【2025年版】福島県における自費リハビリの現状｜福島市、会津若松市、郡山市、いわき市など地域の地域の特徴や相場、今後の展望まで

はじめに

福島県は、太平洋に面した浜通りから阿武隈高地を抱える中通り、そして会津盆地を中心とした会津地方に至るまで、地形・風土が大きく異なる3つのエリアを有する広大な県です。四季折々で顔を変える美しい風景、桃やさくらんぼといった甘い果樹、そして歴史と文化の色濃い会津の武家屋敷や、太平洋の恵みを存分に受けたいわきの海鮮――こうした多彩な魅力を誇りながら、一方で東日本大震災と原発事故という大きな試練を乗り越え、住民同士の絆を深めてきた地でもあります。

そんな福島県では、医療・介護においても「地域で助け合い、最後まで生活を支える」風土が根付きつつあります。特にリハビリテーションの分野では、病院や介護サービスの枠を超えて多彩なアプローチが展開され、近年は保険適用外（自費）リハビリの需要と供給がゆっくりと増え始めています。本稿では、「福島県らしい地域性」や「人々の暮らしに根差した支援」といった切り口に注目しながら、各地域の自費リハビリの動向をリサーチした結果をまとめます。

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【1】市区町村ごとの自費リハビリの状況

1-1. 福島市（県北エリアの中心都市）

福島市は桃やリンゴといった果物栽培が盛んな“果物王国”として全国的にも知られ、飯坂温泉や土湯温泉などの温泉街、そして国道沿いに広がる果樹園の風景が魅力的なエリアです。県庁所在地として医療資源も比較的豊富ですが、高齢化に伴い保険では賄いきれないリハビリを求める声が少しずつ増えています。

ここで注目されるのが、2022年に開設された脳卒中リハビリパートナーBright福島笹谷店です。おしゃれなプライベートジム風の内装とマンツーマン対応が話題になり、地域の脳神経外科クリニックと連携した専門的アプローチも特徴。ボトックス短期集中コースもあり。さらに脳梗塞リハビリステーション福島サテライトは、「東北初の完全予約制マンツーマン」を掲げ、脳卒中発症から数年・数十年経った方の機能向上を目指す集中プログラムを提供しています。

1-2. 郡山市（中通り中部の商業拠点）

「郡山のシンボル」といえば、郡山駅前のペデストリアンデッキや、ビッグパレットふくしまで開催される大規模イベントかもしれません。近年は新幹線を活かした交通の便も手伝い、商業施設が集積し続ける中心都市へと成長してきました。そんな郡山市でも、保険リハビリの制限を補完する形で自費リハビリ施設が注目を集めています。

たとえばBright郡山店（県内2号店）は、2023年に方八町へオープンし、脳卒中・神経難病・小児リハと幅広い領域を視野に入れた専門性の高いスタッフを揃えています。リライフ郡山のように訪問型で自宅に出向くサービスも登場し、「退院後も通院の負担なくリハビリを継続したい」「自宅の段差やトイレでの動作を直接指導してほしい」という要望に応えているのが大きな特徴です。

表1に、福島市・郡山市をはじめとする主要市区町村の自費リハビリの代表例を簡単にまとめましたので、ご覧ください。

1-3. いわき市（豊富な海の幸と湯本温泉が魅力の大都市）

浜通り南部のいわき市は、豊かな漁場と観光地が広がる県内最大の人口を擁する都市です。ここでも自費リハビリの動きがあり、2020年創業のリハビリセンターReborn（平地区）が先駆けとなりました。作業療法士が「リハビリ難民を救いたい」という思いで立ち上げたこの施設は、慢性痛や脳卒中後遺症など幅広く受け入れ、利用者一人ひとりに合わせた短期集中プランを提供しています。

また、i-stepリハビリプラス（小名浜地区）では完全マンツーマン2時間プログラムを実施しており、いわき湯本温泉を楽しみながら通所リハビリを受ける、といった過ごし方も可能です（利用者によっては温泉宿泊と組み合わせるケースも報告されています）。さらに地元の整形外科クリニックが一部、自費リハ枠を開放している例もあり、スポーツ障害や術後ケアに特化した自費施術を受けることができます.

1-4. 会津若松市・会津地域

雄大な磐梯山や鶴ヶ城、会津漆器や会津塗など誇る伝統文化が色濃く、冬は豪雪地帯になる会津若松市を中心とした一帯。歴史ある会津武家屋敷や赤べこなどの可愛らしい民芸品が人気ですが、医療・介護資源は県内の他地域に比べ決して潤沢ではなく、自費リハビリ施設の数はまだ少ない状況です.

とはいえ、脳卒中などでリハビリを必要とする方も多く、他地域の事業者による出張イベントやオンライン指導サービスが少しずつ行われています。Brightはパーキンソン病向け教室を会津若松市で開催したほか、遠隔によるリハビリカウンセリングを試験導入し、会津の難病患者をサポートする取り組みも見られます。将来的には本格的な自費リハ施設が開業する可能性も期待され、広域的な需要を取り込むかたちでサービスが拡大していく展望があります.

1-5. 相双地域（相馬市・南相馬市など）

県北部の浜通りエリアである相馬地方は、豊かな海産物や美しい海岸線を楽しめる一方、東日本大震災の被害や原発事故の影響がまだ色濃く残る地域でもあります。医療資源が限られ、自費リハビリは整骨院や保険外施術の範囲に留まっているのが現状。脳卒中専門の自費リハ施設は確認されておらず、必要な方は仙台市や福島市の施設へ遠距離移動しているケースも少なくありません.

