【令和版】多裂筋の浅層・深層の役割の違いとは?上肢挙上動作中の腰部多裂筋の浅部および深部線維の異なる活動
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カテゴリー
タイトル
●多裂筋の浅層・深層の役割の違いとは?上肢挙上動作中の腰部多裂筋の浅部および深部線維の異なる活動
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
●十分に脊柱起立筋、多裂筋等の役割の違いをイメージすることが出来ていなかったため、学習の一助として本論文に至る。
内 容
背景
●上肢の随意運動中の腰椎多裂筋の深層および浅層繊維の活動を調査すること。
●多裂筋は腰椎の安定に寄与します。多裂筋の深部と浅部は腰椎関節の回転中心に近いため、浅層線維は脊椎の向きを制御するのに、深部線維は椎間の運動を制御するのに適している。ただし、現在、この区別をサポートするデータは限られています。
方法
●単一および反復的な上肢動作中に深層および浅層の多裂筋、腹横筋、脊柱起立筋、三角筋等の活動を筋電図を用い評価した。単一の運動中の各筋肉における筋電図の開始の潜時と反復運動中の筋電図活動のパターンを筋間で比較した。
結果
● 片側の上肢の動きでは、三角筋に比べ脊柱起立筋と浅層の多裂筋の筋電図は動きの方向に依存していたが、深部多裂筋と腹横筋は依存していませんでした。反復的な上肢の動きでは、浅層の多裂筋と脊柱起立筋の筋電図のピークはほとんどの被験者の屈曲時にのみ発生しましたが、深部多裂筋の筋電図のピークは両方向の運動中に発生した。
●この研究のデータは、浅層の多裂筋が脊椎の向きの制御に寄与し、深部多裂筋が分節間運動の制御に役割を果たしているという仮説を裏付けています。
私見・明日への臨床アイデア
●深部多裂筋の活動を促進するためには、四肢運動時の両方向で意識した訓練が必要である。深層による椎間の制御が行えた上で、浅層や起立筋等のより大きな繊維を含め動的な介入が望ましい。
●腹腔内圧が2倍になると脊椎の安定性は平均1.8倍増加したと報告がありコアの活性は重要。しかし部分的にアクティブにしても、体系的な安定性は高まらないことが示唆されており、BOXとしてコアを高めていく必要性がある。
脳卒中後の腹斜筋のトレーニングに役立つ動画
https://youtu.be/mC9drAiSoGE
執筆監修|金子 唯史 STROKE LAB代表
・国家資格(作業療法士)取得
・順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務
・海外で3年に渡り徒手研修修了
・医学書院「脳卒中の動作分析」など多数執筆
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)