Vol.458.すくみ足が生じたら固有感覚刺激が効果的?パーキンソン患者のすくみ足に対する振動刺激の影響
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タイトル
●すくみ足が生じたら固有感覚刺激が効果的?パーキンソン患者のすくみ足に対する振動刺激の影響
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
●パーキンソン病患者に対する、視覚や聴覚刺激は利用したことあるが、固有感覚系のfeedbackは実践した事がなく、興味を持ち本論文に至る。
内 容
背景
●パーキンソン病のすくみ足の潜在的なメカニズムとして固有受容感覚の統合障害の影響が議論されている。筋振動の影響(固有受容感覚を操作)は、議論の答えを提供することができると考えられる。
●研究目的は筋振動による固有受容感覚の操作がすくみ足の程度を軽減できるかどうか調査することであった。
方法
●すくみ足を経験している18人のパーキンソン病患者(14人の男性、UPDRS-III:25.73 + 3.10、年齢:70.71 + 7.77年、MoCA:25.73 + 3.10、2人は認知面の問題があり除外のため16人)は、短い歩幅(15 cm)で歩行した。下腿三頭筋に振動装置を取り付けた。患者は1.振動なし(OFF)2.影響の少ない四肢への振動3.影響の大きい四肢への振動の群に分けられた(すくみ足発生後と発生前からの2条件)。影響の少ない四肢の定義はUPRDS-IIIで特定された臨床評価と非対称性に基づいていた。
●FOGの重症度に対する2つの異なる振動刺激の影響を評価することが可能であった。1.最初のすくみ足が発生した時に振動がオンになった。2.「予防的」な振動効果として、すくみ足が始まる前に振動を既にオンとした。すくみ足が観察された試行数に関係なく各条件4つを実行しました。
結果
●パーキンソン病患者の影響の少ない側の四肢への筋振動刺激(固有受容感覚を操作)で刺激なしと比べてすくみ足は大幅に減少し、すくみ足の発生後に筋振動が加えられた場合に減少した。振動を使用した場合の61.82%の試行では、反対側の下肢を使用して次のステップが行われました。結果は、パーキンソン病ですくみ足の根底にある可能性のある感覚メカニズムを認識することの重要性を強調しています。
●すくみ足が始まる前に振動刺激が加えられたとき、局所的な振動刺激のプラスの効果は確認されず、予防的戦略としては役立たない可能性があることを示している。
● パーキンソン病患者では末梢の体性感覚処理が損なわれていないため、より影響を受けた四肢が刺激された場合、固有受容感覚が注意処理もトリガーする。
私見・明日への臨床アイデア
●振動刺激は固有感覚受容器を刺激し、感覚入力、反射性の筋収縮を誘発するとされている。今回は、その刺激による固有感覚の入力をサポートしすくみ足を軽減させたとされる。ただし、あくまで即時的効果で、刺激なしの状態になった際の効果は不明である。効果的かは臨床場面で持続的効果を検証する必要がある。しかし、固有感覚情報の統合の面で問題が生じているという点は、臨床で評価介入していきたい部分である。
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)