パーキンソン病のリハビリ:体軸・脊柱回旋は一番どこが影響を受けるのか? 病院/施設向け 文献
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金子コメント:
今日はパーキンソン病の患者さんに関連する論文紹介です。軸つまり脊柱を中心とした回旋や連結にポイントが絞られています。
この論文では特に足部からの運動の連結に問題を持っていると書いています。作業療法士だろうと足部から介入できるスキルがあれば、更衣動作など回旋を多く必要とするADL課題を改善できるということです。
全身評価できることは必須ですね。
本文contents
英文抄読 Axial rotation in Parkinson’s disease(パーキンソン病患者の体軸回旋)
Axial rotation in Parkinson’s disease
M Vaugoyeau, F Viallet, R Aurenty, C Assaiante, S Mesure, J Massion
<目的> パーキンソン病患者の身体の長軸周囲の回旋を調査
3つの疑問を挙げている
1.パーキンソン病患者の体軸回旋は損傷を受けるのか?
2.筋連鎖のレベルは頭部から下肢か、下肢から頭部のどちらがより障害を受けやすいのか?
3.パーキンソン病患者の一般的な動作緩慢に関連する欠損は?
<方法>
日常生活において固縮や転倒を経験したYhar3~4のパーキンソン患者10 名の歩行初期時の身体の回旋を経時的に(AMTI; Advanced Mechanical Technology, Watertown,Massachussetts, USA)にて計測した。
<結果>
1.身体部位の回旋が正常人に比べ開始が遅い。また肩や骨盤の連結が乏しい。
2.パーキンはボトムアップ式(下肢→頭部)の運動連鎖がトップダウンの下降性連鎖(頭部→足部)よりも難しい
3.正常人は肩と骨盤がほぼ同時に回旋するが、パーキンソン患者は骨盤の開始が遅くなる。この障害は一般的な動作緩慢ではなく、肩と骨盤間の不連結があり遅延を認める。
—臨床応用—
1.パーキンソン病患者さんには特に骨盤の回旋を意識した治療をする。 また、肩甲骨と骨盤の連結を特に意識する
2.足部から頭部へのkinetic chainを意識した治療をする。(足部のアライメントや感覚情報を修正しながら肩甲帯や頭部の立ち直りを評価していくなど
1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)