Vol.533. Functional Balance Scale (FBS) バーグバランススケール(BBS) が高齢者の転倒を予測できるか?
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カテゴリー
タイトル
●Functional balance scale=Berg Balance Scale(BBS) が高齢者の転倒を予測できるか?
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
●臨床で頻用する評価バッテリーであるが天井効果もある。BBSの転倒予測力を今一度学習するため本論文に至る。
内 容
背景
●今回のシステマティックレビューの目的はBBSが高齢者の転倒リスクを予測できるかどうかを検証することでした。
方法
●Medline、EMBASE、CINAHL、Ageline、Lilacs、Web of Science、Cochrane Library、PEDro等データベースから、(高齢者、転倒、BBS、研究デザイン)というワードを用いて検索しました。方法論の質は、Quality In Prognosis Studies(QUIPS)ツールを使用して評価されました。1047件の研究が見つかり、8件の研究がこのレビューに含まれました。
結果
●転倒の履歴に関係なく、平均BBSスコアは高かった。スケールに天井効果が存在することが示唆されています。 3つの研究は、45から51ポイントの範囲のBBSのカットオフスコアを示しました。
●エビデンスは、個人因子(性別、年齢)と健康状態(視覚および認知障害、合併症、服薬)が高齢者の転倒のリスクを高める要因であることを示しています。
●青山による研究では、転倒者(37.9±10.5点)と非転倒者(40.5±8.1点)の両方で、他の研究よりも平均が低く、このパターンとは異なります。 これはこの研究のサンプルサイズが小さく(参加者58人)、平均年齢が高く(80.8±5.7歳)、虚弱で併存疾患が多い可能性のある外来に通う高齢女性のみで構成されていたためと考えられます。
●BBSはバランスの問題と転倒のリスクを検出するための最良の選択肢ではないことが示唆されています。使用される様々なカットオフスコアと低い感度は、転倒を予測するためにBBSを使用することを決定する臨床医の能力を妨げます。
私見・明日への臨床アイデア
●本記事では、BBSが転倒を十分に予測する良い評価ツールではないことを示唆しています。カットオフを越えるような患者であれば、LABでも紹介しましたMini BEStestなどをおすすめします。時間的には患者にもよりますが20~30分ほどで実施可能と思われます。
執筆監修|金子 唯史 STROKE LAB代表
・国家資格(作業療法士)取得
・順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務
・海外で3年に渡り徒手研修修了
・医学書院「脳卒中の動作分析」など多数執筆
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ひん
1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)