Vol.522.腓腹筋のストレッチは歩行時の筋活動・関節角度に効果があるのか?
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カテゴリー
タイトル
●腓腹筋のストレッチは歩行時の筋活動・関節角度に効果があるのか?
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
●足関節の背屈のROMは定番と思われる。しかし、実際それがどの程度効果があるのか、疑問い思い、本論文に至る。
内 容
背景
●ストレッチは、腓腹筋の伸長性の改善に良く用いられます。その腓腹筋のストレッチが、歩行中の足関節の背屈角度、膝伸展伸展角度、および腓腹筋活動に対して効果を及ぼすのか調査した。
方法
●足関節背屈5度未満の可動域を持つ16人のボランティア(男性9人と女性7人、平均年齢= 27歳)が実験群または対照群にランダムに割り当てられた。
●実験群は3週間腓腹筋ストレッチングを行いました。
●主なアウトカムは最大足関節背屈角度、最大膝伸展角度および腓腹筋EMG振幅を介入前後の踵接地と踵離地の間で測定しました。
結果
●実験群の方が背屈角度の改善がみられた。踵接地~踵離地間での外側腓腹筋EMG活動において有意な影響はみられなかった。歩行時の足関節背屈角度、最大膝伸展角度も有意な影響は見られませんでした。
●ストレッチは、歩行の立脚初期から踵離地で関節角度や腓腹筋の活動を変化させませんでした。
●CornwallとMcPoilは、受動的足関節背屈角度が10°以下の被験者は、受動的足関節背屈が15°以上の被験者よりも歩行中に背屈が少ないことを示しました。ジョーダンらは正常な被験者を研究し踵離地時の平均足関節背屈角度が4.0°であることを示しました。
私見・明日への臨床アイデア
●ストレッチはあくまで筋の伸張できる幅が増えるだけであり、それが運動学習になっているわけではない。新しく獲得した可動域での出力や、動作パターンを練習する必要がある。
●また、静的ストレッチでじっくり伸ばす動きと実際の動作上で瞬間的に伸ばされるのでは伸張の意味合いが異なる。どんな瞬間の可動域(その背景の筋活動等を考慮)が求められるのか理解したうえで可動域の獲得を図りたい。
執筆監修|金子 唯史 STROKE LAB代表
・国家資格(作業療法士)取得
・順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務
・海外で3年に渡り徒手研修修了
・医学書院「脳卒中の動作分析」など多数執筆
脳卒中の動作分析 一覧はこちら
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)