【2024年版】音楽が歩行改善と感情ケアに与える効果:リハビリ応用法とおすすめ楽曲リスト – STROKE LAB 東京/大阪 自費リハビリ | 脳卒中/神経系
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【2024年版】音楽が歩行改善と感情ケアに与える効果:リハビリ応用法とおすすめ楽曲リスト

音楽が歩行と心身に与える影響

新人療法士丸山さんとリハビリテーション医師金子先生の講義形式


1. 音楽の影響を探る:講義の始まり

金子先生:
「丸山さん、今日は音楽が患者さんの歩行や心身に与える影響について話しましょう。このテーマは、脳科学や神経学の視点からリハビリテーションを深く理解するための鍵です。」

丸山さん:
「音楽とリハビリテーションの関係はよく耳にしますが、具体的なメカニズムや臨床応用方法が知りたいです!」


2. 脳科学の視点:音楽が脳に与える影響

金子先生:
「音楽は、脳の広範囲にわたる領域を活性化させます。特に重要なのが以下の3つの領域です。」

  • 運動皮質と補足運動野
    音楽のリズムは、運動皮質を活性化し、歩行時のリズム感覚や動作の予測を可能にします。特にリズムに合わせた運動は、脳卒中患者の歩行再建に有効です。

  • 感覚運動統合領域
    音楽は、聴覚刺激を介して感覚と運動を統合します。このプロセスは、歩行やバランスの制御に役立つ情報処理を加速させます。

  • 報酬系(腹側被蓋野、線条体)
    音楽を聴くことで、ドーパミンが分泌され、モチベーションや感情が向上します。患者の意欲を高め、リハビリテーションの持続力が向上するのはこのためです。


3. 神経学的視点:音楽の歩行への影響

丸山さん:
「音楽が歩行にどのように影響するのか、具体例を教えてください!」

金子先生:
「リズムの活用がカギです。以下は主なメカニズムです。」

  1. リズム的聴覚刺激(RAS)
    音楽やメトロノームによるリズムが歩行速度や歩幅の調整を促します。脳卒中後の歩行障害に対して、規則的な音楽は脳の運動回路を再編成します。

  2. テンポと周波数の影響
    テンポが速すぎると患者の歩行が不安定になりますが、適切なテンポの音楽(例えば、歩行速度に合った60〜80 BPM)は、歩調の安定性を向上させます。

  3. デュアルタスクとしての訓練
    音楽を聴きながら歩行することで、注意分散をトレーニングするデュアルタスク練習が可能です。特にパーキンソン病や脳卒中後の患者に有効です。


4. 音楽と身体の連動性

金子先生:
「音楽が筋活動に与える影響も見逃せません。」

  • 筋シナジー
    音楽のリズムが、屈筋と伸筋の協調を改善します。これにより、スムーズで安定した歩行が可能になります。

  • 歩行周期の改善
    音楽のリズムは、股関節や膝関節の屈伸タイミングを同期させることで、より効率的な歩行周期を実現します。


5. 感情と音楽:患者の心理面への影響

丸山さん:
「音楽は感情面にも良い影響を与えると聞きました。」

金子先生:
「その通りです。以下の点が重要です。」

  1. ストレス軽減
    音楽は、副交感神経を刺激し、リラクゼーション効果を高めます。リハビリ中の患者の緊張緩和に役立ちます。

  2. モチベーションの向上
    好きな音楽を聴くことで、患者の気分が高まり、リハビリへの取り組み意欲が向上します。

  3. 社会的な繋がりの形成
    グループリハビリで音楽を用いると、他の患者との連帯感が生まれ、心理的な孤立感が軽減します。


6. 臨床応用:音楽を取り入れたリハビリプログラムの具体例

金子先生:
「では、具体的な例を挙げてみましょう。」

  1. 歩行訓練

    • 患者の歩行速度に合わせた音楽(BPM調整)を選択します。
    • 初期段階ではテンポが遅い曲を使用し、慣れてきたら少しずつテンポを上げます。
  2. リズム療法セッション

    • メトロノームを使い、歩行とリズムを同期させます。
    • グループ形式で実施することで、患者同士の相互支援も期待できます。
  3. 感情改善プログラム

    • 患者が選んだ好きな音楽をリハビリ中に流します。
    • 特にセラピストが推奨する「活力を与える音楽」と患者が共感する音楽の組み合わせが効果的です。

7. 結論と今後の展望

金子先生:
「音楽は単なる娯楽ではなく、脳科学・神経学・バイオメカニクスの視点から見てもリハビリテーションに強力な効果を持つツールです。丸山さんもぜひ、臨床で試してみてください。」

丸山さん:
「今日の講義で、音楽の可能性を広く理解できました。早速、患者さんへのリハビリ計画に取り入れてみます!」

論文内容

カテゴリー

歩行

タイトル

自由速度歩行と生理面、感情面、知覚面のアウトカムに対する音楽の効果

Effects of musical tempo on physiological, affective, and perceptual variables and performance of self-selected walking pace?PubMed Flávia Angélica Martins Almeida J Phys Ther Sci. 2015 Jun; 27(6): 1709–1712.

