Vol.419.仙腸関節痛に骨盤ベルトは本当に有用?骨盤ベルト装着が身体に与える影響
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タイトル
●仙腸関節痛に骨盤ベルトは本当に有用?骨盤ベルト装着が身体に与える影響
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
●腰痛時に骨盤ベルトを装着する方は多いと思われる。それが実際、どのような効果を及ぼしているのか学ぼうと思い本論文に至る。
内 容
背景
●仙腸関節(SIJ)は、腰痛の部位として一般的です。ただし、SIJの痛みに関連する臨床的および機能的な兆候と症状は広く知られていません。 SIJの痛みを治療するために骨盤ベルトが日常的に使用されていますが、痛みを軽減する効果の確かな証拠はありません。
●この症例対照研究(ある疾患をもつ患者群とそれと比較する対照群に分けて,疾患の特徴や疾患の起こる可能性がある要因にさらされているかどうか,また背景因子の違いなどを比較し,関連を確認するための研究方法)は、SIJ患者と健康対照者の臨床データと機能データを比較し、SIJの痛みに対するベルトの影響を評価しました。
方法
●この前向き研究には、17人のSIJ患者と17人の健康対照者が参加した。SF36( SF-36は、健康関連QOL(HRQOL: Health Related Quality of Life)を測定するための、科学的で信頼性・妥当性を持つ尺度)と数値評価スケール(NRS)を使用して、6週間の追跡調査における患者の健康関連の生活の質と骨盤帯の痛み軽減効果を特徴づけた。筋電図データは大殿筋、大腿二頭筋、大腿直筋および内側広筋から得ました。歩行時の動的なベルト効果と共に、患者とコントロール群の筋活動、変動性、歩行パターンの変化を比較しました。
結果
●SIJ患者のSF36で、特に身体的健康サブスコアで、有意な改善が観察された。痛みの数値評価尺度にも小さな低下が観察された。ベルト関連の筋活動と変動性の変化は、患者とコントロール群で類似していましたが、例外として大腿直筋活動は歩行中にベルトを装着した患者で有意に減少した。さらなるベルト効果としては、患者とコントロール群のケイデンスと歩行速度の改善が観察された。
●SIJ患者のNRSデータを評価すると、ベルト強度に関係なく、2週間前の状態と比較し、調査日に痛みの強度が大幅に低下していることがわかる。これは、患者に触れることによる医原性の健康改善の側面、バイアスまたは骨盤帯の痛みを軽減する効果に対する患者の期待に起因する可能性がある。
●骨盤ベルトが最大と比較し中程度の張力下で適用された場合、SIJ患者の大腿直筋活動では筋活動が大幅に低下する。これは対照群では活動が増加する。大腿直筋活動の増加はSIJの痛みに因果関係がある可能性があり、骨盤帯を形態および力で閉鎖する場合に大腿直筋活動が減少することを示唆している。
●骨盤ベルトは、SIJの痛みの費用対効果が高くリスクの低い治療法と見なすことができる。
私見・明日への臨床アイデア
●上記図のようにベルトを使用するにあたり、何をアシストするのかを考慮する事は重要と考える。それと合わせ、中程度のベルトの締め具合では大腿直筋の活動を抑制できると有り、位置・締め具合なども常に考慮して指導できると良いと思われる。
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)