Vol.536.脳卒中患者に対するボバースコンセプト対通常の運動療法の効果の比較
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カテゴリー
タイトル
●脳卒中患者に対するボバースコンセプト対通常の運動療法の効果の比較
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
●ハンドリング(技術)を用いた介入の研究にどのようなものがあるか興味があり、学習の一助として本論文に至る。
内 容
背景
●研究目的は、整形外科患者で実施されるような通常の運動療法とボバースコンセプトによる介入を比較することにより、さまざまな運動段階の脳卒中患者に対するボバースコンセプトによる介入の有効性を調査することでした。
方法
●脳卒中患者に対する整形患者に実施するような一般的な運動療法とボバースコンセプトによる介入を4週間実施後の比較を行った。
●ボバースコンセプトによる介入または一般的な運動療法群にランダムに割り当てられました。
●痙縮を伴う脳卒中患者21名と回復段階の脳卒中患者の23人が参加した。介入は4週間行われるボバースコンセプトまたは通常の運動治療プログラムの20セッションを実施しました。主なアウトカムSIAS、MAS、BBS、およびSISでした。
結果
●脳卒中患者に対する整形患者に実施するような通常の運動療法とボバースコンセプトを4週間実施後の比較を行った。結果、痙縮のある患者においてSISの大幅なスコアの改善を示しました。
●ボバースコンセプトによる介入・通常の運動療法の両方で痙縮を有する患者は、下肢の運動制御、MASおよびBBSスコアの有意な改善を示しました。ただし、ボバースコンセプトによる介入はより良い筋緊張コントロールとSISの改善をもたらす可能性があります。ボバース群のみが下肢とMASの運動制御に有意な改善を示しました。
●自発的回復と組み合わせたボバースコンセプトによる介入又は整形外科患者等で良く実施される運動療法は共に脳卒中患者の機能障害と機能レベルの改善をもたらしました。患者は、運動回復段階に関係なく、ボバースコンセプトによる介入にてMASおよびSISスコアでより改善が見られましたを受けます。
私見・明日への臨床アイデア
●脳卒中患者では様々な要因でトラブルを生じている。丁寧に仮説検証を繰り返しながら介入する必要がある。自身の動きを随意性・感覚・高次脳・認知と様々な要因で何が正解か分からなくなっている可能性がある。患者に丁寧なハンドリングや種々のフィードバックでその運動を補償してあげることで良質な感覚feedbackを付与することが出来る。正しい運動軌道や感覚をつかめない患者に正しい運動感覚を補償するセラピストのハンドリングは重要と思う。
執筆監修|金子 唯史 STROKE LAB代表
・国家資格(作業療法士)取得
・順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務
・海外で3年に渡り徒手研修修了
・医学書院「脳卒中の動作分析」など多数執筆
脳卒中の動作分析 一覧はこちら
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)