なぜこの論文を読もうと思ったのか?

・病院で勤めていたときにリハビリセンターに音楽を流していたが、その音楽に感情面や動作面への影響があると述べている論文を見つけた。興味深かったため読もうと思った。

内 容

背景・目的

・音楽は雰囲気、感情、行動などに影響を与え、単調な運動をより楽しく、効果的なものに変えることができる。

・歩行は比較的怪我の可能性が低く、日常生活に取り入れやすい運動である。歩行と音楽を合わせることによって運動を継続しやすくなると思われるが、検証した論文は少ない。

・したがって、本論文は音楽が生理学面、感情面、知覚面、歩行機能に与える影響を検証する。

方法

28名の女性(身体活動が少なく、座位中心の生活を送っている方)

・以下の3群で分けた

・対照群群

90bpm群:1分間に90回のリズムの音楽刺激

140bpm群:1分間に140回のリズムの音楽刺激

・被験者は①準備運動、実験概要説明②トレッドミル漸増運動テスト(負荷量計測)③トレッドミル歩行30分間(自由速度)

・トレッドミル歩行時の主観的運動強度(RPE)、%心拍数(%HR)、最大酸素摂取量(%VO2Max

、感情面(快、不快を+5~-5の11段階の質問で計測)、歩行速度をアウトカムとした。

結果

表:実験結果 Flávia Angélica Martins Almeida (2015)より引用

 ・感情面と%HR、%VO2maxには群間の有意差が見られなかった。

RPEに関して、対照群と140bpm群は有意差が見られたが、対照群と90bpm群には有意差が見られなかった。

・歩行速度は140bpm群が他の2群より有意に速い歩行速度だった。

音楽を利用した歩行能力向上リハビリの具体的な臨床応用手順

音楽を活用したリハビリテーションは、主にリズム的聴覚刺激(Rhythmic Auditory Stimulation, RAS)をベースとし、歩行能力を向上させるために活用されます。以下に具体的な臨床応用の手順を、例を交えながら詳しく説明します。


1. 準備段階:患者評価と計画立案

(1) 患者の評価

  • 歩行能力の評価:
    10m歩行テスト(10MWT)、Timed Up and Go(TUG)、歩行速度、歩幅、歩行周期を測定します。
  • 感覚・認知評価:
    聴覚やリズム認識能力を確認。認知機能の低下や音楽への反応性を評価します。
  • 好みの音楽の選択:
    患者が好む音楽ジャンルやリズムを聞き取り、リハビリで使用する曲を選びます。

(2) 使用機材の準備

  • メトロノームまたは音楽プレイヤー(BPM調整機能付きのアプリが便利)。
  • スピーカーやイヤホン(環境や患者の状況に応じて選択)。
  • 歩行分析装置(必要に応じて)。

2. リハビリ実施手順

(1) リズム同期の初期トレーニング

  • 目的: 音楽のリズムに合わせた歩行を習得する。
  • 方法:
    1. テンポの設定: 患者の自然歩行速度を測定し、それに近いBPM(例: 80〜100 BPM)を設定。
    2. 練習環境の設定: 平坦な床で、視覚的障害物を排除した安全な場所で実施。
    3. 歩行練習:
      • 患者に音楽やメトロノームを聞かせながら、リズムに合わせて歩行。
      • 歩幅、左右対称性、足の接地タイミングに注意しながら指導。
    4. フィードバック提供:
      • 患者がリズムに正確に合うよう口頭やビデオでフィードバックを行う。

(2) テンポ調整の段階的トレーニング

  • 目的: 歩行速度や歩幅の改善。
  • 方法:
    1. テンポの漸進的調整:
      • 初期BPMから+5~10 BPMずつ増加。患者が快適に歩ける範囲で段階的に調整。
    2. 地形の変化を加える:
      • 平坦な床から、軽い坂や凹凸のある場所での歩行へ移行。

(3) デュアルタスクトレーニング

  • 目的: 日常生活環境での注意分散能力を向上させる。
  • 方法:
    1. 音楽に合わせて歩行しながら、簡単な課題(数字を逆に数える、色を認識するなど)を実施。
    2. 徐々に課題の複雑さを上げていく。

