Vol.437.片脚立位での運動が脳卒中者の動的バランス、歩行能力を高める!?脳卒中者の麻痺側片脚立位運動の即時効果
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タイトル
●片脚立位での運動が脳卒中者の動的バランス、歩行能力を高める!?脳卒中者の麻痺側片脚立位運動の即時効果
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
●麻痺側への荷重量の増大、対称的な歩行、動的バランスなどは訓練を行う中で目標とする部分だとは思うが、実際どのような練習が効果的なのか学ぶべく本論文に至る。
内 容
目的
●研究目的は、片麻痺患者の麻痺側への体重負荷のさまざまな手法が、麻痺側のバランス維持能力と歩行パラメータにどのように影響するかを特定すること。
●片麻痺患者18人(MMSE-K 25以上、10m自立歩行が可能、麻痺側の感覚低下、下肢の筋骨格系の障害がない)がこの研究に参加した。 12人の男性と6人の女性が参加した。本研究では、下記4つの条件下で動的バランス、荷重時間・量および歩行能力に及ぼす影響を比較調査した。
(1)静止立位
(2)体重を麻痺側に自発的に最大限移動させた後、姿勢保持
(3)非麻痺側下肢を上げ、麻痺側下肢での立位保持
(4)片脚姿勢で膝関節の30秒間の屈曲/伸展運動
●脳卒中患者の麻痺側のステップテスト(ステップテストは、非麻痺側下肢を7.5 cmの高さまで上げ、次に再び床に下ろすという活動を15秒間繰り返し、カウントする測定方法。測定は合計3回実施され、被験者は各測定の間に1分の休憩を取った。)を使用し、動的バランスと荷重を測定した。脳卒中患者の歩行の空間的および時間的パラメーターの分析のために、Opto Gait System( 歩行周期分析が自動でできる、歩行リハビリテーションの画期的なシステム)を使用して歩行パラメーターを測定した。
結果
●ステップテストの各条件をペアで比較すると、すべての条件でステップ数が大幅に増加することがわかった。この研究のステップテストは、麻痺側で支持する機能を見るテストです。ステップテストは、耐荷重能力を測定するために使用される単純なツールになり得る。さらに、OptoGaitシステムの結果は、条件1と4(静止立位と片脚姿勢で膝関節の30秒間の屈曲/伸展運動)および条件2と4(体重を麻痺側に自発的に最大限移動させた後、姿勢保持と片脚姿勢で膝関節の30秒間の屈曲/伸展運動)が、麻痺側の立脚相のパラメーターで有意差を示すことを示した。
●この研究の結果は、片麻痺患者の麻痺側に片脚立位を適用すると、麻痺側下肢の感覚入力と筋の活性が増大し、非対称の荷重がより対称的な分布に改善されることを示しています。さらに、感覚入力を増大させるための下肢筋の随意運動がより効果的であることが実証された。また、歩行周期については、片脚立位により、麻痺側下肢の立脚時間の短縮が改善されたことがわかった。
●片脚立位を麻痺側の膝の屈伸を伴う片脚立位は、立脚期の体重負荷の時間を大幅に増加させ、対称性を高め、歩行機能の改善に寄与したことを示唆している。
私見・明日への臨床アイデア
●麻痺側下肢単独でのコントロール練習が出来るレベルの方(MMSE-K25以上、10m自立歩行が可能)は積極的に片脚立位下での運動を行った方が良いことが示唆された。ただ片脚立位だけでなく、その中にさらに運動の要素を含めていくことで感覚や随意的なコントロールが促進されることが示唆された。
下肢・歩行のハンドリングに役立つ動画
https://youtu.be/ObeFqDpO0vE https://youtu.be/6_38D222W20
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)