【2024年版】黒質とパーキンソン病:ドーパミンを出すために必要なことは?中脳 役割 – STROKE LAB 東京/大阪 自費リハビリ | 脳卒中/神経系
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【2024年版】黒質とパーキンソン病:ドーパミンを出すために必要なことは?中脳 役割

はじめに

本日は黒質について解説したいと思います。この動画は「リハビリテーションのための臨床脳科学シリーズ」となります。

これまで発売した姉妹本の「脳卒中の機能回復」「脳卒中の動作分析」などと併用して勉強していただくと、より脳神経系に強い専門家を目指せるかと思います。ぜひご覧ください。

内容は、STROKE LAB代表の金子唯史が執筆する 2024年秋ごろ医学書院より発売の「脳の機能解剖とリハビリテーション」から
以下の内容を元に具体的トレーニングを呈示します。


 
 

動画一覧は写真をクリック

 
 
それではまず解剖学的解説からいってみましょう!

 

黒質とは?

 

解剖学的解説

部位

黒質は中脳に位置し、中水道周囲灰白質の腹側、大脳脚の背側に位置します。

主に以下の2つの部分に分けられます:

  • 黒質緻密部(SNc):ドーパミン作動性ニューロンが集中。
  • 黒質網様部(SNr):主にGABA作動性ニューロンで構成。

血液供給

黒質への血液供給は主に後大脳動脈の枝からです。特に緻密部は密な毛細血管網を持ち、ドーパミン作動性ニューロンの高い代謝要求をサポートしています。


経路

黒質線条体経路

  • 起点:黒質緻密部(SNc)
  • 終点:線条体(尾状核と被殻)
  • 役割:ドーパミンを線条体に送達し、運動計画と運動の開始を調節。
  • 臨床関連:この経路のニューロンの変性はパーキンソン病の主要な特徴。

中脳辺縁系経路

  • 起点:腹側被蓋野(VTA)
  • 終点:側坐核などを含む大脳辺縁系
  • 役割:報酬系や感情の調節に関与
  • 臨床関連:依存症や精神疾患との関連も示唆

黒質-視床経路

  • 起点:黒質網様部(SNr)
  • 終点:視床
  • 役割:運動制御と運動情報の統合に関与。

病態像

パーキンソン病

  • 特徴:黒質のドーパミン作動性ニューロンの消失。
  • 症状:振戦、固縮、無動、姿勢不安定などの運動症状。

MRIのポイント

  • 位置の確認:中脳内の赤核の前、上丘のレベルに位置。
  • 形状の特徴:上丘のレベルで黒質が「翼」を形成。
  • 画像技術:磁化率強調イメージング(SWI)を使用すると、黒質の鉄含有量を強調表示可能。
  • 病態との関連:パーキンソン病では黒質の鉄分が減少し、MRIでの描出が困難になる。

論文トピック:ドーパミン生成とリハビリテーション

① 運動とドーパミン放出

② 神経可塑性とリハビリテーション

③ 食事とドーパミン生成

④ 薬理学的サポート

⑤ ストレス管理

  • ポイント:慢性的なストレスはドーパミンレベルを低下させる可能性。
  • 方法:リラクゼーション法、マインドフルネス、心理的サポート。
  • 参考文献

⑥ 認知的および感情的側面


観察ポイントと臨床へのヒント

① ドーパミンの産生とその影響

黒質は脳内のドーパミンの主要な供給源であり、ドーパミンは運動機能、報酬系、依存症の調節に不可欠な神経伝達物質です。神経内科医として、以下のポイントに注目することで、ドーパミン機能の異常を早期に発見できます。

観察ポイント

  • 運動調節の評価: 歩行、リーチング動作、食器の使用など、患者の随意運動における動作の滑らかさを観察します。運動の鈍化(ブラジキネジア)や振戦の出現がないか確認し、錐体外路症状の有無を評価します。

  • 意欲・アパシーの評価: 以前は楽しんでいた趣味や活動を放棄していないか、社会的な約束を避けるようになっていないかを確認します。これらの変化は意欲低下アパシーを示唆し、ドーパミン機能の低下と関連します。

  • 睡眠・覚醒リズムの変化: 夜間の中途覚醒、日中の過度の眠気、睡眠相の遅延など、睡眠パターンの乱れを評価します。ドーパミンは睡眠・覚醒サイクルの調節にも関与しており、その異常はパーキンソン病などで認められます。

