Vol.572.膝の痛みの部位とQOLの関係性とは?? 脳卒中/脳梗塞リハビリ論文サマリー
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カテゴリー
タイトル
●慢性的な膝痛患者の膝痛の部位と症状・機能・QOLの関係性
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
●臨床において、疼痛により活動が制限される患者、疼痛は自制内で活動できている患者がいる。部位により異なるのか気になり本論文を読むに至った。
内 容
背景
●研究目的は、慢性的な膝の痛みの部位が高齢者の症状、身体機能および膝に関連するQOLに影響を与える可能性があるかどうかを評価すること。
方法
●変形性関節症のデータベースから合計2959の痛みを伴う膝が分析された。痛みを伴う膝は、膝蓋大腿のみの痛み、脛骨大腿のみの痛み、および複合痛の3つのグループに分けられました。
●膝痛は膝蓋大腿・大腿脛骨・複合痛の3群に分けられた。訓練を受けたインタビュアーは、患者が報告した膝の痛みの場所を記録しました。
●自己申告で膝特有の症状、機能状態および膝に関連する生活の質(QOL)が聴取された。また既往の膝の損傷について、変形性関節症の転帰スコア(KOOS)を使用し評価された。
結果
●最も一般的な膝の痛みのパターンは、脛骨大腿のみの痛み(62%)であり、膝蓋大腿のみの痛み(23%)および複合痛(15%)がそれに続きました。
●複合痛のパターンは、膝単独の痛みのパターンと比較し、痛み・症状・スポーツまたはレクリエーション活動の制限を報告する確率が高く、膝に関連する生活の質(QOL)が低いことと関連していました。
●複合痛のある患者は、脛骨大腿または膝蓋大腿のみの疼痛患者と比較し、膝を曲げる必要のある毎日の体重負荷活動の困難を報告する確率が高いことがさらに明らかになりました。
まとめ:膝の痛みの部位とQOLの関係性
●膝蓋大腿と脛骨大腿の痛みの組み合わせは、どちらか単独の膝の痛みと比較し、臨床症状の悪化と関連しています。 膝蓋大腿痛は、慢性膝痛のある高齢者に症状や機能制限を引き起こす上で、脛骨大腿痛と同じくらい重要である可能性があります。
私見・明日への臨床アイデア
●患者の痛みを一生懸命聞きすぎて、患者も療法士も痛みに過敏になり、共に負のループに陥らないようにすることは重要である。丁寧に評価する必要はあるが、基本的には「年齢を重ねれば一つくらい痛みはありますよ」「運動すればよくなりますよ」くらいのスタンスでいることは大事だと思う。
●背景に筋力不足や可動域制限、姿勢変化など加齢・廃用要素もあることが多く、ベースアップは重要である。
執筆監修|金子 唯史 STROKE LAB代表
・国家資格(作業療法士)取得
・順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務
・海外で3年に渡り徒手研修修了
・医学書院「脳卒中の動作分析」など多数執筆
併せて読みたい【痛み】関連論文
●vol.409:膝蓋大腿関節のアライメントと痛みの関係 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
●vol.111:股関節の痛みの中身 脳卒中/脳梗塞リハビリ論文サマリー
●Vol.415.ラバーハンド錯覚に鎮痛効果がある?身体所有感と痛みの認識
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)