Vol.514.電気刺激が亜脱臼を軽減させる!?脳卒中患者の肩周囲筋に対するNMESの効果
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タイトル
●肩関節亜脱臼を軽減!?上腕二頭筋長頭に対する電気刺激治療の効果
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
●臨床において肩関節の亜脱臼を有する患者は多く、その対処法の引き出しを増やすべく本論文に至る。
内 容
背景
●肩関節の亜脱臼は脳卒中片麻痺患者において最も頻繁な合併症であり、その軽減は重要な目標と考えられています。
●三角筋後部と棘上筋の周期的な電気刺激が亜脱臼を軽減できることが実証されていますが、上腕二頭筋に実施した際の効果は十分に検討されていません。
●研究目的は、上腕二頭筋長頭への電気刺激が肩関節の亜脱臼をより効果的に軽減できるかどうかを判断することです。
方法
●24人の患者を選択し、グループ1(棘上筋および三角筋後部への電気刺激)およびグループII(棘上筋、三角筋後部および上腕二頭筋長頭への電気刺激)に分け継続的に理学・作業療法を実施しました。
●すべての患者は、研究への募集時および治療の5週間後に、肩の亜脱臼、痛み、および肩のアクティブな外転可動域について評価されました。
結果
●両方のグループは、測定されたパラメーターの有意な改善を示しました。テューキーの検定による事後分析ではグループIIでより有意であることを示しました。
●棘上筋および三角筋後部とともに上腕二頭筋長頭への電気刺激は、肩関節の亜脱臼をより効果的に軽減することが出来ると結論づけます。
私見・明日への臨床アイデア
●上腕二頭筋の長頭の近位は肩関節に対する上腕骨頭の安定に寄与します。近位は安定しつつも、遠位は遠心性に伸びる活動が必要です。長頭の近位に電気刺激を入れるのも一つの手ですが、ただ入れれば良いというわけではありません。電気を入れるだけでは受動的刺激となってしまうため、上腕二頭筋長頭が働くタイミングで促通していくことが肝となります。そして、電気のありなしで変化を見ながら介入していきましょう。
執筆監修|金子 唯史 STROKE LAB代表
・国家資格(作業療法士)取得
・順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務
・海外で3年に渡り徒手研修修了
・医学書院「脳卒中の動作分析」など多数執筆
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)