Vol.539.脳卒中は体幹の脂肪量を増加させる!?
脳神経系論文に関する臨床アイデアを定期的に配信中。 Facebookで更新のメールご希望の方はこちらのオフィシャルページに「いいね!」を押してください。」 臨床に即した実技動画も配信中!こちらをClick!!(YouTube)
STROKE LABでは療法士向けの脳科学講座/ハンドリングセミナーを行っています!上記写真をClick!! PDFでもご覧になれます。→PDF
カテゴリー
タイトル
●脳卒中は体幹の脂肪量を増加させる!?
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
●患者から足は細いがお腹がなかなか痩せないと話があり、体脂肪等の学習をしようと思い学習の一助として本論文に至った。
内 容
背景
●研究は、脳卒中患者の四肢と体幹の体組成変化を健康対照群と比較し評価することを目的とした。
方法
●発症が6か月を超える脳卒中患者と、年齢と性別が一致する健康な参加者を募集しました。研究には37人の脳卒中患者と37人の健康な対照が参加しました。
● 体重、身長、握力、歩行速度を測定し、二重エネルギーX線吸収測定法(dual-energy X-ray absorptiometry:2種類のエネルギーのX線を測定部位に当てることにより骨成分を他の組織と区別して測定する方法)を使用して体組成を評価しました。
結果
●脳卒中群は、対照群よりも歩行速度が著しく遅く、握力が弱く、骨格筋指数が低かった。骨格筋指数のカットオフ値として男性で7.0kg / m2、女性で5.14 kg / m2を使用すると、脳卒中グループのサルコペニアの有病率は48.6%(18/37)であることがわかりました。脳卒中患者は、麻痺の存在に関係なく、上下肢の骨量および上肢の除脂肪量と関連した。脳卒中患者は体幹脂肪量は増加したが、四肢は増加しなかった。
●脳卒中は、四肢ではなく体幹の脂肪量を増加させる可能性があります。
私見・明日への臨床アイデア
●脳卒中後に骨格筋量および筋収縮機能の低下は良く知られている。麻痺側では筋の量的変化だけでなく,筋内脂肪量の増加といった質的変化が報告されている。今回は、体幹に関して脂肪量が増加したことが示された。脳卒中患者では、発症前より多くの方が身体活動量が低下する。その点も筋量や脂肪量の変化との関連性が報告されている。加齢や性別の問題等もあると思うが、サルコペニアの予防をしっかり行えるように退院時支援や地域でのケアをしていきたい。
執筆監修|金子 唯史 STROKE LAB代表
・国家資格(作業療法士)取得
・順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務
・海外で3年に渡り徒手研修修了
・医学書院「脳卒中の動作分析」など多数執筆
脳卒中の動作分析 一覧はこちら
塾講師陣が個別に合わせたリハビリでサポートします
1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)