  • 食欲・摂食行動の変化: 突然の嗜好変化(甘味嗜好の増加など)や食事量の減少を観察します。ドーパミンは報酬系を介して食欲調節に影響を与えるため、これらの変化は神経伝達の異常を示す可能性があります。

臨床へのヒント

  • 動作速度の改善策: 動作速度が低下している患者には、**リズム聴覚刺激(Rhythmic Auditory Stimulation, RAS)**の活用が有効です。RASはリズムを用いた神経音楽療法で、メトロノーム音や音楽のビートに合わせて運動を行うことで、運動機能を促進します。

    • 脳とリズムの関係: 脳はリズミカルな聴覚刺激と運動を同期させる能力を持ち、これは音楽に合わせて体を動かす際に顕著です。

    • 臨床応用: RASは、パーキンソン病患者の歩行速度歩幅の改善に効果があり、動作の滑らかさを向上させます。

    • 実施方法: 患者の快適な歩行テンポよりも少し速めのリズムを設定し、適応に応じて徐々にテンポを上げます。メトロノーム音だけでなく、患者の好みに合わせた音楽も使用可能です。

    • エビデンス: 研究により、RASは歩行パラメーターの改善に有効であり、その効果は刺激中止後も持続することが示されています。

リハビリテーション戦略

  • RASの統合: 定期的なリハビリテーションプログラムにRASを組み込み、運動機能と歩行能力を強化します。

  • 個別化治療: 患者の症状や病期に応じて、RASの頻度やリズム設定を調整します。

  • 薬物療法との併用: レボドパなどのドーパミン補充療法とRASを併用し、相乗効果を目指します。

  • 在宅リハビリの推進: 在宅環境でRASを実施することで、患者の自主性を高め、日常生活への適応を促進します。

  • 定期的な評価: 患者の機能変化に合わせてリハビリ計画を見直し、最適な介入を継続します。

新人が陥りやすいミス

  • 感情的なウェルビーイング: 気分変動、意欲低下、睡眠障害などの症状を単なる身体的問題として見逃さず、うつ病認知機能障害の可能性を考慮します。必要に応じて精神科や心理士と連携し、包括的なケアを提供します。

  • 家族・社会的サポートの活用: 患者の生活の質を向上させるために、家族やコミュニティ資源との連携を図ります。

 


② 報酬系と依存症

黒質のドーパミン作動性ニューロンは、脳の報酬系に深く関与しており、報酬刺激への反応や依存症の形成に寄与しています。

観察ポイント

  • 気分と意欲の変化:

    • 患者の気分やモチベーションの低下、無気力、抑うつ症状がないか評価します。これらの症状は、報酬系の機能異常を示唆する可能性があります。
  • 衝動的な行動:

    • 即断的な意思決定、順番待ちの困難さ、リスクの高い行動への参加など、衝動性の増加がないか観察します。
  • 食習慣の変化:

    • 甘味や高脂肪食への嗜好の増加、過食など、食行動の急激な変化を評価します。ドーパミンは食事から得られる報酬感に関与しているため、これらの変化は重要です。
  • 習慣性行動の変化:

    • アルコール、ニコチン、特定の薬物など、依存性物質の使用パターンの変化や執着の増加を監視します。

臨床的ヒント

  • 衝動性コントロールの訓練:

    • 衝動性は感情や欲求に基づく即時的な行動傾向を指します。チェスや将棋などのターン制ゲーム、モノポリーのような戦略ゲームを通じて、衝動を制御し熟考した上での意思決定能力を高めます。
    • **認知行動療法(CBT)**も衝動性管理に有効な手法です。
  • 依存症の管理:

    • 依存症は特定の物質や行動への過度な依存状態であり、専門的な介入が必要です。
    • 精神保健福祉士精神科医との連携により、患者の状況を評価し、適切な治療計画を立案します。
    • 依存症は身体的健康にも影響を及ぼすため、リハビリテーションチームと情報共有し、包括的なケアを提供します。

新人が陥りやすいミス

  • 依存症管理の軽視:
    • 依存症を単なる悪習慣として捉えるのではなく、深刻な健康問題として認識することが重要です。
    • 依存症を見過ごすと、治療効果の低下や患者のストレス増大につながります。例えば、ギャンブル依存症の患者がリハビリテーションプログラムに参加する際、依存症の側面を無視すると、治療の効果が半減し、焦燥感が増加する恐れがあります。

