先を天井に向けて持ち上げ、前脛骨筋を意識して収縮させます。麻痺して動かない方の足は、イメージトレーニングを行ってみましょう。」

患者さん: 「イメージトレーニングってどうやるんですか?」

セラピスト: 「イメージトレーニングでは、目を閉じて、足首を背屈させる動作を頭の中で繰り返しイメージします。実際に動かしているかのように詳細にイメージすることが重要です。脳の研究によると、イメージトレーニングは運動皮質を活性化し、実際の運動と同様に神経回路を強化する効果があります。」

患者さん: 「わかりました、やってみます。」

セラピスト: 「それでは、健側の足で実際に10回背屈運動を行い、麻痺側の足ではイメージトレーニングを10回行いましょう。」

(患者さんが運動とイメージトレーニングを行う)

セラピスト: 「次に、足首を逆方向に動かして、つま先を下に向けましょう。これで前脛骨筋がストレッチされます。麻痺側も同様にイメージトレーニングを行いましょう。」

ステップ4: 意識しながらの運動

セラピスト: 「最後に、日常生活での動きを意識しながら行う運動に進みましょう。まずはかかと歩きです。足首を背屈させたまま、かかとで歩いてみてください。」

患者さん: 「はい、やってみます。」

(患者さんがかかと歩きを行う)

セラピスト: 「次は、階段の昇降です。階段を昇る際に、足首をしっかりと背屈させて前脛骨筋を意識しましょう。一段ずつ丁寧に行ってみましょう。」

患者さん: 「わかりました。」

(患者さんが階段の昇降を行う)

セラピスト: 「とても良いです。もう一つ、立ち上がりの動作も意識しましょう。椅子から立ち上がるときに、足首を背屈させて前脛骨筋を意識してみてください。立ち上がる際にかかとをしっかりと床につけて、つま先を上げるようにします。」

患者さん: 「やってみます。」

(患者さんが立ち上がりの動作を行う)

セラピスト: 「いいですね。このように、日常生活の中で足首を背屈させる瞬間に前脛骨筋を意識してみてください。例えば、買い物袋を持ち上げる際や、椅子から立ち上がる際に、足首の動きに注意を払いながら行います。」

セラピスト: 「今日のトレーニングはここまでです。お疲れ様でした。何か質問がありますか?」

患者さん: 「ありがとうございました。よくわかりました!」

セラピスト: 「こちらこそ、また次回も頑張りましょう。」

マッサージガンを用いる場合

 

  1. 膝を90度に曲げて座ります:

    • 座った状態で膝を90度に曲げます。これにより、前脛骨筋を触診しやすくなります。
  2. 脛骨の外側面に指を置きます:

    • 脛骨の外側に指を置いて、すねの外側を触診します。
  3. 足首を背屈させ、前脛骨筋の筋腹が浮き出るのを確認します:

    • 足首を持ち上げる(背屈)動作を行います。これにより、前脛骨筋の筋腹が浮き出てくるのを感じ取ります。
  4. 筋腹を下に辿り、第一中足骨と内側楔状骨の停止部に到達します:

    • 筋腹を下に辿っていき、足の内側のアーチ付近で停止部を確認します。
  5. 深腓骨神経の機能を確認するため、足首の背屈と感覚テストを行います:

    • 足首を背屈させて、神経の機能を確認します。

痙縮が生じた場合のマッサージガンの使用

痙縮(筋肉の過度な緊張)が生じた場合、マッサージガンを使って筋肉をほぐすことが効果的です。以下に、マッサージガンを使用する際のコツを説明します。

  1. マッサージガンの適切な設定:

    • 低から中程度の速度設定に調整します。高すぎる速度は逆に筋肉を刺激しすぎる可能性があります。
  2. 筋肉をリラックスさせる:

    • 足首をリラックスさせた状態で、前脛骨筋にマッサージガンを当てます。筋肉が緊張していると効果が半減するため、リラックスした状態を保つことが重要です。
  3. 適切なアタッチメントの選択:

    • 前脛骨筋に適したアタッチメント(通常はボール型やフラット型)を選びます。
  4. 一定の圧力でゆっくりと動かす:

    • マッサージガンを一定の圧力でゆっくりと前脛骨筋に沿って動かします。特に筋腹と停止部のあたりを念入りにマッサージします。
  5. 一箇所に長時間当てない:

    • 一箇所に長時間当てると筋肉が逆に緊張する可能性があるため、数秒から数十秒ごとに位置を変えるようにします。
  6. 痛みを感じたら中止する:

    • 痛みを感じたらすぐに使用を中止し、休憩を取ります。無理に続けると筋肉や神経にダメージを与える可能性があります。

まとめ

触診とマッサージガンの使用は、筋肉の緊張を和らげるために非常に有効です。正しい方法で行うことで、前脛骨筋の機能を改善し、痛みや不快感を軽減することができます。皆さんもぜひ、触診とマッサージガンを試してみてください。

専門家向け 前脛骨筋の触診の際のランドマーク

ランドマークの概要

脛骨前面筋は脛骨の外側面から始まり、足の内側へと移行していきます。この間にはいくつかの重要なランドマークがあります。これらを確認しながら触診を進めます。

起始(Origin)の触診

  1. 脛骨の外側面:

