Vol.555.脳卒中片麻痺患者に対する頸部トレーニングが呼吸に及ぼす影響とは?
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カテゴリー
タイトル
●脳卒中片麻痺患者に対する頸部トレーニングが呼吸に及ぼす影響とは?
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
●臨床において、体幹等の弱さの代償として頸部を固定したり、相対的な頸部の姿勢により長く歩行をすると苦しくなるなどの患者を見受ける。頸部筋と呼吸の関係について学ぼうと思い、本論文に至る。
内 容
背景
●不安定な頸部の姿勢、筋の不均衡および分節の不安定性は首の痛みを引き起こし、呼吸機能を低下させる可能性があります。
●研究目的は慢性期脳卒中患者の呼吸筋活動と最大随意換気(MVV)に対する頸部の安定化運動の効果を調べることでした。
方法
●慢性期脳卒中患者40名がこの研究に参加しました。ランダムに2つのグループ(20名ずつ)に分けられました。10名の患者が実験から脱落しました(各グループに5名)。
●実験群(n = 15)は、リハビリテーション運動治療に加えて、15分間の頸部安定化運動と15分間の呼吸再訓練運動を行いました。
●対照群(n = 15)は、リハビリテーション運動治療に加えて、30分間の呼吸再訓練運動を実施しました。運動は1日30分、週5回、合計6週間実施されました。主要な呼吸筋とMVVの活動は、実験の前後に測定されました。
●頸部安定化運動としては深部頸部屈筋の強化運動が実施されました。このエクササイズは、頸椎上部の深層筋の頭長筋と頸長筋を強化することを目的としました。胸鎖乳突筋と前斜角筋の浅層筋は弛緩した状態に保たれました。
結果
●実験群と対照群の両方で、実験の前後で主要な呼吸筋とMVVの活動に有意差が見られました。実験群は、対照群と比較して有意に高い増加を示した。
●慢性期脳卒中患者に頸部の安定化運動と呼吸再訓練運動の組み合わせを適用すると、呼吸筋とMVVの活動を増加させることができます。
私見・明日への臨床アイデア
●不良姿勢としてよく知られるのがhead forward姿勢です。その姿勢は頸部深層筋は不活性でアウターの胸鎖乳突筋などが頑張りやすい姿勢です。頸部深層屈筋が働きづらくなり、嚥下への問題、腹部とも筋膜での連結があると言われ体幹の不安定性、頸部アウターが過緊張となることで疲労感が出やすくなります。頸部が正しい位置にあることは非常に重要とおもいます。頸部自体が原因なのか、他部位が原因で頸部姿勢が不良となっているのか、精査し臨床では介入していきたいですね。
執筆監修|金子 唯史 STROKE LAB代表
・国家資格(作業療法士)取得
・順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務
・海外で3年に渡り徒手研修修了
・医学書院「脳卒中の動作分析」など多数執筆
併せて読みたい【頸部・呼吸】関連記事はこちら
●vol.173:顎関節症と頚部障害との関係性 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
●vol.207:脳卒中者の吸気に対する抵抗運動 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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塾講師陣が個別に合わせたリハビリでサポートします
1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)