脳科学的背景と補足

2014年のNicolleらの論文「Impulsive action: emotional impulses and their control」では、衝動性の定義や分類、そして脳科学的メカニズムについて詳細に解説されています。以下に主要なポイントをまとめます。

衝動性制御に関与する脳領域

  • 前頭前皮質(PFC):

    • 特に眼窩前頭皮質腹内側前頭皮質は、意思決定、結果の予測、不適切な反応の抑制に重要な役割を果たします。
  • 扁桃体:

    • 感情処理、特に恐怖や喜びに関与します。PFCからの制御が弱まると、扁桃体の活動が増加し、即時的な感情刺激に対する衝動的な反応が生じやすくなります。
  • 線条体:

    • 側坐核を含む線条体は、報酬と快感の処理に関与し、その活性化は即時の満足を求める衝動的行動につながる可能性があります。

神経伝達物質の役割

  • ドーパミン:

    • 報酬系および快感システムの主要な神経伝達物質です。
    • 線条体など特定の脳領域でドーパミンレベルが高まると、即時報酬の価値が増し、衝動的行動と関連します。
    • 中脳からPFCや線条体に至るドーパミン経路は、報酬追求と衝動制御のバランスを維持する上で重要です。
  • セロトニン:

    • 気分の調節と衝動抑制に関与しています。
    • セロトニンレベルの低下は抑制力の低下を招き、衝動性の増加と関連します。
    • セロトニンはPFCや扁桃体との相互作用を通じて、感情的衝動の制御に寄与します。

脳卒中後のドーパミン変化

  • ドーパミン放出の増加:

    • 脳卒中後、一部の患者でドーパミンの放出が増加し、衝動性が高まることがあります。その結果、長期的目標よりも短期的な結果を優先する傾向が見られます。
  • ドーパミン生成の変化:

    • 黒質や腹側被蓋野などのドーパミン産生領域が脳卒中の影響を受けると、ドーパミン合成や放出が変化します。
  • 受容体感受性の変化:

    • 脳卒中後、ドーパミン受容体の感受性が変化し、活性受容体の減少に対する代償機構としてドーパミン放出が増加する可能性があります。
  • 炎症反応:

    • 脳卒中による炎症は神経伝達物質システムに影響を与え、ドーパミン作動性ニューロンの機能に影響を及ぼす可能性があります。

新人が陥りやすいミス

  • 依存症管理の重要性:
    • 依存症を見過ごすことなく、総合的な治療計画に組み込みます。
    • 多職種チームと連携し、患者の身体的・精神的健康を包括的にサポートします。

 


 
 
黒質とその臨床関連性について提供される詳細な情報の理解を確認するために、ここに 10 の質問があります。


①解剖学的位置: 黒質は脳内のどこにあり、その 2 つの主要な部分は何ですか?

②血液供給: 主に黒質に血液を供給する動脈はどれですか?その血管新生にはどのような特徴がありますか?

③黒質線条体経路: 黒質線条体経路の経路と機能について説明します。 パーキンソン病とどのような関係があるのでしょうか?

④中脳辺縁系経路の関係: 関係する神経伝達物質に焦点を当てて、中脳辺縁系経路と黒質の関係を説明してください。

⑤黒質視床経路: 運動制御における黒質視床経路の役割は何ですか?

⑥MRI の識別: MRI で黒質をどのように識別できますか?また、パーキンソン病において黒質を視覚化する際の課題は何ですか?

⑦ドーパミン生成とパーキンソン病: パーキンソン病におけるドーパミンの役割とドーパミンの喪失が運動症状に及ぼす影響について説明してください。

⑧運動とドーパミン放出: 運動はドーパミン放出にどのような影響を及ぼしますか?また、パーキンソン病のリハビリテーションにどのような影響がありますか?

⑨食事とドーパミン生成: 特にパーキンソン病との関連で、食事とドーパミン生成の関係を説明してください。

⑩リズム聴覚刺激 (RAS): パーキンソン病のリハビリテーションで RAS がどのように使用されるか、およびその有効性の背後にある原則について説明してください。

 
 回答は?

