Vol.547.脳卒中患者の加齢に伴う視覚的問題への介入 – STROKE LAB 東京/大阪 自費リハビリ | 脳卒中/神経系
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Vol.547.脳卒中患者の加齢に伴う視覚的問題への介入

 

 

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カテゴリー

 

神経系

 

タイトル

●脳卒中患者の加齢に伴う視覚的問題への介入

 

●原著はInterventions for age-related visual problems in patients with strokeこちら

 

なぜこの論文を読もうと思ったのか?

 

●視野や空間知覚の障害を有する患者と関わる事が多く、その際に既存の加齢による視野障害と混同しないよう学習が必要と思い本論文に至る。

 

内 容

 

加齢に伴う視覚的問題について

 

●脳卒中から直接生じる視覚的問題と加齢に伴う問題があり、相互で作用することで問題は複雑となります。

 

加齢黄斑変性:加齢黄斑変性は網膜の中心部の変性です。網膜細胞への酸素と栄養素の供給が損なわれ、中心視力が失われます。これらの部分の血管は出血し、組織が腫れ、永久的な瘢痕を引き起こし細かな物をみる視力が大幅に低下します。患者は、顔の認識、運転、読書、料理、電話への応答など、細部の十分な認識を必要とする日常生活動作を実行する能力が低下します。うつ病のレベルは同世代の人と比較して2倍になります。

 

屈折異常:網膜に光を鋭く集中させる目の能力は、屈折異常の存在の下で変化します。屈折異常は角膜と水晶体で光が屈折する力と網膜までの距離が合わない状態です。大きく分け近視、遠視、乱視の3つがあります。それにより患者の眼鏡のレンズ処方をします。

 

緑内障:多くの場合、眼圧の上昇が原因で、眼を出る視神経の損傷は、網膜ニューロンおよび暗点の喪失、または周辺視野の盲点を引き起こします。要は視神経に障害が起こり、視野が狭くなる病気です。少しずつ見える範囲が狭くなります。これは患者の外界の認識に影響を及ぼし、ナビゲーションや支援なしの移動をより困難にします。

 

白内障:目の水晶体が濁ってしまう病気です。レンズは次第に厚くなり、不透明になり、内部構造が不規則になるため、眼を通過する光は不規則に曲がります。白内障は主に視力とコントラスト感度の低下を引き起こします。その結果、患者は特に照明が不十分な場合や夜間に、細かい視覚的作業に苦労します。色の知覚が悪く、まぶしさに対する感受性が高く、時には複視(二重視)を有します。

 

糖尿病性眼疾患:これは糖尿病の合併症であり、特に血糖コントロールが不十分で、状態が長期にわたる場合に起こります。網膜に供給する血管への損傷は、網膜への酸素供給を不足させ、中心視野と周辺視野の両方に影響を与える可能性があります。

 

視覚的問題への対応

 

●加齢に伴う視覚障害のある患者が利用できるさまざまな治療および管理アプローチがあります。加齢に伴う視覚的問題への介入は環境調整(照明・文字の大きさ他)、ADL再訓練(料理や身体ケア、家事の動作方法を療法士と一緒に学習する)、眼圧低下薬など薬、手術、視覚補助機器等々対策を講じることはできます。

 

●薬は一般に、症状を軽減または緩和するか、加齢に伴う視覚的問題の進行を遅らせることを目的としています。例としては、血管内皮増殖因子(VEGF)阻害薬や眼圧(IOP)低下薬などがあります。

 

●手術は、加齢に伴う視覚的問題を軽減または軽減することを目的としています。例としては、白内障摘出術、硝子体切除術、レーザー光凝固術、光線力学療法などがあります。

 

●視覚補助機器では、加齢に伴う視覚的問題の修正(屈折異常の修正など)、または患者が加齢に伴う視覚的問題への対処(拡大鏡など)を支援します。例としては、拡大鏡、望遠鏡、監視カメラ(CCTV)などがあります。

 

 

 

 

 

私見・明日への臨床アイデア

 

 

 

●脳卒中患者を担当すると、視空間に問題を有する患者に頻繁に遭遇する。その際に、加齢等に伴う眼疾患と区別が必要である。その眼疾患にも種類が有り、対応法も異なる。その種類について学ぶことは患者の目の見え方の理解に繋がるため是非学習をおすすめする。

 

 

執筆監修|金子 唯史 STROKE LAB代表

・国家資格(作業療法士)取得

・順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務

・海外で3年に渡り徒手研修修了

・医学書院「脳卒中の動作分析」など多数執筆

 

 

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