Vol.482.足底内在筋を麻痺させた時に内側縦アーチは?二足歩行における足底内在筋の機能的重要性
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タイトル
●足底内在筋を麻痺させた時に内側縦アーチは?二足歩行における足底内在筋の機能的重要性
●原著はThe Functional Importance of Human Foot Muscles for Bipedal Locomotionこちら
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
●細かな姿勢制御、歩行などダイナミックな動作の中でも足部の筋は重要と思われる。しかし、実際どの程度足部内在筋が姿勢制御に貢献しているのか自分自身理解が不十分と感じた。そのため、学習の一助として本論文に至る。
内 容
背景・目的
●人間では、内側縦アーチは足を硬くし、地面に推進力を加えるためのてこの力を提供し、2足歩行やランニングを行うのに有利であると考えられています。
●内側縦アーチの弾力性は足底腱膜、踵からつま先の下までアーチにまたがる靭帯構造に基づき、つま先の回転を可能にするMTP関節の下に巻き付いています。ウインドラス機構を介して足部の固定力を高めます。ウインドラス機構は、立脚後期で足底腱膜が中足骨頭の周りに巻きつき、内側縦アーチが上昇し、推進力のために受動的に足部の剛性を高めます。そのため、足底腱膜は、内側縦アーチをサポートする上で最も重要な軟部組織と見なされることがよくあります。エビデンスの増加により、内側縦アーチは足底内在筋(PIM)によってもサポートされていることが示唆されています。いくつかのPIMは足底腱膜と並行してまたがり、ウォーキングとランニングで足が地面に接触している間アクティブに活動します。
●人間の歩行およびランニング中の足の機能に対するPIMの重要性を裏付ける直接的な実験的証拠はありません。
●足底内在筋(PIM)の機能的重要性をテストするため、脛骨神経ブロックあり/なしでの力学を比較した。
結果
●結果は足底内在筋PIMをアクティブにできないことで、内側縦アーチLAの圧縮がわずかに大きくなりましたがその影響は小さかった。神経ブロックされると足部の遠位関節が十分に硬化せず立脚後期で地面に対して通常のプッシュオフを行えなかった。これにより、股関節筋系によって生成されるストライド率と代償力が増加しましたが、代謝コストは増加しませんでした。
●PIMが大きな負荷を吸収するときの縦アーチの剛性への影響は最小限であるが、歩行または二足歩行での地面に対するプッシュオフを助けるために足部遠位の剛性を高めるのに役立ちます。
私見・明日への臨床アイデア
●足底内在筋は立脚後期の安定に重要であることが示唆された。足底内在筋は荷重下での足部の剛性または知覚に関わるため、その長さや収縮力をしっかり評価する事は重要と思われる。また、足部の剛性は足底筋だけでなく、多くの関節や筋を有しており、内側外側縦アーチ・横アーチと丁寧に評価し、上行性の影響を推察していけるよう臨床で取り組んでいきたい。
執筆監修|金子 唯史 STROKE LAB代表
・国家資格(作業療法士)取得
・順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務
・海外で3年に渡り徒手研修修了
・医学書院「脳卒中の動作分析」など多数執筆
脳卒中の動作分析 一覧はこちら
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)