(4) グループセッション

  • 目的: 社会的刺激とリズム感の強化。
  • 方法:
    1. グループでリズム音楽を使用し、列を作って歩行練習。
    2. 他者との歩調を合わせることで、社会的なモチベーションを高める。

3. 症例例示:脳卒中患者Aさんの場合

症例情報:

  • 年齢: 65歳
  • 診断: 脳卒中後左片麻痺、歩行速度 0.6 m/s
  • 好みの音楽: クラシック(BPMが調整しやすい)

トレーニングプラン:

  1. 第1週: 初期リズム同期訓練

    • メトロノームを90 BPMで設定し、平坦な床でリズムに合わせて歩行。
    • 1分間の練習を3回行い、間に休憩。
  2. 第2週: テンポ調整

    • 95 BPMに増加し、歩幅と左右対称性を改善。
    • 軽い坂を使った歩行練習を導入。
  3. 第3週: デュアルタスク導入

    • 音楽を聴きながら、途中で「青いものを探してください」などの課題を追加。
  4. 第4週: グループセッション

    • 他の患者と協調しながら行進リズムで歩行。

4. 注意点

  • リズムの適合性: 患者の能力に合わせたテンポを選択する。速すぎるリズムは転倒リスクを高める。
  • 安全管理: 初期段階では介助や安全ベルトの使用を推奨。
  • 継続的な評価: 歩行速度、歩幅、バランスの変化を定期的に評価し、プログラムを調整する。

5. エビデンスの補足

  • 音楽療法の効果: 音楽によるリズム刺激は脳の運動回路を再編成し、歩行速度とバランス能力を改善します。
  • 患者の満足度: 音楽療法は、患者のモチベーションを高め、リハビリの持続率を向上させることが示されています。

6. 期待される成果

  • 歩行速度や歩幅の向上。
  • モチベーションの向上によるリハビリ継続率の改善。
  • 日常生活での転倒リスクの低減。

これらの手順を適切に実施することで、音楽を活用したリハビリの可能性を最大限に引き出すことができます。

新人療法士が音楽を用いたリハビリを行う際のポイント

新人療法士が片麻痺患者に対して音楽を用いた歩行リハビリを実施する際、以下の専門的なポイントを考慮することで、安全かつ効果的な介入が可能となります。


1. 患者ごとの音楽選択の重要性

音楽の特徴:

  • テンポ(BPM): 患者の自然歩行リズムに合わせることが基本です。
    • 片麻痺患者の場合、歩行速度が遅くなる傾向があるため、最初は自然歩行速度-5%程度のテンポから開始し、徐々にテンポを上げる。
  • ジャンル: 患者が好む音楽はモチベーション向上につながる。クラシック音楽や楽器主体の音楽はテンポ調整がしやすい。
  • リズムの強さ: 明瞭なリズムが含まれる音楽(例: ドラムビートが明確なもの)が歩行テンポの同期に有効。

注意点:

  • 患者が音楽を不快に感じたり、疲労を増加させたりしないよう、音楽を選択する前に好みや反応を確認する。

2. 片麻痺特有の歩行パターンへの対応

片麻痺患者は、麻痺側の推進力低下や体重支持の不均衡などが見られるため、以下の点を重視します:

  • 麻痺側のリズム強化:
    麻痺側の下肢の接地タイミングを意識させるため、リズムに合わせて「踏み出し」の指示を強調。

    • 具体例: 麻痺側のステップ時に音楽の「強拍」が重なるようタイミングを設定。
  • 足底感覚の補助:
    音楽を併用しながら、足底へのタップや触覚刺激でリズムの感覚を補強する。

  • 歩幅の改善:
    麻痺側の歩幅が小さくなりやすいため、音楽のテンポに合わせてステップ幅を拡大する練習を組み込む。


3. リズム認識能力の評価と調整

片麻痺患者では、聴覚リズムに対する応答性が低下している場合があるため、事前評価が必要です:

  • リズム認識テスト:
    手拍子や足踏みでリズムに合わせる能力を確認し、適切なテンポを設定する。
  • テンポ適応訓練:
    初期段階で低速のリズム(例: 60〜70 BPM)から始め、患者がテンポに合わせられるよう促す。

4. 安全性を考慮した補助

  • 歩行補助具の選択:
    音楽リハビリ中は、四点杖や歩行器を使用し、リズムに合わせて安全に練習できるよう調整。
  • バランス訓練の併用:
    音楽に合わせた側方移動や方向転換の練習を追加し、転倒リスクを軽減。

