Vol.525.脳卒中患者の歩行速度とケイデンスに対する下肢装具AFOの効果
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カテゴリー
タイトル
●脳卒中患者の歩行速度とケイデンスに対する下肢装具AFOの効果
●原著はEffect of Ankle-foot Orthosis on Gait Velocity and Cadence of Stroke Patients: A Systematic Reviewこちら
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
●下肢装具の選定において、まだ下肢装具に対する知識が不十分だと実感し、装具に関する学習をしようと思い、その学習の一助として本論文に至った。
内 容
背景
●脳卒中者では、歩行速度の低下が一般的です。健康な人の平均歩行速度は約1.3m /sですが、脳卒中片麻痺患者では0.23〜0.73 m /sの範囲です。
●Göketalらは、プラスチック性と金属支柱型AFOを比較し、双方とも歩行速度の有意な改善を発見しましたが、リズムに有意な変化はありませんでした。
●研究目的は脳卒中患者の歩行変数(速度とリズム)に及ぼす下肢装具AFOの効果を分析することでした。
方法
●4つのデータベースのシステマティックレビューが実施されました。 特定された論文は、下肢装具(AFO)を用いた脳卒中患者の歩行時の時空間的パラメーターの変化(歩行速度・リズムの改善など)に着目した文献でした。
結果
●AFOを使用した場合と使用しない場合の比較では、歩行速度の大幅な改善が見られました。
●歩行速度に対しては効果を示しましたが、ケイデンスに対しての効果は決定的ではありませんでした。
●これらの変数だけでは歩行安定性の改善を表すものではありません。しかし、そのような側面の分析により、理学療法の効果と脳卒中患者の運動能力の改善をより臨床的に理解することはできます。
●調査結果は歩行速度に関するAFOの利点を示唆していますが、ケイデンスに対するこの装具の影響は決定的ではありません。したがって、脳卒中患者の歩行変数に対するAFOの使用の影響に関するより良い科学的証拠を確立するために、さらに適切に設計されたランダム化比較臨床試験が必要です。
私見・明日への臨床アイデア
●適切な下肢装具の選定はweaknessの補償や反射・過活動の抑制など物理的メリットが生まれ歩行速度は改善すると考えられます。しかし、十分に効率的な歩行パターンを学習出来ていなければ、長距離歩行では疲労などに合わせて歩幅や代償性の歩行や注意の低下など様々な要因を生じてくる可能性が推測されます。装具を使用してからの動作パターンの再学習を丁寧に臨床では取り組みたい。
執筆監修|金子 唯史 STROKE LAB代表
・国家資格(作業療法士)取得
・順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務
・海外で3年に渡り徒手研修修了
・医学書院「脳卒中の動作分析」など多数執筆
脳卒中の動作分析 一覧はこちら
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)