Vol.573.脳卒中後の身体認知(感覚)がバランスとQOLに及ぼす影響とは??
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カテゴリー
タイトル
●脳卒中後の身体への気づきがバランスとQOLに及ぼす影響とは??
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
●脳卒中患者の治療に関わることが多いが、身体認知・Body Imageは強く動作能力に関わっている印象である。身体認知の能力が将来的な生活の質とどの程度関わってくるか学びたく本論文に至る。
内 容
背景
●正確な身体情報は、動きを正確に制御するために重要です。脳卒中者では、身体認知の低下が患者の日常生活動作のパフォーマンスに影響を及ぼします。 脳卒中後、自分の体が違うと感じ、見知らぬ人のように感じる患者もいます。身体認知は姿勢制御、バランス、自由呼吸、協調性などにも影響を受けます。ダイナミックバランスと姿勢安定トレーニングは、身体認知を促進し、片麻痺の方にとって有益です。
●今回の研究は大脳半球の脳卒中患者の日常生活動作における身体認知と姿勢制御および生活の自立度との関連性を調査することを目的としました。
方法
●転倒リスクの高さ(転倒のリスクが高い、中程度、低い)に応じて3つの群、生活の自立度(重度、中等度、軽度、最小限の支援)に応じて4つの群に分けられた。評価は身体認識質問票(身体知覚、姿勢知覚、固有受容感覚、運動感覚、深部感覚などの身体情報)、BBS、修正BIを使用しました。
●この横断的研究は対面のインタビューに基づいていました。身体意識は、対面インタビュー中に回答された質問票を使用して評価されました。次に、日常生活動作のバランス機能(BBS)と自立性の評価ツール(MBI)を用いて機能状態を調査しました。
結果
●転倒のリスクが高い群と比較して、転倒のリスクが低い群では、身体認知がバランス機能と有意に相関していた。身体認知は、中程度から重度の支援を必要とする群と比較して、最小限の支援を必要とするグループで日常生活動作を実行する際の独立性の程度と有意に相関していました。
●結果は、身体の認識が、片麻痺性脳卒中の個人の日常生活動作を実行する際の姿勢制御および独立性の程度と関連していることを示した。
私見・明日への臨床アイデア
●脳卒中患者では少なからず身体感覚の問題・身体イメージの変化が生じ、バランス・動作に影響を及ぼすことで生活の質を低下させる。麻痺の影響を受け、非麻痺側の身体感覚にも過活動など変化が生じる可能性があり、両側に目を向けて再学習していく必要がある。
執筆監修|金子 唯史 STROKE LAB代表
・国家資格(作業療法士)取得
・順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務
・海外で3年に渡り徒手研修修了
・医学書院「脳卒中の動作分析」など多数執筆
併せて読みたい【脳卒中 身体感覚】関連論文
●Vol.559.COP(足圧中心)と感覚障害の重症度との関係性 脳卒中論文サマリー
●vol.368:感覚に優れた手について 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)