5. 視覚情報との統合

  • 音楽に加えて、視覚的ガイドラインを提供することで、リズム認識を補完。
    • : フロアに設置した足跡マークに合わせて歩行を練習。

6. 介入時の段階的な進行

リハビリは以下のように進行させます:

  1. テンポ同期練習: メトロノームまたはシンプルなリズム音楽を使用。
  2. 歩行動作への統合: 音楽に合わせた歩行を反復。
  3. デュアルタスク訓練: 音楽に合わせながら、認知課題や視覚課題を追加。
  4. 変化する環境での適応: 音楽のテンポや環境を変化させ、応用力を高める。

7. 患者の疲労とストレスのモニタリング

片麻痺患者は歩行時に疲労しやすいため、音楽を利用する時間やセッションの強度を適切に管理:

  • セッション時間:1回あたり20〜30分を目安に。
  • 疲労の兆候(表情、呼吸の変化など)を観察し、必要なら休憩を取る。

8. フィードバックを活用した学習促進

  • 患者の歩行を録画し、音楽との同期状態を確認。
  • 改善点を患者に視覚的に示し、リズムへの適応を強化。

9. 心理的モチベーションの支援

音楽はモチベーションを高めるためのツールとしても重要です:

  • 好みの曲を選ぶだけでなく、セッション終了時に患者に成功体験を提供する(「今日の歩行リズムは完璧でした!」)。

10. 患者ごとの記録と調整

音楽のテンポ、患者の歩行速度、疲労度などを毎回記録し、次回セッションに反映。個別性を重視した計画を立てることで、効果を最大化します。


これらのポイントを適切に活用し、患者ごとの状態やニーズに合わせたプログラムを構築することで、音楽を用いたリハビリの成功率が高まります。

歩行練習で聞くおすすめの音楽は?

もちろん、日本の曲にも歩行リハビリに適したものがあります。以下は、日本の曲の中から歩行リハビリに活用しやすいテンポや雰囲気を持つものを選びました。患者さんの好みにも合わせられるよう、幅広いジャンルを含めています。


1. 「世界に一つだけの花」 – SMAP

  • テンポ: 約85 BPM
  • 理由: ゆっくりとしたテンポで初心者にも適しており、親しみやすい歌詞がリラックス感を与えます。

2. 「栄光の架橋」 – ゆず

  • テンポ: 約95 BPM
  • 理由: 感動的で前向きな曲。リハビリ中のモチベーションアップに効果的。

3. 「涙そうそう」 – 夏川りみ

  • テンポ: 約80 BPM
  • 理由: 穏やかなテンポと優しいメロディで、リズム感を掴むトレーニングに最適。

4. 「365日の紙飛行機」 – AKB48

  • テンポ: 約87 BPM
  • 理由: 努力と前向きさを感じさせる歌詞が、患者さんに希望を与えます。

5. 「春よ、来い」 – 松任谷由実

  • テンポ: 約70 BPM
  • 理由: ゆっくりとしたテンポで、初期のリハビリや落ち着いた雰囲気を好む患者さんに適しています。

6. 「Runner」 – 爆風スランプ

  • テンポ: 約140 BPM(スローアレンジを使用可)
  • 理由: 力強いリズムと歌詞で、歩行トレーニングの後半やテンポを上げたいときに最適。

7. 「上を向いて歩こう」 – 坂本九

  • テンポ: 約88 BPM
  • 理由: 歩行リハビリにぴったりのタイトルとテンポ。歌詞が前向きでリハビリにマッチします。

8. 「小さな恋のうた」 – MONGOL800

  • テンポ: 約95 BPM
  • 理由: テンポが安定しており、若年層やポップス好きな患者さんにも適した曲。

9. 「イエスタデイ」 – Official髭男dism

  • テンポ: 約75 BPM
  • 理由: 比較的ゆったりとしたテンポで、感情的なつながりを引き出す効果が期待できます。

10. 「いつも何度でも」 – 木村弓(『千と千尋の神隠し』主題歌)

  • テンポ: 約82 BPM
  • 理由: 穏やかで癒しのあるメロディが、リラックスしたリハビリ環境を作ります。

選曲のコツ

  • テンポ: 初心者には70~90 BPMのゆっくりとした曲、中級者以上には90~120 BPMの曲を選びましょう。
  • 患者の好み: 日本の曲に馴染みのある患者さんには、世代や趣味に合わせた選曲が効果的です。
  • 歌詞: 歌詞の意味がポジティブであることが重要です。歌詞を理解しやすい曲は、感情的なモチベーションにもつながります。

これらの曲を活用して、患者さんのリハビリをより効果的に進めてください!

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