Vol.464.在宅生活の中年および高齢者における単一課題および二重課題のTUGパフォーマンス影響する要因
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カテゴリー
タイトル
●在宅生活の中年および高齢者における単一課題および二重課題のTUGパフォーマンス影響する要因
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
●10m歩行やTUGはじめ種々のシンプルな検査があるが、二重課題とすることでその結果や意味合いも変わってくると思われ、先行研究でどのような結果や考察が得られているのか学ぶべく本論文に至る。
内 容
背景
●Timed Up and Go(TUG)テストには、座った状態からの立ち上がり、3メートル歩く、振り向く、後ろに歩く、後ろに座るなどのテストが含まれます。このテストは機能的可動性のシンプルで迅速に行える検査であり優れた信頼性を持っています。以前の研究では、年齢、性別、身長、体重、病歴など、TUGのパフォーマンスの要因がいくつか特定されています。他の要因、特に運動(例:下肢の筋力と歩行速度)と認知面も、TUGのパフォーマンスに影響を与えることが報告されています。
●二重課題TUGには、TUGテストを実行しながら、水を運ぶなどの課題(TUGmanual)または引き算課題(TUGcognitive)などの認知課題が含まれます。 以前の研究では、二重課題TUGと単一課題TUGのパフォーマンスの時間差が、身体の脆弱性と転倒の有効な予測因子であることを示しています。
●研究目的は、単一課題と二重課題のTUGのパフォーマンスに寄与する要因を比較することでした。
方法
●50歳以上で地域に在住する64人が参加した。 事前にインタビューと身体能力検査が行われた。
●単一課題のTUGテスト(TUGsingle)または二重課題TUGテスト(認知課題:引き算、運動課題:水を運ぶ)を実行しを完了する時間を測定した。
結果
●TUG+運動課題(水を運ぶ)は年齢により影響を受け、TUG+認知課題(引き算)は注意力の影響を受けた。
●年齢、股関節伸筋力、歩行速度、認知機能、ストループ課題のスコアはすべてのTUGのパフォーマンスと有意に関連していた。
私見・明日への臨床アイデア
●TUGは世界的にも定期的に評価されるテストであると思われる。今回、水を運ぶという運動課題を付加した場合は年齢の影響、引き算を行う認知課題が付加された場合は注意機能の影響が示唆された。患者の移動能力の経過を追う際に、単一課題と二重課題を組み合わせた場合の差を見ていく事も重要と思われる。認知負荷で差が大きく見られる様であれば、注意機能はじめ認知面の課題を含んだ練習を行っていく事も良いと思われる。
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)