①解剖学的位置: 黒質は、脳幹の一部である中脳にあります。 それは、ドーパミン作動性ニューロンが豊富な緻密部 (SNc) と、主に GABA 作動性ニューロンである網状部 (SNr) の 2 つの主要な部分で構成されます。

②血液供給: 黒質の血液供給は主に後大脳動脈から来ます。 そのユニークな特徴は、緻密部の高密度の毛細管ネットワークであり、ドーパミン作動性ニューロンの高い代謝要求をサポートします。

③黒質線条体経路: この経路はSNcから始まり、線条体(尾状核および被殻)に投射し、運動計画に重要なドーパミンを供給します。 その変性はパーキンソン病の特徴であり、運動症状を引き起こします。

④中脳辺縁系経路の接続: 中脳辺縁系経路は黒質から直接生じているわけではありませんが、腹側被蓋野から大脳辺縁系まで延びるドーパミン作動系を介して黒質と結びついています。

⑤黒質視床経路: この経路には、SNr から視床への投射が含まれ、運動制御と運動情報の統合に役割を果たします。

⑥MRI による同定: MRI では、黒質が上丘レベルの赤核の前に現れます。 特に鉄分が減少するパーキンソン病では、それを視覚化するために感受性強調画像法 (SWI) などの高度な技術が必要です。

⑦ドーパミン生成とパーキンソン病: ドーパミンは主に SNc によって生成され、運動制御に不可欠です。 パーキンソン病では、ドーパミン生成ニューロンの喪失により、運動緩慢や固縮などの運動症状が引き起こされます。

⑧運動とドーパミン放出: 定期的な運動は脳内のドーパミン放出を増加させ、運動機能と気分を改善し、パーキンソン病のリハビリテーションに有益です。

⑨食事とドーパミン生成: 特定の食品、特にチロシンが豊富な食品は、ドーパミン合成をサポートする可能性があります。 ただし、パーキンソン病におけるドーパミンレベルに対する食事の直接的な影響を確認するには、さらなる研究が必要です。

⑩リズミカルな聴覚刺激 (RAS): RAS は、メトロノームのビートのようなリズミカルな聴覚刺激を使用して、パーキンソン病患者の運動機能を改善します。 これは動きと音を同期させる脳の能力に基づいており、歩行と動きの速度を向上させることができます。

 

黒質を意識したリハビリテーション展開例

登場人物

  • 療法士:金子先生
  • 患者:丸山さん

1. 初回セッション

場所:リハビリテーションクリニックの診察室

金子先生:「丸山さん、本日はお越しいただきありがとうございます。最近、どのような症状でお困りですか?」

丸山さん:「先生、最近手が震えて物を持つのが難しくなってきました。それに、動きが遅くなってきて、階段の上り下りも怖いんです。」

金子先生:「それはご不便ですね。他に気になることはありますか?」

丸山さん:「趣味の釣りにも行かなくなりました。出かけるのが面倒で、友人とも会う機会が減ってしまって。」

金子先生:「睡眠や食事には変化はありませんか?」

丸山さん:「夜中に何度も目が覚めてしまいますし、食欲もあまりなくて……。」

金子先生:「わかりました。では、詳しく体の状態を見させていただきますね。」


2. 総合評価とリハビリ目標の設定

金子先生:「まず、立ち上がっていただいて、こちらまで歩いてみてください。」

丸山さん、ゆっくりと立ち上がり、少し前傾姿勢で歩き始める。

金子先生:「ありがとうございます。少し歩幅が狭くなっていますね。手の振戦も見られます。ボタンをかけたり、字を書くのはどうですか?」

丸山さん:「ボタンは時間がかかりますし、字も震えてうまく書けません。」

金子先生:「最近、何か楽しみなことはありますか?」

丸山さん:「あまりないですね。何をするにも気が乗らなくて。」

金子先生:「睡眠の質も下がっているようですし、全体的にドーパミンの機能低下が影響しているかもしれませんね。」

丸山さん:「ドーパミンですか?」

金子先生:「はい。ドーパミンは脳内の神経伝達物質で、運動や意欲、睡眠などに関与しています。黒質という部分で作られるのですが、パーキンソン病ではその部分が影響を受けます。」

