Vol.523.慢性期脳卒中患者に対するToe Spreaderの歩行に対する効果とは?
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カテゴリー
タイトル
●慢性期脳卒中患者に対するToe Spreaderの歩行に対する効果とは?
●原著はEffects of toe spreader on plantar pressure and gait in chronic stroke patientsこちら
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
●脳卒中患者において足関節~足趾にかけての変形を示す患者は多く、それに対する臨床の思考の引き出しを増やす学習の一助として本論文に至る。
内 容
背景
●歩行時、足は地面と最初に接触し、姿勢と歩行の両方を制御します。 脳卒中後に足(指先)の構造的変化を引き起こす可能性があります。それは下肢とバランスの両方に影響を与える機能的変化を引き起こします。(補足:緊張性足趾屈曲反射【tonic toe flexion reflex:TTFR】は、脳卒中片麻痺患者を含む中枢神経疾患で出現することが多い。)
●慢性期脳卒中患者の足底圧力分布と歩行のパラメーターに及ぼすtoe spreaderの効果を分析しました。
方法
●25人の慢性期の脳卒中患者が研究に参加しました。 Gaitview AFA-50およびGAITRite機器を使用して、足底の圧力分布と、Toe Spreaderがある場合とない場合の歩行を測定しました。
●25人の患者は(平均年齢55.24±12.72歳、身長165.44±10.50 cm、体重67.08±14.84kg、足のサイズ254.4±15.77 mm)で16人が男性、9人が女性でした。15人の被験者の筋緊張はMAS1で、10人の被験者の筋緊張はMAS1+でした。
結果
●Toe Spreaderの使用にて平均・後足部の圧力が幾分増加した。しかし、事後テストでは有意差がなかった。
●歩行の全ての変数において大幅に改善された。
●Toe Spreaderは、慢性期脳卒中患者の全体的な歩行および時空間歩行パラメーターを改善する可能性があります。
●足底圧に有意な変化は見られませんでしたが、空間的および時間的歩行パラメータは大幅に変化しました。Sacaらでは、Toe Spreaderは片麻痺患者の歩行速度とケイデンスを増加させたが、空間パラメーターや歩幅またはストライド長には大きな影響を与えなかったと報告しました。
●ただし、今回の研究では歩幅とストライド長が大幅に増加していることがわかりました。Toe Spreaderは、中足指節間関節をニュートラル位置に配置し、指節間関節をわずかに伸ばして極端な屈曲を防ぎ、立脚期の足部に機械的サポートと安定性を与えます
私見・明日への臨床アイデア
●脳卒中患者において足趾の屈筋反射が見られる患者は多い。その反射を減弱させる手法として、随意性・動作方法の改善、伸張反射が起きにくい筋腱の長さの改善、速度依存で出現する場合もあり歩行速度(関節の角速度)の変化、Toe SpreaderやInhibitor barや装具の調整などが検討される。個々の患者の特徴に応じてよりベストな対応していきたい。
執筆監修|金子 唯史 STROKE LAB代表
・国家資格(作業療法士)取得
・順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務
・海外で3年に渡り徒手研修修了
・医学書院「脳卒中の動作分析」など多数執筆
脳卒中の動作分析 一覧はこちら
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)