    • 位置: 脛骨の上部、外側。
    • 触診方法: 手を脛骨の上部外側に置き、指先を使って骨の縁を押しながら確認します。
  2. 腓骨間膜:

    • 位置: 脛骨と腓骨の間。
    • 触診方法: 脛骨の外側から内側に向かって指を滑らせます。膜の柔らかい感触を確認します。
  3. 脛骨外側の近位端:

    • 位置: 脛骨の上部外側。
    • 触診方法: 骨の外側上部を触れ、筋肉の起始部を確認します。

移行ランドマーク

  1. 筋腹の触診:

    • 位置: 脛骨前面筋の筋腹は脛骨の外側から前面にかけて存在します。
    • 触診方法: 手を筋肉の上に置き、軽く圧をかけながら筋肉の走行を確認します。筋肉の収縮と弛緩を感じるために、足首を dorsiflex(足を上げる動作)させると良いです。
  2. 前脛骨筋腱:

    • 位置: 脛骨前面筋が下部で腱に移行します。この腱は足首の前面を通ります。
    • 触診方法: 足首の前面を触れ、腱の硬い感触を確認します。特に足首を dorsiflex させると腱が浮き上がりやすくなります。
  3. 内側楔状骨:

    • 位置: 足の内側、第一中足骨の近く。
    • 触診方法: 足の内側を触れ、小さな骨の感触を確認します。内側楔状骨は親指の根元の内側に位置します。

停止(Insertion)の触診

  1. 第一中足骨の底面:
    • 位置: 足の親指の根元。
    • 触診方法: 親指の根元の骨を触れ、第一中足骨の底面を確認します。この部分が筋肉の停止部です。

実際の触診手順

脛骨の外側面(Lateral Surface of the Tibia)

「起始点から筋線維が脛骨の外側面を覆います。触診では、この筋線維を脛骨に沿って感じ取ります。」

腓骨間膜(Interosseous Membrane)

「次に、腓骨間膜に沿って筋線維が広がるのを確認します。脛骨と腓骨の間の膜を指で感じ取り、筋がどのように広がっているかを確認します。」

脛骨外側の近位端(Proximal End of Lateral Tibia)

「筋線維は脛骨の近位部の外側に沿って伸びています。触診では、脛骨の外側に沿って筋の走行を確認します。」

前脛骨筋腱(Tendon of Tibialis Anterior)

「筋肉は前脛骨筋腱に移行します。これは足首の前面を通過します。足首の前方を触診し、腱の存在を感じ取りましょう。」

足首の関節(Ankle Joint)

「前脛骨筋腱が足首の関節を横切る部分を確認します。足首の前面に指を置き、腱が関節を横切るのを感じます。」

内果(Medial Malleolus)

「前脛骨筋腱が内果の前方を通過するのを確認します。内果の前面を触診し、腱の走行を追います。」

舟状骨(Navicular Bone)

「筋腱は内側楔状骨へ向かう前に舟状骨の前面を通過します。舟状骨を触診し、腱がその前を通過するのを感じます。」

内側楔状骨(Medial Cuneiform)

「筋腱は内側楔状骨の内側面に停止します。内側楔状骨の位置を確認し、腱がここに停止するのを触診します。」

第一中足骨(First Metatarsal Bone)

「最終的に前脛骨筋腱は第一中足骨の底面に停止します。第一中足骨の底面を触診し、筋の停止位置を確認します。」

 

関連論文

 

筋肉の痙縮と姿勢制御: 脳卒中患者は、特に前脛骨筋の筋肉の痙縮に悩まされることが多く、これが姿勢制御に影響し、転倒のリスクを高めます。ある研究では、前脛骨筋とふくらはぎの筋肉にキネシオロジーテープを使用すると、慢性脳卒中患者 (MDPI) のバランスと姿勢制御が向上し、圧力中心の移動が大幅に改善されることが分かりました。​ (MDPI)​.
 
EMG/SMG の特徴と筋力: 別の研究では、片麻痺患者の足底屈曲時の前脛骨筋の筋電図 (EMG) とソノミオグラフィー (SMG) の特徴と筋力レベルとの関係を調査しました。この研究では、筋肉の活動と筋力を正確に測定することが、効果的なリハビリテーション戦略を開発する上で重要であることが強調されました (BioMed Central)​.
 
リハビリテーション方法の比較: 従来の理学療法、電気筋肉刺激、筋電図バイオフィードバック、ロボットリハビリテーションなど、さまざまなリハビリテーション方法を比較したところ、すべての方法が片麻痺患者の前脛骨筋の活性化と機能にプラスの効果があることが示されました。この研究では、これらの方法が可動域の改善、痙縮の軽減、筋力の強化に大きく貢献できることが強調されました​ (Home)​.
 
歩行速度が EMG に与える影響: 研究では、歩行速度の変化が前脛骨筋の EMG 活動に影響を及ぼす可能性があることが示されています。片麻痺患者は、背屈が不十分なために代償的な歩行パターンを呈することが多く、足が垂れ下がります。これらのパターンを理解することは、歩行パフォーマンスと筋肉機能を改善するためのリハビリテーションエクササイズをカスタマイズするために不可欠です(BioMed Central)​​ (Home)​.

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