しかしながら、近年「家から出られない、でもリハビリをあきらめたくない」という方を対象に、訪問型サービスが拡大する兆しもあり、競合が少ないため事業として成功しやすい土壌があるとの見方もあります。今後、地域を挙げた“在宅生活サポート”が進む中で、自費リハビリが普及する可能性は充分あるエリアといえるでしょう.

【2】自費リハビリの相場

2-1. 1回あたりの費用

自費リハビリは公的保険が利かないため、1回（60分）あたり1万円前後がひとつの目安となります。施設の設備やスタッフの専門性によっては15,000円以上する場合もありますが、首都圏ほどの高価格帯は少ないようです.

2-2. 月額・短期集中コースの費用

多くの施設が月単位や複数回パックで割安になるプランを設定しています。2か月集中リハコース（週2回×約16回）で総額25～30万円程度が相場とされ、1回単価としてはやや抑えめになります。Bright福島や脳卒中リハビリステーション福島サテライトのように「お試しパック」を用意している施設もあり、初回3～5回セットで割安価格を提供して利用者の不安を和らげる工夫が見られます.

2-3. 保険適用外になる背景

高額になる理由としては、日本の医療保険制度におけるリハビリ提供時間や日数の制限があり、そこを超えて充実したリハビリを望む場合は自費しか選択肢がないことが挙げられます。脳卒中では発症後180日程度で医療保険のリハビリ打ち切りとなり、その後は十分な量を確保できないことも多々。そこで「もっと集中的にリハを受けたい」「退院後も回復を追求したい」というニーズを満たすべく、時間無制限・継続支援可能な自費リハビリが登場したという背景があります.

2-4. 福島県特有の料金設定傾向

首都圏や関西の大都市に比べ、福島県は1回あたりの価格を1万円前後に設定している施設が多い印象です。これは、地域の収入水準や保険外リハビリへの認知度に配慮し、利用しやすい設定としているからと考えられます。地域によっては出張費を加算しても1時間1.1～1.2万円程度に収まる場合もあります.

【3】自費リハビリの特徴（福島県の特色）

3-1. 地域性を踏まえた創意工夫

福島県は広大な面積を誇り、公共交通網が限られる地域もあるため、通所困難な方へ訪問型リハビリを提供する事業者が目立ちます。郡山市のリライフ郡山は、その代表例。移動が難しい高齢者にも「諦めずにリハを継続してもらいたい」という思いから誕生し、自宅動線や買い物・外出時の同行支援まで行うケースが見られます。これはまさに「地域コミュニティで助け合う」福島の気質が反映されたサービスといえそうです.

3-2. 大都市圏との違い

首都圏のように競合が激しいわけではないため、福島県の自費リハビリはマンツーマンの濃厚な対応や料金設定の工夫によって利用者を獲得し、口コミで広がっているケースが多いようです。決して派手さはないものの、「地元出身のセラピストが立ち上げたアットホームな雰囲気」「家族のように寄り添う長期サポート」といった魅力が利用者を強く惹きつけ、満足度の高さにつながっています.

また、豊富な温泉や美しい自然を活かして、“温泉療法＋リハビリ” や “VR×リハビリ” のように付加価値をつける施設もあり、県外から短期滞在で通う方も増加傾向とのこと。

【4】福島県内の一般的な保険適用病院一覧

福島県には、まずは保険適用内でリハビリを提供する総合病院・専門病院が各エリアに存在しており、急性期から回復期までのリハビリテーションを行っています。以下は主な病院名を地域別にまとめた一覧です（表2参照）。自費リハビリは保険リハビリの補完として利用されるケースが多く、こうした中核病院との連携も非常に重要になっています.

おわりに

ここまで、福島県内における自費リハビリの現状を、市区町村別の動向、相場、対象疾患、特徴、リハビリ形式、予後予測、そして保険適用病院の一覧に至るまで多角的にご紹介してきました.

福島県は面積が広大で地域差も大きい反面、「地元の人を最後まで支えたい」「震災を乗り越えた経験から、あきらめずに生活の再建を目指したい」という熱意が根付いており、自費リハビリもその延長線上で盛り上がりを見せています。都市部のように派手さはないものの、アットホームかつ柔軟な対応で、利用者を一人ひとり手厚くサポートする姿勢が高く評価されているのです.

■ 明るい展望

• 会津や相双など、まだ自費リハビリの供給が十分でないエリアにも、今後オンラインや出張型サービスが普及し、県全体としてリハビリ難民が減る見込みがあること
• 福島の豊かな自然・温泉資源を活かした宿泊型リハプログラムや、VRなど最新技術の導入が進み、他県からの誘客効果も見込まれること

■ 今後の課題

• リハビリ専門職やST（言語聴覚士）の数が限られているため、自費リハ施設を増やしにくい事情
• 料金負担が大きく、経済的に利用が難しい方へのサポート体制（助成やローン制度など）の拡充が求められる

こうした課題を抱えつつも、福島の人々が培ってきた互助精神と先進リハビリへの取り組みは確実に拡大しています。「できることなら故郷で、慣れ親しんだ家で、家族や仲間とともに前を向いて生きたい」。そんな思いを実現するために、自費リハビリは大きな可能性を持つ選択肢となっているのです.

【参考・補足】

本稿では、福島県内の自費リハビリに関する公開情報や事業者サイト、医療機関の事例紹介などを元にまとめています。施設名や料金設定は2024～2025年頃の情報が中心です。最新のサービス詳細・価格は各事業者へ直接お問い合わせください.

福島県では、県や市町村、リハビリテーション科を有する医療機関、地域包括支援センターなどと連携しながら、自費リハビリ事業者が新しいリハビリプログラムを試行的に導入しているケースが多く見られます。そうした地域連携の動きも、今後さらに活発化することが期待されます.