Vol.517.高齢女性の日常生活動作に影響する下肢関節可動域と筋力とは?
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タイトル
●高齢女性の日常生活動作に影響する下肢関節可動域と筋力とは?
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
●各生活動作において、どの程度の可動域とどのような筋力が必要なのか理解することは重要である。その関係性を学ぶ過程として本論文に至った。
内 容
背景
●下肢の可動域(ROM)と筋力低下は、日常生活動作(ADL)を自立できない高齢者の機能障害と関連しています。
●研究目的は、7つの下肢のROMと2つの筋の筋力のどの要因が、地域在住の年配女性の身体的パフォーマンスにおいて役割を果たしているのかを決定することでした。
方法
●95人の地域在住の年配女性(平均年齢70.7±4.7歳、年齢範囲65〜83歳)がこの研究に登録されました。 7つの下肢ROM(股関節屈曲、股関節伸展、膝関節屈曲、股関節内外転、足関節背屈、足関節底屈)と2つの筋力(膝伸展と屈曲)を測定しました。機能的リーチテスト(FRT)、5m歩行テスト、four square step tes(FSST)、TUG、および5回立ち上がりテスト(FTSST)を含む物理的パフォーマンステストが実行されました。
結果
●股関節伸展可動域と膝関節屈曲筋力が前方リーチテスト、Four Square Step Test 、5回立ち上がりテストの重要な説明変数であった。
●足関節背屈角度と膝伸展力は5m歩行テストTUGの重要な説明変数であった。
●足関節背屈可動域はFRTのみの重要な説明変数でした。
●股関節伸展・足首背屈と足関節底屈の可動域および膝伸展と屈曲筋力は、地域在住の年配女性の身体的パフォーマンスに主要な役割を果たす可能性があります。
●さらなる研究では、年配女性を対象とした特定の介入プログラムが下肢のROMと筋力の改善を達成し、日常活動能力に重要な役割を果たすかどうかを評価する必要があります。
私見・明日への臨床アイデア
●臨床で各動作において必要な関節可動域・特定の筋活動の理解、そしてそれらが障害を受けたときにどのように補償するか様々なパターンを培っていく事は非常に重要である。関節可動域や筋力から日常生活動作を考える、日常生活動作から患者の問題点を考えるなど双方向の臨床推論は重要で有り、臨床上忘れずに大事にしたい。
執筆監修|金子 唯史 STROKE LAB代表
・国家資格(作業療法士)取得
・順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務
・海外で3年に渡り徒手研修修了
・医学書院「脳卒中の動作分析」など多数執筆
脳卒中の動作分析 一覧はこちら
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)