丸山さん:「そうなんですね。どうすれば良くなりますか?」

金子先生:「いくつかリハビリの方法があります。一緒に目標を立てて取り組んでいきましょう。」

リハビリ目標の設定

  • 運動機能の改善:歩行の安定性と速度を向上させる。
  • 日常生活動作の自立:着替えや食事動作をスムーズに行えるようにする。
  • 意欲と生活の質の向上:趣味や社会活動を再開する。
  • 睡眠の質の改善:夜間の睡眠を深くし、日中の眠気を減らす。
  • 食欲と栄養状態の改善:バランスの良い食事を摂取する。

3. リハビリの計画と実施

金子先生:「まず、リズム聴覚刺激、RASという方法を試してみましょう。」

丸山さん:「RASですか?」

金子先生:「はい。メトロノームや音楽のリズムに合わせて体を動かす方法です。脳と音楽のつながりを利用して、動きをスムーズにします。」

金子先生、タブレットでメトロノームアプリを起動する。

金子先生:「このリズムに合わせて、その場で足踏みしてみましょう。」

丸山さん、最初は戸惑いながらもリズムに合わせて足踏みを始める。

金子先生:「いい感じですよ。次は少し歩いてみましょう。」

丸山さん、リズムに乗って歩き出すと、動きがスムーズになる。

丸山さん:「あれ、さっきより歩きやすい気がします。」

金子先生:「そうですね。リズムが体の動きを助けてくれます。ご自宅でも好きな音楽で試してみてください。」

丸山さん:「演歌が好きなんですが、それでもいいですか?」

金子先生:「もちろんです。リズムが一定であれば効果があります。」

次に、上肢の微細運動訓練

金子先生:「手の動きも訓練しましょう。こちらのビー玉をつまんで、別の容器に移してみてください。」

丸山さん、慎重にビー玉をつまむが、手が震えて落としてしまう。

丸山さん:「難しいですね。」

金子先生:「焦らずゆっくりやってみましょう。繰り返すことで改善していきますよ。」

心理面へのアプローチ

金子先生:「最近、将棋をされていないとのことでしたが、また始めてみませんか?」

丸山さん:「でも、手が震えて駒をうまく持てないかも……。」

金子先生:「それもリハビリになりますし、頭の体操にもなります。お友達と一緒にやれば気分転換にもなりますよ。」

丸山さん:「そうですね、久しぶりに連絡を取ってみます。」

生活習慣の指導

金子先生:「食事では、バナナやアーモンドなど、チロシンが豊富な食品を取り入れてみましょう。」

丸山さん:「バナナは好きなので、朝食に加えてみます。」

金子先生:「睡眠前には、深呼吸や軽いストレッチをしてみてください。リラックスして眠りにつけると思います。」

丸山さん:「わかりました、やってみます。」


4. 結果と進展

数週間後、再び診察室にて

金子先生:「丸山さん、その後いかがですか?」

丸山さん:「先生、おかげさまで歩くのが楽になってきました。音楽に合わせて歩くと調子がいいです。」

金子先生:「それは良かったです。手の方はどうですか?」

丸山さん:「まだ少し震えますが、ボタンもかけやすくなりました。将棋も友人と再開して、楽しい時間を過ごしています。」

金子先生:「睡眠や食欲は改善しましたか?」

丸山さん:「はい、夜もぐっすり眠れるようになり、食事もおいしく感じます。」

金子先生:「素晴らしいですね。意欲も戻ってきたようで安心しました。」

丸山さん:「先生のアドバイスのおかげです。本当にありがとうございます。」

金子先生:「こちらこそ、丸山さんの努力の結果ですよ。この調子でリハビリを続けていきましょう。」

丸山さん:「はい、これからも頑張ります。」

金子先生:「何か不安なことや困ったことがあれば、いつでも相談してくださいね。」

丸山さん:「ありがとうございます、心強いです。」


エピローグ

丸山さんはリハビリを通じて、運動機能だけでなく生活全体の質を向上させることができた。金子先生との信頼関係も深まり、継続的なサポートのもとで前向きな生活を送っている。

金子先生(心の中で):「患者さんの笑顔が増えると、本当に嬉しい。これからも一人ひとりに寄り添った医療を提供していこう。」


このように、二人の具体的な会話を通じて、初回セッションから結果と進展までのプロセスが描かれています。患者とのコミュニケーションを重視し、リハビリの効果を最大限に引き出すことができました。

今回のYouTube動画はこちら

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STROKE LAB代表の金子唯史が執筆する 2024年秋ごろ医学書院より発売の「脳の機能解剖とリハビリテーション」から
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